闇のパトス (梅原猛著作集 1)

  • 集英社 (1983年4月1日発売)
3.20
  • (0)
  • (1)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 22
感想 : 4
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784081500017

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

テーマは「意味」と「笑い」に関する深い考察で、著者の情熱が伝わってきます。特に「闇のパトス」では、プラトンの「魂の永遠性」やヘラクレイトスの思想を通じて、生と死の転換についての実存的な思索が展開され、...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『笑いの構造―感情分析の試み』(角川書店)にまとめられることになった文章のほか、著者の初期論考が収められています。

    「闇のパトス―不安と絶望」という論考では、「魂の永遠性」を主張したプラトンと、彼に始まる西洋哲学における「死の忘却」が指摘されます。「生と死の転換―ヘラクレイトスの断片をめぐって」は、ヘラクレイトスの思想と著者自身の実存的な思索が一体となった論考です。いずれも、若き日の著者によって発表されるやいなや、アカデミズムの哲学研究者から厳しい批判を浴びたとのことです。

    『笑いの構造』収録の諸論考では、「笑い」の根底に「コントラスト」や「優越」を見ようとする従来の議論を批判し、スターンという哲学者の説によりながら、価値との密接な結びつきのなかで「笑い」という現象について考察をおこなっています。また、夏目漱石や志賀直哉の作品における「笑い」を考察した、文芸批評的な試みもあります。

    さらに、西洋哲学史の中で感情がどのように見られてきたのかをたどり、著者自身による感情の体系的理論の構築へ向けての試みも収められています。ただ、哲学史的な解説は興味深いのですが、本書の議論はいまだ著者自身の理論の構築にはいたっていないように感じました。

  • 闇のパトス

  • 闇のパトス
    意味はまず我々に与えられ、我々は意味の世界のただ中に投げ出されている。意味は、我々がどうすることも出来ぬ客観性を持つ。我々はノートを食い、椅子を着ることはできない。意味は宿命の様に我々を取り囲む。

    笑いを誘う取り違えの法則 
    取り違え=無意味化されたMを媒介とする2つの意味領域のコントラスト
    1. AとBが異なった意味領域であればある程、おかしい
    2. Maが正体をあらわにせず、隠されたMaの上により多くの事件が積み重なり、しかも取り違えが気付かれるのが、より突然であればある程おかしい
    3. 取り違えによって引き起こされる結果を、我々が客観的に見うる立場に立てば立つ程、おかしい
    4. 取り違えが主観的原因によって起こった場合、取り違えを起こした個人が笑われ、その笑いによって彼の価値が低下され、それにより意味と価値の世界が保全される(主観的原因による笑い)
    5. 取り違えが客観的原因によって起こり、しかも取り違えられた意味領域に価値の差がある時には、価値高い意味領域の、価値低い意味領域への価値低下が起こる。従って、ここで従来の価値秩序の否定が起こる(客観的原因による笑い)
    6. 取り違えが客観的原因により起こり、しかも間違えられた意味領域に価値の差がないときには、笑いにより意味領域そのものの価値低下が起こ
    7.

  • 著者20〜30代、古代学以前の実存主義や笑い、感情に関する論文集。「闇のパトス」「笑いの構造」の2部に分かれるが、総じて大変情熱的な文章が綴られる。「感情論の歴史的展望」が面白い。ロゴス中心主義へのアンチテーゼがとても判り易く説かれている。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

哲学者。『隠された十字架』『水底の歌』で、それぞれ毎日出版文化賞、大佛次郎賞を受賞。縄文時代から近代までを視野に収め、文学・歴史・宗教等を包括して日本文化の深層を解明する〈梅原日本学〉を確立の後、能を研究。

「2016年 『世阿弥を学び、世阿弥に学ぶ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

梅原猛の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×