- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784086013543
作品紹介・あらすじ
19世紀帝政ロシア。父の死をきっかけにある能力に目覚めた少女オリガは、早春の公園で見たくないものを見てしまう。止むをえず少年の失踪事件捜査に関わるのだが、行く先々に現れるいわくつきの副署長ロジオンに、腹が立つやら調子を狂わせられるやら。しかもこの副署長、女性問題で地区警察に左遷されてきたという噂…。秘密を抱えて奔走するオリガに、いたずらな春の風が吹き始める…。
感想・レビュー・書評
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作者の個性が1冊に遺憾なく発揮された一作
少女もの冒険小説のプレリュードで1冊になるところもそうだし
歴史浪漫を題材にしてそこに拠りかからないところもそうだし
それでありながらきちんと読ませる独特の作劇
少女小説にせよ少女向け部門ライトノベルにせよ少女を題材にした小説にせよ
娯楽小説としてどれにも満たないが
どこにもない位置にある面白い立ち位置だ詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
帝政ロシア。不思議な力を少女オリガは、少年の失踪事件の捜査に関わるが、行く先々で現れる訳あり副署長ロジオンに、腹が立つやら調子が狂うやら。ミステリアスロマンス。
風の王国でもガル好きなので、レオニードのキャラがすてきでした。
帝政ロシアの設定はめずらしく、予備校でもちょうどこのあたりの歴史をやったばかりなので、大変歴史の復習になりました。二度おいしい小説。
表紙から察するにあの人とくっつくのでしょうが、ガル的キャラとくっつくお話も切に読みたいです。 -
時代については全く無知ですがじんわりと暗い雰囲気のある背景と、そこで生きるオリガの芯の強さに惹かれました。小さな事件もしっかり意味があり、超能力的な能力がありながらも地道な調査をしていてミステリーとして楽しめました。ラブ要素が今のところ少ないのも、今後に期待できるというか……。ペアはできているので。あとワシーリー君の今後の活躍を待っています。オリガの支えになってくれると信じている。タイトルについて、オリガの夜の雷が、今後虹になるのかなとか考えながら次巻を期待します。。
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舞台やキャラがロシアのイメージとは違うし、その必要もなかった気がする。主人公に好感がもてない。
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“オリガは窓の向こうの風景に意識を戻し、カーテンに手を添えたままうなずいた。
そもそも告白したのがまちがいだったのだ。死者の、死の直前の行動の残像が見えるという力で、だれかを助けたのははじめてだった。そのせいで浮かれていたのかもしれないし、ロジオンに対して的外れな仲間意識を抱いたのかもしれない。
だが、彼はオリガの仲間でも味方でもない。そのことを忘れてはいけない。
「気をつけなくちゃ」
もう二度と、自分の奇妙な力のことは他人に話さない。
オリガは、もう一度うなずき、ワシーリーの様子を確かめるために部屋を出た。”
事件が二つも続いたことには正直そんなに詰め込むかと思いつつ。
主要登場人物同士の掛け合いは少なめだけど楽しめた。
あと食べ物の描写が丁寧で堪らん。
“オリガが鍵を開けると、ロジオンが静かに門扉を押し開いた。
日常的に開閉されていない門扉は、存外に大きなしきみを響かせた。
「油を注したほうがいいな」
ロジオンがつぶやき、オリガに手を差し出した。
オリガが、その手に鍵を載せると、一瞬の沈黙の後、ロジオンが噴き出した。
「ちがうよ。暗くて危ないから、手を引こうかと」
「...わたし、そんなに老人じゃないわ」
オリガはぷいと横を向いたが、ロジオンが手を引っ込めなかったので、しぶしぶ彼の手に自分の手を預けた。
ロジオンの手は温かかった。
そのせいで、オリガは自分がふたたび寒さを感じはじめていたことを自覚し、ロジオンの手の感触に心地よさを覚えた。
馬に乗っていたときと同じだ。目的地を目指して移動している最中なのに、ずっとこのままでもいいという気持ちになってしまう。
だが、そんな気持ちは認めたくなかったし、表にも出したくなかった。” -
帝政ロシアとか将校さんとか。
設定萌える。
レオニードがものすごい気になる。 -
2011年4月26日読了
うっかり帝政ロシアという設定に惹かれて借りてしまった。
おかげで少しロシア的な名称にあたふたしながらも、やっぱり設定がいいなぁとしみじみ。中々、この時代のロシアを扱うことなんてないからさー!
主人公のオリガは上流階級の娘にも関わらず、かなり行動的。そのため、『変人』って言われるのは仕方ないかなぁって思った。何より、彼女が特異なのは死者の残像が見えることだけれど、それに関しては結構頑なな感じ。彼女自身、力を持て余している感じだよね。
ロジオンの性格がイマイチ掴めないんだよねー。職務に忠実なのか、それが性格なのか…。多分、後者だと思うんだけど序盤は全然わからん。オリガが残像の話をしたくないとかなりつっけんどんにしているせいもあると思うんだけど。個人的にはロジオンとオリガはいいコンビだと思います。
ロジオンに反して、アーサーはなんか企みありそうな一筋縄ではいかない男だなと思った。けれど、きちんとオリガの気持ちを慮ったりもするので、余計にミステリアス!
レオニードは、非常に素敵というか。ビジュアル見た時点で、なんかべー様のボイスが響いてきたので、台詞は脳内でべー様ボイス再生になっています。なんだろう、ああいう含みがある感じはそっちに直結しちゃうみたいなんだよね(笑)
話は主にふたつの事件。繋がりのない事件だけれど、ロジオンと出会いオリガの気持ちを決めるのに重要な事件でした。
著者の描写が丁寧で、特に心情に関してはとても読みやすかったです。オリガはすごく可愛い娘で、彼女の気持ちが丁寧に描かれるからこその結末だと思う。
これから2人は真相にたどり着くことができるのか!? -
帝政ロシアという舞台に惹かれ購入。ミステリーとサスペンス要素が強く、恋愛色は薄いですが、ロシアの文化が所々に織り交ぜられ、読んでいて楽しかったです。勝気なオリガとゆるいロジオンのコンビが私的にツボでした。これは…萌えるぞ…!今後どうなっていくのか楽しみです!
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コバルトでは珍しいロシアが舞台っていうので、思わず手に取ってしまいました。