- Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
- / ISBN・EAN: 9784081260171
感想・レビュー・書評
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2017/8/5購入
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話の盛り上がりもなく、わかりやすいオチもなく、魅力的な登場人物がいるわけでもなく、ユーモアもなく、読後感はちょっと消化不良かな。
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一昨年ノーベル文学賞を受賞したバルガス・リョサの作品です。
この作品のエピグラフに次のようなものがあります。
「小説が国家の私的な歴史である以上、真の小説家となるためには、社会生活のすべてをくまなく探求しておくことが必要である」(バルザック「結婚生活の悲惨」)
この時代錯誤感。でも、価値相対的な世の中で、いまだにこんな大志を持って創作するリョサの良さも分かってあげて下さい(笑)。ストーリーテラーとして一流なのは間違いないので、この作品も面白いです。
こんな感じの冒頭で始まります。
「…彼はペルーみたいだった。彼、サバリータは、どこかの時点で駄目になってしまっていた。彼は考える、何のことを?クリジョン・ホテルの正面で一匹の犬が彼の足をなめにくる、狂犬病をうつすなよ、あっちに行け。ペルーはすっかり駄目になってしまった、彼は考える、カルリートスも駄目になってしまった、誰も彼もみんな駄目になってしまった。彼は考える、解決の道はない、と。…」 -
様々な生活階級に属する登場人物を通して、1945〜60年代ごろのペルー社会を描き出す。
なかなか分量が多く、前半は構造も複雑なため、手ごわい小説かと思いきや、複雑な入れ子構造にはすぐ慣れるし、話自体読みやすい。ストーリーが云々というより、登場人物の生活・思想を追いかけていく感じ。
解説にもあったが、ペルー社会の現実を描ききれているかといったら微妙かもしれないが(そもそも大変な取り組みだ)、登場人物たちの生活の中にすっかり引き摺り込まれ、もぐりこんだような感覚に捉われた時点で、やはり良い小説と言わざるを得ない。
登場人物たちの想い出話でも聞くつもりで、一日一日少しずつ気長〜に読み進めていく感じの本。 -
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