コリアンダーと妖精の国

  • 主婦の友社
3.54
  • (5)
  • (11)
  • (5)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 68
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784072492901

作品紹介・あらすじ

衣装箱のふたをあけると、そこは、こちらの世界とはべつの時が流れる妖精たちの国-。継母と邪悪な牧師から虐待をうけつづけ、殺されそうになったコリアンダーは、ふとしたことから妖精の国に迷いこむ。そこで、自分にかけられたおそろしい魔女の呪いの秘密を知り…。ネスレ子どもの本賞金賞受賞作。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 久々にグイグイ引き込まれる物語に出会えたから嬉しい。読んでいる間すごくしあわせでした。

  • 「衣装箱のふたをあけると、そこは、こちらの世界とはべつの時が流れる妖精たちの国-。継母と邪悪な牧師から虐待をうけつづけ、殺されそうになったコリアンダーは、ふとしたことから妖精の国に迷いこむ。そこで、自分にかけられたおそろしい魔女の呪いの秘密を知り…。ネスレ子どもの本賞金賞受賞作。」

    丁寧に書かれたファンタジー。

    世界に引き込まれたが、ラストはあまり覚えていない・・。
    少女が魔法の靴に魅せられて親が止めるのも聞かずにはいてしまうシーンがとてもよかった。

    家族の幸せな情景、それが引き裂かれる悲しみ、怒り
    不幸のどん底に落ちていく少女・・。
    読んでいて苦しくなる。
    人生には、こういうことだってあるかもれない。
    なんだかリアルで。
    主人公の幸せを祈りながら読みました。

  • 面白かった!
    海外の本を置いてるコーナーをふらふら眺めてたら目にとまって、勢いで借りた本。
    だったけれど、翻訳本特有の回りくどさや読みにくさはなく、すんなり読めた。

    ラストはどういう意味を含んでいたんだろう、と思う部分は多々あるけれど、お話としては面白かったです。

    借りて半日で読み終えました。

  • 14歳になるまで、失読症であったという著者が、このような物語、「言葉」を、却って、常人よりも深く豊かに感覚していることに、驚く。

    世界を感覚すること、把握すること、或いは、それと同義である、世界をあらしめること、創造すること。

    …それは、ロゴスによって生きることを選択することであり、換言すれば、世界を「物語化」する、ということに他ならないのではないか、と思う。ロゴス、言葉、物語がないとき、世界は世界となりえない。「はじめに、光(ことば/ロゴス)ありき。」

    14歳まで失読症で、自分の名の綴りもできなかったというイギリスの女性が、賞をとり、世界で読まれるファンタジーの作家になっているという。

    図書館で、あれ、面白そうだな、と手に取ったファンタジー。
    「コリアンダーと妖精の国」サリー・ガードナー

    「衣装箱のふたをあけると、そこは、こちらの世界とはべつの時が流れる妖精たちの国――。継母と邪悪な牧師から虐待をうけつづけ、殺されそうになったコリアンダーは、ふとしたことから妖精の国に迷いこむ。そこで、自分にかけられたおそろしい魔女の呪いの秘密を知り…」

    失読症、という感覚が、未知の領域であり、とても不思議だけれど、それが、作家、という職業へと逆説的に結びつくドラマに、驚いた。

    例えば、自分には手に入れられない、失われているもの、それへの「憧れの力」、が、逆に、その思い入れの激しいエネルギイによって、健常者として の人間に当たり前のものとして盲目的に享受されている感覚を、価値ある素晴らしいものとしてその源泉を見つめ、存在を崇め、それを鋭く純化し、とてつもな くありがい賜りものである、という、愛と感謝と祈りと歓びを感覚する。

    彼女は、ひょっとして、聴力障害に襲われた音楽家ベートーベンのように、脳内で、単なる五感の感覚が、統合としてのイデア、抽象の領域にまで高められたときのように、「書き言葉」を、抽象の領域で分析、意味づけしている、のかもしれない。

    …まあ、とりあえず、要するに、単純に、物語として、とってもおもしろかったんである。

    そうして、この作品には、日常で消費され、消えてゆく、生活の「実用」「ツール」としての「話し言葉」に対するものとしての「書き言葉」という意味づけが、如実に浮かびあがっている部分がある。

    実母に虐待されて育った女の子が、教育を受けることもなく、理不尽を言葉にすることができないばかりに、モラル・ハラスメントとして、「自分が悪いのだ」と思い込まされていた、哀しみの生い立ちを、コリアンダーに話し、これを話し言葉でなく、「文字に書き記しておいて欲しい」と願う、それ自体が物語となった一章だ。文字になったとき、言葉は、別のものになる。日常の意思伝達のツールではない、テクスト。ひとつの形を得ることによって、現場性、具体性を奪われ、抽象と権威の領域へと移行することによって、取り出され、(抽象され)固定されつことによって、逆説的に、時間を超えた、万人の心へと解き放たれる抽象の翼を得る、そんな両刃の剣として形作られるのだ。

    世界創造の原理。

    「頭の悪い」女子には、文字を習う必要はない、考えることは、頭のいいオトコに任せておくのが「神の正義」である、とされていた時代に、文字を習う、主人公コリアンダー。そうして書き言葉としての「知」からもぎはなされた弱きものに対する、さまざまの虐待。

    これに対する作者の「思い入れ」を考えるとき、感慨がある。
    この作者の感覚を、さまざまに考える。

    物語としてのあでやかな面白さとは、また別に、印象深い。

  • 商人だった父トーマス、薬草に詳しい母エリナ、小間使いのデインズと、裕福で、幸せに暮らしていたコリアンダー。しかし、ある日、小包が届けられ、銀色の靴が入っていた。母は反対したが、小さかったコリアンダーはどうしても履いてみた。ワタリガラスと謎の老女が・・・
    議会派と王党派が対立し、議会派の清教徒によって、清教徒でないものは邪悪だと考えられていた、そんな時代。王の脱出に手を貸したからと危険が迫っていた父は、娘のコリアンダーをおいて姿を消してしまった。
    継母と継母がつれてきた牧師に酷い虐待をうけ、ついには殺す為に衣装箱に閉じ込められたコリアンダー。しかし光が現れ、気付くと衣装箱の中ではなく、季節も変わり眩しい夏の中にいた。
    その妖精の国で出会った王子を救うには、母エリナが持っていた「影」を探さねばならない。そのために、もとの世界へ・・・

    表紙の明るい感じとは全然違って、とても暗いです。殺人までもおかしてしまう継母と牧師に虐げられ、名前をも奪われてしまうコリアンダー、実の娘であるへスターも虐待をうけていて。
    幸せな幼少期、苦痛の数年間、妖精の世界、戻ってから、へスターの物語・・・というように第7部にわけて物語が語られている。読みやすい。

  • 美しい世界観にあふれています。
    古典的な暮らしと現代的なストーリーはすばらしいです。
    読むたびに不思議な世界にひきこまれていきます。

  • 本の中でつむがれる言葉の美しいことといったら…
    著者が失読病を克服してこの本を書いたことを尊敬します!

  • 中世ロンドンを舞台に繰り広げられるファンタジー。母の謎の死からコリアンダーの運命は急落し、なぜか家に入り込んできた悪魔のごとき継母に毎日虐げられる。ある日、衣装箱の中に閉じこめられたコリアンダーは、いつのまにか別の世界に立っていた…。その「妖精の国」で出会う敵と恋。コリアンダー自身の本当の姿とは。
    クロムウェルの共和制時代を舞台にしたことが成功し、この時代ならではの雰囲気が面白い。登場人物、特に悪役が印象的。読みごたえのあるファンタジー。

  • 優しい両親と、不自由のない恵まれた生活を送っていたコリアンダー。けれど、母親を亡くし、新たな妻を迎えた父は娘を残し姿を消す。

    継母と、彼女が連れてきた牧師から酷い扱いを受けるコリアンダー。この2人のあまりの酷さに、ただただ「どうかコリアンダーを助けてあげてくれ!」という気持ちだけで読んだような気がする。

全9件中 1 - 9件を表示

サリー・ガードナーの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×