コレクション 戦争×文学 2 ベトナム戦争

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  • Amazon.co.jp ・本 (640ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784081570027

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  • 第1巻である朝鮮戦争を読んだのはいつだったかを調べたら、
    なんと2015年だった。第2巻を手にするまで約4年。

    書棚には第4巻まであるのだが、全20巻+別館1のこのシリーズ、
    私は一体いつになったら読破出来るのか不安になって来た。

    さて、本書である。私が拘りをもつヴェトナム戦争なので本当は
    第1巻より先に読みたかった。

    ヴェトナム戦争と言えばアメリカ軍の戦争犯罪を暴露したノンフィ
    クションが多数世に出ているが、本シリーズは「日本語で書かれた」
    との括りがあるので海外メディア掲載の文章は皆無。

    それでも日本人作家の手になる小説・ルポルタージュで、多岐に渡る
    テーマでヴェトナム戦争を再考させられる。

    特に惹きつけられたのがアメリカの北爆停止表明が出た時に取材の
    為にハノイに滞在していた松本清張のルポ「ハノイからの報告」、
    取材中に行方不明になった前任者の足跡を追う現地特派員を主人公
    とした日野啓三の小説「向こう側」、終戦後30年のヴェトナムの
    老婆の話を主題にした吉岡忍の小説「綿の木の嘘」の三編。

    松本清張作品は多く読んで来たが、このルポは初見。なんという
    タイミングの良さでハノイにいたのだろうと感じた。

    他にも村上龍、一ノ瀬泰造、開高健などの作品も収録。一ノ瀬泰造の
    作品についてはヴェトナム戦争から飛び火したカンボジアが舞台なの
    で本書も「ベトナム戦争」ではなく「インドシナ」で括ればよかった
    のではないかな。

    本書解説でも触れられているが、朝鮮戦争同様、ヴェトナム戦争にも
    日本は深く関わっている。一時休暇で戦場を離れたアメリカ兵が心と
    体を休めたのは日本だし、日本の米軍基地からは爆撃機が飛び立って
    いる。

    そうして、日本国内では反戦運動が起こり、アメリカ兵の脱走に手を
    貸した人たちもいた。そのと当事者である小田実の作品も収録。

    普段、ノンフィクションばかり読んでいる身にとっては、小説で戦争
    を読む体験は新鮮でもあった。

    巻末にはヴェトナム戦争関連の年表もあるので、その時、何があった
    のかを知るのにも便利。

    ただ、難点を言えばアメリカとの前にフランスとの戦争があったのだ
    が、その部分の作品が皆無なところか。やっぱり「インドシナ」で
    括って欲しかったな。

  • 私のリアルタイムに脳裏に焼き付いているヴェトナム戦争のシーンは、アメリカ空母の甲板からヘリコプターを海に投棄しているところでした。もちろん、その後数々のドキュメンタリー番組や報道写真によってヴェトナムの惨劇を知りました。この作品集の中では、開高健著『姿なき狙撃者!ジャングル戦』では戦場の生々しさを、小田実著『戦争』ではヴェトナム戦争の北ヴェトナム軍の兵士であり、のちに作家となったバオ・ニンの『戦争の悲しみ』を知ることができた。

  • なんとなく借りてきて、拾い読み、しました。

    とりあえず、開高健、又吉栄喜、吉岡忍ってところでしょうか。奥泉氏も解説で言ってましたが、「ベトナム戦争」という素材をルポルタージュとして、ということではなく、文学として考える、というのはこれから、なのでしょう。その意見には大いに同意します。
    一見、他人事のようにしか書けない、一方で、前線基地であった「オキナワ」を内包している日本をどう考えたらいいのか、考える必要があるのでは。池澤夏樹の「カデナ」などを思い出します。
    その一方で、アメリカのドラマを見ると、そこそこなおっさんたちがみんなベトナム帰りなのです(あたりまえか)。映画もベトナムはあきらかな過去です。自分たちの世代はそれがイラクやアフガニスタン帰りとなるのでしょうな。イラクやアフガニスタンは日本から遠く離れているのでしょうか。それとも、リアルベトナムのようなリアルイラク、リアルアフガンなのでしょうか。

  • アンソロは色々な作家さんがいて、読みやすいぐっとくる作家さんと、全然分からない作家さんがいて、なかなか難しい。
    松本清張はなんか自分には合わなかった。神の視点。

    泥の中、血だまりの中で死んでいく。
    意味のないものは世の中にいっぱいあって、絶望する。

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