扉を開けて (コバルト文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 25
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086004954

感想・レビュー・書評

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  • 魔力を持ってしまった故に寄る辺無い孤独感を持って生きてきた根岸美弥子は同じく魔力を持って社会から疎外される2人とともに異世界へ。侵略された国を救うべく、伝説の女神として振る舞うが。

    新井さんといえば日本SFの重鎮というイメージしか持ってなくて、近々読みたいな、と思っていたところ図書館で見つけたので手に取りました。折しも浴びるほどSFが読みたい欲求が高まっていたのでこれ幸いです。
    ところが読みだすとすぐになんとも古めかしい文体と一見ザルな設定に昔流行ったようなファンタジー小説の匂いがプンプンしてきます。奥付を見ると、なるほど80年代コバルト文庫かあ。ラノベの走りかあ。これはイメージが違うぞ。読みたかったのはもうちょっとハードなSFなのだけど。と思ってたのですが、中盤以降は物語の進行とともにザルのようだった世界観も隙間がザクザク埋まって急転直下のストーリーの展開にすっかりひきこまれたまま最後まで読んでしまったのでした。そしてつきつけるテーマも、停滞の安寧なのか流血の前進なのかという、けっこうシビアなところを攻めてきます。結果、やはり時代は感じるものの(作中にも「20世紀の」という言葉がたくさん出てくる)しっかり心に爪痕を残す作品だったのでした。読めてよかった。
    ちょっと驚愕するのはこの本を書いたのが、新井さんが20歳の時だったということ。お気楽ラノベの皮を被ってこの奥行き感を出せるのはちょっと老獪な手腕で、二十歳といえば若さを持て余すただの阿呆だった僕には想像もできない所業です。
    これはもちろん他の作品も読むことに決定です。

  • 若干二十歳にして描いたこの作品、
    なかなかすごいと思う。
    ラノベではあるのだけど、
    異世界ファンタジーに入り雑じって
    ちょっと哲学的でもある。

    当時の言葉遣いが多少あるけど、
    (当時の他作品より)行き過ぎてないからまだ読める。

  • 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(フィリップ・K・ディック)を読了したら、無性にSFを読みたくなった。
    私にとって、SFといえば星新一と新井素子。
    というわけで、早速図書館で借りたのがこの本。
    本当は、同作者の『ブラック・キャット』か『星へ行く船』を読み直したかったのだけれど、もうなかなか図書館に置いていないのがなんだか悲しい。

    今でいう、異世界ものになるのかな。
    おもしろくないわけではないけれど、文中、「ふみ」や「あーん」という感嘆句がちょっと辛かった。

  • 私が持っているのは初版の単行本なのですが、コバルト文庫で再々版されたものがあったので、こちらに切り替えました。しかしすごい表紙;と思っていたら、羽海野チカさんのイラスト(挿絵も?)だそうで、びっくり;。

  • このテイストは懐かしい。
    最初、尊大なファンタジーになるのかと思ったけれど、主要な登場人物は限られているし、それぞれの能力もわかりやすくて読みやすい。
    今を変えるのか。今のままを貫くのか。主人公たちが異世界を通して生き方を感化するところが印象に残った。

    新装版の絵、いいねw

  • 新井素子さんを新装版で読めるのは、うれしいです。
    懐かしく、でもやっぱり面白かった。

    三拍子そろえてはいけない危険
    ―そして、あたしは扉を開けた。
    あのマンション、
    満月期、
    魔女とテレポーターとライオン男。

    小学校高学年から読めます。

  • 少女小説を読んでみよう期間として挑戦してみた。が……共感できるところもないではないんですけど……この語り口調は十数年前辺りの少女小説では当たり前なのか? どうしても馴染めなくて、頑張って頑張って読み下した感じです。挑戦してみたいと思ってたけど、2010年代の少女小説もこういった文体だったら挫ける。

  • あたし、秘密がある。他人の精神をあやつれて、目で見ただけで物を動かせる。月の満ちる時は特に力が強い。そんなあたしが予知夢を見た。扉の向こうで大勢の人が、あたしを“ネリューラ”とよんでいるのだ。それが、正夢となって……。赤い魔の月が輝く時、扉が開く……。そしてあたしはヒロインになる――。異世界、ヒロイック・ファンタジー。

  • 昔漫画でみた事があります。
    どれくらい違うのかな? と思って読んだのですが
    それほどすごくあらすじが変わってるわけではなかったです。

    ただ、最後の微妙な恋愛ちっくなものはなかったかと。
    とはいえ、遠い昔の記憶ですから…あまりあてにはなりません。
    記憶をなぞるように読んでみました。
    が、やはり漫画の時も思いましたが
    最後にはやはり、インパクトがありません

  • これも私が持ってるのは昔のだから、表紙が違いますねー。

    ご本人もナルニアの影響を受けたと言ってらっしゃったけど、確かに微妙に被ってます。でも内容は全然違います。特にキャラが。
    戦争を経験してる人としてない人の差とか・・・思ったより考えさせられる話。
    あと、この世界観は他の話とも繋がってるので・・・いつか「中の国年代記」を読んでみたいものです。

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著者プロフィール

1977年「わたしの中の・・・・・・」が奇想天外新人賞佳作に入賞し、デビュー。以後『いつか猫になる日まで』『結婚物語』『ひとめあなたに・・・』『おしまいの日』などを発表。1999年に発表した『チグリスとユーフラテス』が第20回日本SF大賞を受賞。

「2022年 『絶対猫から動かない 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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