- Amazon.co.jp ・マンガ (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784086170901
感想・レビュー・書評
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古代日本、宇宙、民族と民俗、遺跡、宗教、伝説…そういったものが物凄いエネルギーでごちゃ混ぜにされて、熱くたぎったスープのような状態で提供された感じ。だからまだ、未完成のような印象も受ける。もう少し体裁を整えて、味付けを工夫して、口当たりの良いものにして人前に出せば、もっともっと「いいね!」って言ってくれる人が増えるんじゃないだろうか。でも、ま、そうなってしまったら、たぶん、この原始的で混沌とした渦のようなエネルギーは霧散してしまうのだろうけど。
この作品が、かつてジャンプに連載されていたってこともまた驚きだなぁ。今のジャンプではちょっと考えられないような大人テイストというか、半強制的に頭を使わせられる感じというか…昔の作品を読むと良く感じることだけど(漫画も小説も)、時代が新しくなるに従って、いわゆる「コドモ」の期間が長引くようになってきた気がする。
個人的には、もっと登場人物の背景や内面を描いてドラマ性を高めてほしいとか、エピソードを淡々と繋げるのではなくそこに物語性と浪漫をもっと盛り込んでほしいとか、あげようと思えばいくつかの要望が浮かんできてしまうのだけど、たぶん、良い意味で、そういう小手先にまで気を遣えないような、早く昇華しないと治まりきらないようなパワーが、当時の作者の頭の中にあったのだと思う。
今読んでもハッとさせられるような記述も多いし、後のアニメ文化に引き継がれているようなテーマ(人類の初期状態だとか、今後あるべき人間の理想とか)がズバリと記されていたりもするし、そういう意味では普遍的な魅力がある。そこを更に、縄文に始まる古代日本とからめたところが作者の鬼才たる所以。ところどころに描かれる、縄文土器の文様が妖しさを際立たせる。このへんの興味・関心が、妖怪ハンターシリーズにも繋がっていったのだろう。
物語としては淡白なので心にズドンとくる話ではないのだが、ふとした時に手にとって、何度も読み直したくなる感じ。面白い仮説の史料集を読ませてもらっている感覚に近いだろうか。考古学や民俗学が好きな人なら尚更おすすめ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1976年に週間少年ジャンプで連載されていた古代日本伝奇マンガ。やはり名作は名作、何度読んでもすばらしいです。当時初めて読んだ時、弟橘が崩れるシーンを読んだ時に受けたショックを未だに鮮明に思い出せます。ここらへんが私の古代史好き原因の一端がありそうです。
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手塚治虫が恐れ、宮崎駿、庵野秀明が影響を受けた諸星大二郎の作品。確かに主人公の武はシンジに重なる(地球の運命を本人の選択に委ねられてしまう)し、徐福伝説に出てくる徐福は何となくゲンドウとかぶる。神話+仏教サスペンスが新感覚でワクワクした!諸星先生の作品もっと読みたい。
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読み進めるうちに中毒になる画風。そして内容は、消して創作とは言い切れないもので度肝を抜かれる。全く別人の楳図かずおの恐怖漫画という言葉を思い出し、これをなんと命名する?と自問自答してしまった。
太陽の塔漫画と言えば岡本太郎が怒るかなぁw -
苦手な絵柄だったが、古代、宗教の謎を追っていく構成で、ちょうど、古事記について色々知識を得ていた時だったので、面白く読めた。
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古代の豪族の末裔たちが、宝と言われているものを巡って、鍵となる主人公の少年を日本全国に連れまわしたり、主人公が自発的に移動したりする。
施餓鬼寺の所が印象的でした。
宝とは何か? 手にするのは誰? -
昔、読んだ時は、「なんかよくわからない怪物の話」みたいな印象でした。
で、どっちかというと、「孔子暗黒伝」を読んで、それと関わりのある話ということで、「すげえ」と思っていました。
今回、読んでみると、日本史の知的好奇心みたいなものが、ムクムクとわき上がってきました。
昔のマンガって、アイデアを惜しみなく投入して、ものすごいスピードで、物語が展開していくなぁとつくづく、感心します。 -
武蔵野に住む少年・武(タケル)には、幼い頃のとある記憶があった。
背中を刺されて死んだ父。すぐそばで泣いている自分。そして、もう一人誰かがいたような…
縄文土器にひきつけられるような魅力を感じて、長野県の資料館をたびたび訪れていた武は、そこで竹内という名の不思議な老人と出会う。
父はどうして死んだのか? その時ついたらしい武の肩の傷は、まるで蛇の頭のような形で残っていた。真相を知りたい武は再び信濃の蓼科山に立つ。
奇妙な洞窟の中で待っていたのは、おびただしい数の古代の人骨と、鎖で縛められた恐ろしい姿の怪物だった。腕のない怪物…それは、神話に語られる諏訪の大神・タケミナカタなのか!?
竹内に導かれ、出雲にやってきた武は、別の世界へ招かれた。
そこで「唯一にして最高の真理」ブラフマンは語りかける。「おまえこそ、わが分身たりうるアートマン…」
そのころ、アートマンの力を手にしようと目論む男が一人、武の行方を追っていた。
彼の名は菊池彦。クマソの後裔・菊池一族の当主である。
「・・・冬は オリオンがきれいだ・・・美しい・・・」 -
伝奇漫画の最高傑作と言える作品ですね
日本神話を中心に独特の解釈で煮詰められたストーリーは、
圧倒的なほどに濃厚で一度味わったら癖になってしまいます
各地に散らばった神秘的な謎が読み進める内に繋がり
大きな形を描いていく
その展開の見事さに時間を忘れて熱中できる作品です
選ばれし主人公と、そのアンチテーゼである菊池彦
この二人の存在が実に皮肉
その対立が退屈な設定漫画と一線を画する仕上がりになっています
説明が多い作品なので、漫画を「読む」のではなく「見る」人には
ちょっと合わない作品ですが、
多くの方に味わって欲しい作品の1つだと思います