はるがきた (主婦の友はじめてブック おはなしシリーズ)

  • 主婦の友社
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感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784072742754

作品紹介・あらすじ

みどりと光がいっぱいの春。春になったら、さんぽをしたり、ちょうちょをおいかけたり、公園でおもいきりあそんだりできるのに。はやく春が来ないかなあ…なかなかやってこない春にしびれをきらした街の人たちは!?大人と読むなら2才から。ひとりで読むなら小学生から。

感想・レビュー・書評

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  • 春は、いつか必ずやって来るものと思いながらも、待ちきれない場合は、どうすればいいのか?

    そもそも、こう思いたくなるのは、春というものが目覚めを呼ぶ季節だということを、皆が実感しており、その世界の目覚めに、「ならば私も」といった、連鎖反応が立て続けに起こっていき、その気分に合わせて、新しい事をやりたくなったり、五感を心地良く刺激する色鮮やかな世界の中へと、繰り出したくなるからではないかと思い、そこに何かしらの、人生の転機が訪れる可能性も高い、そんな希望が見えてくるような季節であるのならば、確かに、早く来ないかなと思いたくなるのも、分かるような気がします。

    表紙を見ると、「はるがきた」のタイトルを、子どもたちが自らペンキで書いている。

    要は、こういうことだということを、この絵本では教えてくれて、なかなか来ないのならば、自分達でそうしたムードだけでも作り出せばいい。そんなポジティブな思考法に、そうした気持ちは春が与えてくれそうだけれど、自分達で与え合うことも決して不可能ではないんだよ、といったことを気付かせてくれて、実際に本書でやっている事は、様々な問題が発生するため難しいだろうが、それでも人間には、創造力を膨らませることの出来る可能性を持った、素晴らしい存在であることを実感させてくれた本書は、『どろんこハリー』でお馴染みの、「ジーン・ジオン」と「マーガレット・ブロイ・グレアム」夫妻による、素朴で親しみやすい絵柄も魅力の、皆で手を取り合って春を作り出そうとする、夢のあるお話です。

  • タイトルから想像される情緒的なものは少なく、明るく元気良く、登場する子供たちはアグレッシブなタイプだ。
    これなら、お話会にも使えそう。
    約8分。年長さんくらいから。

    「どろんこハリー」や「はちうえはぼくにまかせて」等の作品でおなじみの、ジーン・ジオンとマーガレット・ブロイ・グレアムの共作。
    その2作品に比較すると、こちらはさほど取り上げられないのが惜しい。
    モノクロを基調にして、青と黄色と緑がアクセントに入る程度の絵が、春になるにつれどんどんその割合を増していくのがとても鮮やかで楽しい。

    遅い春の到来を待つよりも、自分たちで街を春にしようという、その発想がなんと楽しいのだろう。
    次々に明るい色のペンキで街を塗っていく途中、そんなことをしてはいけませんと言う、大人の存在が現れないのがとてもいいな。安心して読める。
    突然の雨ですべて流れてしまったけれど、そのあとに本物の春がやって来たという展開もなんとも素敵だ。
    芽吹きの春。さまざまな生き物たちの姿を、指差して数えるのも楽しい。
    見開きの絵の綺麗さと躍動感を、よーく見せてあげたい一冊だ。

  • 春を待ちかねたこどもたちの一大プロジェクト、それは一晩の嵐で無になってしまいましたが、そのあとにはほんものの春が…!
    やさしい黄と青、そして緑色で春の到来を満喫できる絵本。

  • 私は今まで、この二人の著作を計6冊編集してきました。

    『ジェフィのパーティー』
    『あっ おちてくる ふってくる』
    『さとうねずみのケーキ』
    『ベンジーとおうむのティリー』
    『ベンジーとはずかしがりやのフィフィ』
    『ベンジーのいぬごや』

    そして7冊目となる今回は、私の翻訳です。

    残念ながら、文のジオンはすでに亡くなっていますが、
    絵のグレアムは今でも生きていらっしゃいますので、
    この間、手紙を通して親しくさせていただきました。

    過去のブログですが、こんなことや、あんなこと、
    はたまた、こんなこともありました。はぁ、懐かし。

    その後も、何度かお手紙をもらっているのですが、
    最近は音信不通気味。お年がお年だけに、心配です。



    ちなみに現在、アメリカ版の『どろんこハリー』は4色です。
    シアンが入ったんですが、僕は3色版が親しみがあって好き
    だけど。
    本作品も明るくきれいな3色ですよ。

    装幀は、中嶋香織さんです。
    中嶋さんとは編集者時代に一度、お仕事させていただいたの
    ですが、今回、ひょんなご縁で再びお仕事をごいっしょする
    ことになりました。
    とても素敵な装幀に仕上げていただき、ありがとうございま
    す。

  • さむいふゆももうおわり。
    まちどおしいはるはすぐそこ。
    でも、ことしのはるはなかなかやってこなくて・・・。

    春が来ないので、街中灰色で、人々も暗くて沈んだ気持ちです。
    その時、ひとりの男の子がいいことを思いつきました。

    「どうしてはるをまってなきゃいけないの?
    まってなんかいないでさ、ぼくたちでまちをはるにしようよ!」

    一体人々は何をしたでしょうか?




    みんなは街中に絵を描き始めました。
    お店の壁や、街灯や消火栓、ビルや銀行や桟橋や船にも!
    春を待ちわびた人々によって、花や木々や蔓や魚や…
    たくさんの自然が描かれたのです。

    ところがその晩、雨が降りはじめ…?


    とても素敵なお話です。
    ひとりの男の子の発案から、子どもたちだけでなく、大人も一緒になって、市長に相談に行き、街中総出で合法的にお絵かきをしていくという発送が目からウロコ。
    子どもが勝手に絵を描いて…という展開はありそうだけれど、市長公認で総出でやるというのがなんとも新鮮でいいな思いました。
    そして描いた春の絵たちももちろん素敵なんだけれども、やはり本物にはかなわない。
    そんな総出の事業がたった一晩で、雨により洗い流されてしまうのは残念でもあるのだけれど、「そのあめが、ほんもののはなやみどりをめざめさせたのです!」とはなんとも小憎い。思わず、「うまいっ!」と思ってしまいました。
    絵を描くアイディアはもちろん素敵だけれど、本物の自然、本物の春に敵うものはありませんよね。
    「たくさんのちいさなシダが、まるでまほうのようにとつぜんあらわれました。」とあるけれど、案外本当に魔法だったのかもしれません。
    子どもたちの、街の人々の、「街中に春を描く」という春を待ちわびた行為が、本物の春が目覚める呪いとなったのかもしれませんね。

    こちらも、黒と黄色と青と緑だけで構成される、極力色味を抑えた配色が、灰色の街とカラフルな絵画の春、雨の一夜と本物の緑の芽生えが対比され、『はるがきた』というこの本の世界感を見事に描き出しています。

    読み聞かせ、約6分ほど。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/57779

  • ありがとうございます♪楽しいよ

  • 「みどりと光がいっぱいの春。春になったら、さんぽをしたり、ちょうちょをおいかけたり、公園でおもいきりあそんだりできるのに。はやく春が来ないかなあ…なかなかやってこない春にしびれをきらした街の人たちは!?大人と読むなら2才から。ひとりで読むなら小学生から。」

  • 図書館で借り。
    季節のコーナーにあった。もう春ですものね。

    5歳児Wに読んだ。絵よりも本物の春がよい…という話なのだと思うが、壁などに描かれた春の景色もなかなか良きものであると母は思った。

  • 良かった

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著者プロフィール

アメリカ・ニューヨーク生まれ。ニューヨークのプラット・インスティテュート卒業後、出版社で広告デザイナー・編集者を経て、フリーライター・デザイナーとして活躍した。1952年にデビュー作品である妻グレアムとの共作『ほら なにもかも おちてくる』(本作)がコルデコット・オナーを受賞。『どろんこハリー』(福音館書店)、『はちうえはぼくにまかせて』(ペンギン社)など沢山の作品がある。1975年没。


「2017年 『ほら なにもかも おちてくる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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