ニングルの森

著者 :
制作 : 黒田 征太郎 
  • 集英社
3.74
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本棚登録 : 89
レビュー : 11
  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784082990084

作品紹介・あらすじ

風・森・水。悠久なるものへの想いを呼びおこす。倉本聡、初の童話作品。

感想・レビュー・書評

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  •  北海道十勝岳の奥にある太古の原生林、そこには体長わずか十数センチの小さなヒトビト「ニングル」たちがひっそりと、自然と共に棲んでいる――。妖精ではなく実際に存在する先住民族とされるニングル達、自然と共にゆるやかに命を繋ぐ彼らの眼には、人間の生活や文明はどのように映るのか。電気、お金、文字、教育、土地、命、時間などを各章で扱い、愛おしく幸福なニングル達の姿から、自然に逆らい、欲に生き、自らを縛り付ける窮屈な人間の姿を浮き彫りにする。優しくも強く明確なメッセージを握りしめた、倉本聰による初の童話作品。

     まず単純にニングル達が愛おしい。純粋で、欲がなく、争いを嫌い、そして何よりも彼らは人間を含む万物に対するいたわりの心を持っている。妖精ではなく先住民族ということからもわかるように、彼らは人間達によって棲み処を奪われ、原生林の奥地で隠れるように暮らすことを余儀なくされている。しかしその生活すらも人間のより壊されそうになるのだが、童話の最後を締めくくるニングル達の叫びに読者は胸を痛めずにはいられない。

    「人間様に手紙を書きたい。
     ダムをなくすよう伝えなくちゃいけない。
     でも――。
     ボクたちは文字を持たないから、手紙を書きたくても書くことが出来ない。
     それに――。
     かりに手紙を書き川に流しても、きっと途中のダムにひっかかって、人間様の住む下流まで届かない――。」

     人間のエゴ、自然破壊、届かぬ思い、この愛おしく優しさに包まれた童話は、自分本位の人間に対する皮肉を幾重にも層を成して描き出す。生涯そばに置き世代を超えて読んでいきたい傑作童話である。

  • 十勝岳の奥の奥にある太古の原生林に住んでいるわずか十数センチの小さなヒト、ニングル。妖精なんかではなくれっきとした小さな原住民。彼らは二百年も三百年も生き、雄大な自然のいとなみとともにのんびりと生きている。それにひきかえ、彼らの口から語られる人間たちの生き方は、みな時間に追われ、何ものかに縛られていてとても悲しい。ニングルたちのように生きられたらいいのに…。そう思いました。だけどそんなニングルたちも森の木が開発で切り倒されることによって生きることが出来なくなる。単純に自然破壊によって、ではなく、文字通り命を失ってしまうのだそう。人間は命を育む森を切り倒し、時間に追われ、一体どこへ行こうとしているのだろう?
    児童文学だけど、語られていることは深くて大人向けであると思いました。

    今年の夏が異常に暑かったのは木を切りすぎたせいだと私は素人頭で思っていたのですが、この小さなニングルたちの物語を読んで、あながちそれは間違っていないと確信しました。

  • 「子どもを本好きにする10の秘訣」>「生き物・自然」で紹介された本。

  • 現代の文明を違う視点から見てみた感じの本です。一度は読んでおきたい。

  • 26年度(6-3)
    1.太陽  9分

  • 【推薦文】
    北の大地に住む小さな人、ニングルの目を通して見る私たちの人間社会は、新鮮な驚きにあふれています。でもそれは、科学と日々向き合う者として、忘れてはいけない感覚なのかもしれません。とても短くすぐに読めるので、ちょっとした気分転換にもおすすめです。
    (推薦者:金属工学科 B3)

    【配架場所】
    大岡山: B1F-一般図書 909.3/Ku
    すずかけ台: 3F-一般図書 909.3/Ku

  • 童話。
    北海道には、親指ぐらいの
    ニングルという小人民族がいるらしい。

    最後のあとがきに
    人間本来のDNAがなんたらかんたらって。
    人間本来のDNAって何だよ、と。
    そして、
    何で俺はこの本を読んでいるんだよ、と。

  • 2012/08/30

  • 小学生に進めたい本7位だったやつ。私的には教訓とユーモアにあふれているので、良書であると判断しました。この寓意は高学年にしか分からんかなぁ〜
    ニングルたちの年齢に大変不思議な気持ちにさせられました。あと挿し絵もかわいい。

  • シナリオ作家の倉本總さんの未来の子供たちへの童話、『ニングルの森』。

    ニングルとは、北海道の森に、わずかに少数生存する体長十数センチの先住民族です。
    寿命は300年ぐらいといいますから、時間はたっぷりあります。

    そのニングルの、自然とゆっくりかかわっている話、
    ニングルが持った人間社会への素朴な疑問など10篇。

    2~3年前に女優の森上千絵さんの朗読を聴いたことがあります。

    あなたも、朗読という形で声にだして読んでみてください。

    お子さんにも、ぜひ聴かせてくださいね♪

    (先ごろテレビで紹介されたとか・・・)

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著者プロフィール

1935年東京都に生まれる。東京大学文学部美学科を卒業後、ニッポン放送入社。1963年に脚本家として独立。テレビドラマは『赤ひげ』『勝海舟』(以上、NHK)、『前略おふくろ様』『昨日、悲別で』(以上、日本テレビ)、富良野3部作『北の国から』『優しい時間』『風のガーデン』(以上、フジテレビ)など。2017年放送のテレビ朝日『やすらぎの郷』も大きな話題を呼んだ。映画でも『冬の華』『駅 STATION』等名作の脚本を執筆。『時計 Adieu lHiver』では監督も兼務した。1977年富良野に移住し、役者とライターを養成する「富良野塾」を主宰。26年間に育て上げた卒業生と創作集団「富良野GROUP」を立ち上げ、舞台公演を中心に活動している。また2006年より「NPO法人富良野自然塾」を主宰し、閉鎖されたゴルフ場を元の森に返す自然返還事業と、そのフィールドを使った環境教育プログラム活動を行なう。著書には『見る前に跳んだ 私の履歴書』(日本経済新聞出版社)、『昭和からの遺言』『ヒトに問う』(以上、双葉社)、『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生』(北海道新聞社)、『北の人名録』(新潮文庫)などがある。

「2018年 『「北の国から」異聞 黒板五郎 独占インタビュー!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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