千億の夜をこえて ―炎の蜃気楼(ミラージュ) 〈40〉 (コバルト文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086004121

作品紹介・あらすじ

直江に抱えられ、傷ついた身体で天御柱に向かった高耶。二人がその中で見たものは思念の歴史を刻む心御柱だった。過去を遡り、思念の激流に放り込まれた高耶は、懐かしい人の思念と出会い、導かれるまま魔王・信長を追う。一方、伊勢合戦は全国に飛び火し、苦戦する嶺次郎たちのもとに現代人の僧侶たちが集まった。壮大な"闇戦国"の果てに待つものとは!?「炎の蜃気楼」完結編。

感想・レビュー・書評

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  • 最終巻、本屋で手に取ったときに震えていたことだけやたらと覚えております。

    ページを捲るたびに血圧が上がるほどの興奮はしない歳になっていましたが、それでも最後は燃え尽きました。
    高耶さんの、「約束、かなえられそうにない」で号泣し、それでも直江が足掻くだろう! と一縷の望みを抱きながら読んでいたのが悪かったのか、桜のシーンで茫然。
    確かに作ったようなハッピーエンドは彼らには似合わないと思ったものの、ここに辿り着くまでの軌跡が濃密すぎたために、ここが彼らの終着点だとすぐには脳が認識しなかったのでしょう。

    しかし…オリジナルアルバム、アニメDVD、OVAと、己の腐人生の中でもダントツに私財を投じたシリーズでした…。

  • 思えば、中学生のとき発行とリアルタイムに読み進めて途中で断念したこの作品。桑原先生のあとがきにある通り、今の自分が読むからこそ、こんな感じ方ができるのでしょう。
    高耶さんと直江さんが歩いてきたこの物語をとても大切な宝物のように思います。
    本音を言えば、高耶さんが穏やかに笑って直江さんとずっと生きていってほしかった。だけど2人の物語のたどり着いた先が、この形が、一番の「最上」といえる気がします。
    これから千億のときをすごす直江さんを思うと、涙が溢れて止まりません。
    何度もこの巻を読み返してそのたびに泣くんだな、と思います。
    ひとつの物語に対してここまで思い入れられるのも凄いな、と思うし、それをさせてしまうのがミラージュの凄いところだと思います。
    40巻、途方もないと思っていましたが、一瞬でした。
    おつかれさまでした。
    まだまだ読みきれていない部分や理解できていないことがあるので、もう一周全巻読み返してこようかと思います。

  • 苦しいけどやめられない読書ってのを初めて体験しました。
    あまりに苦しくてのた打ち回りながら読了。

    もっと若いころに読みたかったな。
    涙は一滴もこぼれませんでしたが胸に突き刺さってます。

    やりきれない。鬱入ってます。きっと一生忘れられない。

    その後天啓を得て全てを納得。感謝の言葉しかありません。

  • 嗚咽をこぼしながら本を読んだのなんて何年ぶりだろう。あははうふふな終わり方じゃないことは知っていたのだが、この終わり方はまったく想像していなかった(絶対に直江がどーにかしてくれるもんだと思ってた)。ラスト数頁になっても救いがあることを期待してた。

    あの形が2人の望んだ「最上」なのかどうかはわからないけど、高耶と直江が生きた400年の結果としては「最上」だったんだと今は思う。つらいけど。かなしいけど。未だ消化できないけど。

    学園サイキックアクションからはじまって、5巻あたりから執着ほも小説の体をなしてきて、いったいこの物語はどこに向かっていくんだろうと思ったものだが、40数冊を読み切って胸に残るのは個々の鮮やかな生。

    高耶さんは最後まで優しくて、そんな高耶さんに出会えてよかった。読んでよかった!

  • 炎の蜃気楼40

    いろいろな伏線を回収して物語が終了した。35巻の終わりで綾子が見たのは、燃料にされた冥界上杉軍だったのね。霊視ができる綾子だから見たということか。

    高耶は死んだ。譲は岩になった。よく分からないのだけど、譲は何がしたかったんだ?

    高坂は桓武天皇の頃の人だった。

    涙なしには読めないという感想を読んでいたので期待していたのだが、予想通り高耶死亡直江は永久に換生し続けるというオチだったので、特に涙はなく、「お。予想が当たった」くらいの感慨しかない。

    しかし、輪廻転生もしないルートとは意外だった。

    直江は高耶を調伏しなかったのね。高耶の死は、普通に魂が消滅するのにまかせた完膚なきまでの死亡だった。だから、輪廻転生もしない。

    だからこそ生前(なのか?換生していたとき。仰木高耶だったとき。)に願っていた「幸せに生きること」を自ら体現したと言えるのだろう。美しい終わり方である。

    この作者さんのすごいところは、すみずみまで自己設定を貫き通しているところだな。

    長編になればなるほど、当初用意しておいた設定を忘れて矛盾を書きだす作家も多い中、ちゃんと最後までキャラの設定や物語の中の世界観の設定を壊さないで書き続けた作者はすごいと思う。読んでいる方としては、(ときおり誤字脱字人名の書き間違いはあったけど)頭空っぽにして物語の世界に没頭できるのでよかった。

    あと、歴史観。さすがに大学で史学部だっただけある。歴史が簒奪者側から記述されやすいことをちゃんとふまえている。


    潮が死ぬとは思わなかったな。残念。魂だけになって四国へ行ってたりはしないのかな。

    晴家は浄化してしまうのか。安田長秀と直江信綱だけになった先の話も読んでみたい気がするが、そこはもう作者さんは書かないだろうな。あとがきに「もう書きません」って書いてあるし。

    心御柱から帰ってきた直江は、かっこいいなー。永久に換生し続けるっていう設定もロマンがあっておもしろい。

    未来のイセにいた神官は、パラレルワールドの直江でOK?現在の直江が懐かしいと感じたのは、未来の直江神官の中にも高耶の魂のかけらが残っていたからということか。


    そういえば、未回収とまではいかないけど、物語に一回も出てこなかったのが、直江の他人を換生させる能力だわ。

    美奈子の体に高耶を換生させたっていうことは、回想シーンには出てきたけど、実際に使ったシーンは出てこなかった。

    邂逅編、幕末編、昭和編あたりで出てくるのかね?あ、昭和編なら必ず出てくるか。美奈子が登場するし。

  • はー……読み終わったー……
    結局これは直江のエゴの物語だったのかな……高耶さんまじ聖母でした。

  • 遂に最終巻。
    戦国モノかと思いきやBLが強くなってきて
    途中で投げ出したこのシリーズだが、完結したと聞いてここまで読んできた。
    最終巻まで読めて、良かったと思う。
    良いラストだった。

    以下ネタバレあり。


    けしてハッピーエンドとは言えない。
    最後まで逆転劇を期待しつつも、どこかで無いとはわかっていた。
    だが、高耶が死んでしまったとき、とても辛かった。
    高耶としての人生も、景虎としての人生もここで終わってしまう。
    二度と輪廻は巡らない。

    約束を守れないという高耶。直江を残して行ってしまう。
    それを看取った直江がどういった行動をとるのかと不安になったが
    自暴自棄に陥ることはなかった。
    穏やかに受け止めて、覚悟をしていた。
    換生し続けて、この星が滅ぶまで生きる。
    最後の命が尽きる瞬間、私はあなたに表明するだろう。
    私の愛は永遠だったと。
    この言葉はずしりと重かった。

    この先の直江の気が遠くなるような年月を
    千秋が、もう宿体も変わって千秋ではないのだが、彼が
    彼らしい軽口を叩きつつも、共に歩いてくれることが一筋の光のように感じた。

    この先、直江と千秋が高耶の桜を見上げることがあるのかもしれない。



    あとがきにあった、
    本を開けばいつでも会えるところが現実世界とは違うところで
    本に記された文字は変わらないが
    そこに書かれてある内容は読み手によって変わってくる。
    というのは本当にそうだし、
    「この物語はこれで全て読み手である皆さんのものになりました」
    という言葉が、本当に終わってしまったのだなという感慨や
    寂しさや、様々な気持ちを喚起した。

    賛否両論なのかもしれないが、自分は
    単純なハッピーエンドではなく期待した永遠ではなかったが
    非業の死や恨み、霊と現代の人間、そうしたことに
    一定の答えを見つけた納得のラストだったと思う。

  • ついに信長との戦いに決着がつき、完結。
    長かった!
    直江の最後の最後まで換生しつづけるという決心に、高耶への果てしない愛を感じて感動。
    「永劫の孤独を、埋めてあまりあるほどの幸福を。」「私はもう充分にそれを授かってきた」
    読んでよかったと思えた。

  • 同性愛だけど、あまりにも壮大なスケールで描かれた世界観や、構成力に圧巻です。各キャラクターたちの魅力的な個性や、心理などの描写も申し分ないです。

    ただサクサク読み進めたい人にはキツいと感じるかも…?

    まだ全巻読んでないのですが(汗)、高耶と直江のあまりにも一途でお互いを求めるその姿に胸が打たれます。
    これほどまでに苦しみもがき、一途に愛を貫いた純愛はそうそうないのではと…。

    二人の結末は読む前にある程度の情報があったのでちょっと衝撃的でしたが、実際に読んで、私はあれでよかったと思います。
    また読み返そうと思わせる小説です。

  • アニメで見て興味を持って原作を読み始めました。
    そして昨晩、ついに本編を全て読み終えました。

    還りたい。
    還りたい。

    私の中の何かがそう叫びました。
    松本で高校生をやっていたあの頃に、
    怖い夢を見たのですかと囁いてくれた彼の側に。

    戻れないという事の痛みと、
    これからも進み続けるという事の愛。
    何もかも受け止めるには、私の人生はまだ浅いなと感じます。

    彼らが作中で落とした涙の熱さが感じられた一冊でした。

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著者プロフィール

千葉県生まれ、東京都在住。中央大学文学部史学科卒業。「風駆ける日」で1989年下期コバルト・ノベル大賞読者大賞を受賞後、90年『炎の蜃気楼』でデビュー。同シリーズは累計680万部を超える大ヒットとなる。他の著書に、今作を含む「西原無量」シリーズ、『カサンドラ』、「赤の神紋」シリーズ、「シュバルツ・ヘルツ」シリーズなど多数。

「2023年 『遺跡発掘師は笑わない 災払鬼の爪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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