- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784086108201
感想・レビュー・書評
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私にとっての「ヒーロー」といえば、この作品のヤマトタケル。
何度読んでも、ヤマトタケルの勇壮さにときめき、大王の仕打ちに傷ついている繊細さに愛しさが募り、亡妻のオトタチバナヒメをこい続ける姿に切なさマックス、涙がとまらない状態になってしまう。
もう何度読み返したか分からないくらい、幾度となく手にとっている作品。そして森田じみいさんの美しい挿絵も素晴らしい!相乗効果で作品の魅力を高めてくれている。
ところで、今回再読したのは、田辺聖子さんの「隼別王子の叛乱」の余韻もあって。両作品は古事記から題材を得ている点も同じだけど、登場人物の独白スタイルでストーリーが進んでいく点も同じ。私の中では兄弟作品として位置づけられている笑。
後書きによると、氷室冴子さんは、ひとり芝居の舞台を想像しながら執筆したそう。その通り、一文一文がそのままセリフになってしまう美しさと簡潔さで、スラスラと読めてしまうのも大きな魅力。
ヤマトタケルを題材にした作品は、黒岩重吾さん、漫画では山岸涼子さんの「ヤマトタケル」と手塚治虫さんの「火の鳥」を読んだけど、もっと色々読んでみたいです。小説・漫画・映画などで面白い作品をご存知の方、ぜひ教えてください!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
氷室作品はどれも好きですが、一つだけ選べと言われたらこれを迷わず選びます。
彼女が描く人の切なさが凝集している作品です。 -
2016年5月29日購入。
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高校時代、何度読んだか、そして何度泣いたかわからない作品です。読むのに体力がいる気がして、今はあまり読みたくないかも(笑)。
古本屋で最初見かけたときは、挿絵に「うわっ」と引いたけど、氷室冴子の本だし……と手に取り、家で読んで感動しました。こんなに悲しい話があっていいの? と。
最初抵抗があった挿絵の絵柄も、あとがきに「濃艶な体臭たちこめる絵」と書かれていて、もうこの話にはこれしかないと気に入りました。当時珍しかったフルカラーなのも、いちいち匂い立つようで良いです。
この本と銀金の影響で、私は短大の卒論テーマを古事記にしました。 -
ビ、ビアズリー。なんかサロメ、と驚愕。すごい、何か北欧の神話みたいです。
え、そんなに少女小説で漢字は受けないものなのか。 -
昭和61年の本。
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あとがきでこんな漢字だらけの本を読んでくれて、とありますが、そこがいいとこなんだなあ。こういう字をこう読ませる、というのがまた雰囲気を高めている。素晴らしいお話でした。しかし、みんながみんなこんなに哀しい想いを持っているなんて涙涙でした。古事記をちゃんと読んでたらもっともっと楽しめるかしら?
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小説というより、大いなる叙事詩。
銀の海金の大地はこれをもとに生まれたんだなあ。
古代の雰囲気、やまとことば、ヒコイマスや佐保彦・佐保姫、白い生き物、話ができないモノミなど……。
セーラーVとセーラームーンみたいに。
プロの作家ですらこうやって習作のようなものがあるんだ。
うん、頑張ろう。 -
詩のように美しい文章で語られる
ヤマトタケルのものがたり。
切なくて最後には泣けました。
タカラヅカファンだった作者の氷室冴子さんが、
以前、当時まだ在団中の一路真輝さんと、
誌上対談したことがあったのですが、
そこでこの「ヤマトタケル」を、
一路さんに演じてほしい、
みたいなことを話していたのを覚えています。
宝塚でヤマトタケルはショーにはなっていますが
お芝居にはなっていないので、
いつかこのお話しが舞台がされるといいな、
と思っています。
ちなみに、この小説は
田辺聖子の小説「隼別王子の叛乱」と、
似たところがあるのですが
こちらは昔宝塚で舞台化されてるんですよね。