扉を開けて (コバルト文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 278
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086107556

感想・レビュー・書評

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  • 新井素子による異世界転移ファンタジー。超能力を持つ大学生たちが、ファンタジー世界で大冒険を繰り広げる。

    異世界に飛ばされて、英雄やら神格扱いを受け否応なくゴタゴタに巻き込まれるテンプレ的展開。ラノベという言葉もなかったと思われる1980年代に書かれた当時はさぞかし新鮮だっただろうが、異世界転生なろうがはびこる今の時代の読者にはどう映るのだろうか。

    個人的には、とても面白かった。作者らしい女性主人公の文体がこの年代にありがちな悩みをよく映し出していて、それが異世界での冒険を通じて克服されていく『行きて帰りし物語』の王道を独特のノリで書き切っているのが見事。主人公たちがもともと超能力を持っているという設定、魅力的な3人の大学生のキャラクター性、姫との友情、とある存在についてのどんでん返しなど、物語としての完成度も高い。読んでいる自分自身も、明日への扉を開きたくなる前向きなラストに、きっと今の若い読者も共感するのではないだろうか。良書は不滅だと感じさせる傑作。

  • これはほんとに面白い。ファンタジー。中の国シリーズ?って言えるのかな、
    ラビリンスとディアナディアディアスも大好き。素子さんの中で一番好きって言ったもいいかな。

    この本読んで、ナルニア国物語知ったんだよね。

  • 年末年始の帰省中に実家に置きっぱなしにしてあった10代の頃の愛読書を再読キャンペーン2018-2019。1年ごしで新井素子に再着手。

    こちらは現代日本人が突然異世界へ召喚されその国の救世主になっちゃうベタな設定のファンタジー。主人公・根岸美弥子、通称「ねこ」ちゃんは予知能力その他の超能力がある。彼女が住む第13あかねマンションは異空間と繋がりやすいらしく、まともな住人はすぐ引っ越し、残っているのは奇人ばかり。ねこの隣室に住む男性・杳(はるか)はテレポーター。そしてねこの大学の同級生・桂一郎(狼男ならぬライオン男)の3人が揃ったとき、彼らは異世界へ。ねこは中の国の伝説の救世主ネリューラとして大活躍、東の国の戦うお姫様ディミダと協力し、侵略者・西の国のデュラン三世と闘う。

    ブクログに登録しようと検索したら、今は羽海野チカさん表紙絵の新版が出てるんですね。

  • あたし、秘密がある。他人の精神をあやつれて、目で見ただけで物を動かせる。月の満ちる時は特に力が強い。そんなあたしが予知夢を見た。扉の向こうで大勢の人が、あたしを“ネリューラ”とよんでいるのだ。それが、正夢となって…。赤い魔の月が輝く時、扉が開く…。そしてあたしはヒロインになる―。異世界、ヒロイック・ファンタジー。

  • 懐かしくて一気に読んでしまいました(^^)

  •  私にとっての、新井素子との出会いの本。
     これなくして、私の読書人生は語れません。
     そして、ファンタジーにはまったきっかけ。

  • 既読本

  • 多分、初めて、一応、小説を読んだと言える本。
    当時、コバルト文庫が人気があり、この作者はその中でも人気作家の1人だった。
    少女小説だから、今読んだら、本として読むには、成熟さには欠け、物足りないだろうけど。しかし、個人的には、当時の情熱のような夢や憧れのような、何かが思い出される作品。

  • うーん。
    素さんいかにもなファンタジーは向いてないかも…
    やっぱり十八番はSFファンタジーだよねっ、って感じ。

    僕はデュラン三世が正しかったと思うんだ。
    彼とディミダ姫が結婚して国を統一すれば素晴らしい国が作れるだろうに、どうして殺しちゃったんだろう?
    確かに人の命は大切だけど、20世紀東京だってたくさんの命と血と涙の上に成り立っているんだよ。
    同じことをどうして中の国ではしちゃいけないのかしら?
    『スメラギの国』で朱川さんが書いてたけど、歴史を変えるきっかけはほんの数人なんだ。
    たった一人で歴史は変わる。

    キリストだって、エジソンだってその一人で歴史は変わったんだ。
    だからデュラン三世は正しいと思う。
    停滞して、文化も歴史もない国なんて国じゃないし、進歩がないんなんてそれは世界じゃない。
    文化も歴史も進歩も人が人を乗り越えていってはじめて出来るものだ。

    だからネコちゃんは甘いと思う。
    甘すぎる。
    事実から逃げている。
    その当時の素ちゃんがそういう平和主義だったのかもしれないけれど
    わからなくもないけれど
    間違っていると僕はおもった。

  •  久しぶりに再読。

     読み返してみると、さすが新井素子。ライトノベルのはしりと言われるだけあるなぁと感心する。要所要所が押さえられている。
     ただ、今読むと、耳が痛い小説である。

     自分はちゃんと「扉を開けて」いるんだろうか?

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著者プロフィール

1977年「わたしの中の・・・・・・」が奇想天外新人賞佳作に入賞し、デビュー。以後『いつか猫になる日まで』『結婚物語』『ひとめあなたに・・・』『おしまいの日』などを発表。1999年に発表した『チグリスとユーフラテス』が第20回日本SF大賞を受賞。

「2022年 『絶対猫から動かない 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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