経済大国アメリカから始まった世界大恐慌は、
第一次世界大戦後のヨーロッパを深刻な不況に落とし入れます。
そんな中、ナチス=ドイツが勢力を増して、第二次世界大戦が勃発するのです。
フーバーが何故フランクリン・ルーズベルトに負けたのか,
その背景,世界大恐慌における二人の政策の違いがうまく説明されている。
ニューディール政策がニューヨーク州知事時代に実証された弱者救済の延長で展開されたこと,や,
政策そのもの成功よりも,国民に自信と誇りを取り戻させたことに価値があることなど,
大人でも,思わず,うなってしまうような記述もある。
ヒトラーが政権奪取時に国民の絶大の人気を博した背景に,
経済的弱者への社会主義政策の成功があったことなども,
案外,見逃しがちなポイントではないだろうか。
スターリングラードを深追いするヒトラーの失策と,
戦争屋と揶揄されつづけながらも,イギリス国民を鼓舞し続け,
反独徹底抗戦で成功したチャーチルの頑張りがなければ,
連合国の勝利も案外危ないものであったことも良くわかる。
さらに,解説のページには,
マンハッタン計画。ロスアラモス研究所はもとより,
コンピュータの元祖「エニアック」を誕生させたフォン・ノイマンのことまでのっているって親切でもある。
フランクリン・ルーズベルトが亡くなったとき,
チャーチルは「人目をはばからず,男泣きになきました。」という下りもいい。
■フーバー
恐慌脱出に向けての道筋が見出せない中、彼が発表した政策として有名なものが、
第一次世界大戦で英仏に融資した戦債の返済を1年間猶予する「フーヴァーモラトリアム」である。
彼は、この政策を実行すれば、その1年間の間に景気は回復するだろうと考えており、
次代の大統領フランクリン・ルーズベルトがニューディール政策で民間経済にも積極的に介入したのに対し、
フーヴァーは政府や国家レベルでの対策しか講じなかった。
これが、結果として景気をさらに悪化させることになってしまう。
■ニューディール政策
新規まき直し政策とも呼ばれる。
単にニューディールと呼ばれることもある。
それまでアメリカの歴代政権が取ってきた、市場への政府の介入も経済政策も限定的にとどめる古典的な自由主義的経済政策から、
政府が市場経済に積極的に関与する政策へと転換したものであり、
第二次世界大戦後の資本主義国の経済政策に大きな影響を与えた。
世界で初めてジョン・メイナード・ケインズの理論を取り入れたと言われる。
原案は、いち早く世界大恐慌から脱した日本の高橋是清が考えた政策と多くの部分で同じである