- Amazon.co.jp ・本 (688ページ)
- / ISBN・EAN: 9784081570058
作品紹介・あらすじ
想像力は、戦争をどこまで描けるのか
芥川龍之介による近代文学の古典から、伊藤計劃らの最新エンターテインメントまで収録。作家たちがその想像力の限りを駆使し、どのように「ここにない戦争」を描いてきたのかが俯瞰できる一冊。
感想・レビュー・書評
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侵略者としての桃太郎を描いた芥川龍之介の「桃太郎」、烏を通して戦争の悲哀を映し出す宮沢賢治の「烏の北斗七星」など、SFや想像の世界の戦争文学を集めた戦争と文学シリーズの一冊。
「戦争と文学」シリーズはメンタルのエネルギーが要るのでゆっくり読み進めているけれど、「イマジネーションの戦争」はちょっと別。何しろ純文学のほかにも伊藤計劃や山本弘さんなど気鋭のSF作家も名を連ねているから、SFアンソロジーとしても読めちゃいそう。ただ、よくできたSFを集めただけとは言わせずにそれぞれの短編を読むとさすがに背筋に白刃を突きつけられたような気分になるものばかり。山本弘さんの「リトルガール再び」や小松左京さん「春の軍隊」なんかは、明日の日本がそうなるんじゃないかというリアリティがあって心底恐ろしいし、伊藤計劃も民族間紛争とそこに介入する大国を持ち前の筆致で描いて見せる。イマジネーションの世界だからこそ逆にとっても生々しい。一方で秋山瑞人さんの「おれはミサイル」なんかは本当に上質なSFを楽しめた気がして、何しろ読み応えもあるのでお得感満載の一冊だと思う。戦争と文学シリーズを読んでると重さに潰されそうになるので、いや、もう無理ってなってちょっと一息つきたいときに手にしたらいいんじゃないかと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
芥川龍之介から伊藤計劃まで、現実の戦争ではなく、「ここにない戦争」を描いた小説を集めたアンソロジー。
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図書館で借りた。
鈍器になりうる分厚さ。
返却期限内に読み終える自信がないので、芥川龍之介と星新一のストーリーだけ読んだ。 -
イマジネーションというから、想像した世界の戦争かと思いきや、全部が全部、そうではなかった。
こういう本だから、当然好き嫌いあるし、なんかとってつけたような戦争もあって、全体的には★3つ。好きなものは別に本を買ってみようかなと思う。 -
おれはミサイル目当てで図書館で借りた。
海原の用心棒の方が面白かったかな。割りとあっさりしてた。 -
戦争を題材にしたSFやファンタジーを集めた一冊。戦争という現象が制度や政治の特性を炙り出し人間の多様な側面を露わにするものである以上、それは常に作家のイマジネーションを刺激し続けてきた。だからSFやファンタジーに戦争がしばしば取り上げられるのは必然と言っていいし、それだけに傑作も多い。
芥川龍之介、宮沢賢治のような教科書クラスから伊藤計劃や三崎亜記など最近の作家まで、一口に戦争といってもその切り口は多種多様。ただ単に戦場を舞台としただけの作品はひとつもなく、奇想といえる、それこそイマジネーションの限りをつくした作品が収録されている。戦争がいかに優れた素材であるかがよくわかる。
ただ、いくら戦争を題材とした作品に傑作が多いとはいえ、それだけでこうした作品集を編むのは少々無理があると思う。どれも面白かったのだが、果たしてそれがすべて後世に残すほどのものであるかというとなかなかそうは言えない。そしてそれはこの巻だけでなく、この戦争✖️文学コレクション全体に言えることだと思う。さすがに戦争というテーマだけで20巻もの全集というのは多すぎる。収録作を半分に絞り込むなど、どうしても外せない作品だけを集めたほうがよかったのではないか。