いわずにおれない (be文庫)

  • 集英社 (2005年12月16日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784086501019

作品紹介・あらすじ

ぞうさんのおはなはなぜ長いの?
一世紀近くを生きてきた詩人から、こんこんと湧き出る詩。そのほとんどは、ひらがなで書かれた短いものだが、驚くほどの生命力にあふれ、読む人の渇きを潤してくれる。詩人が語った“今のボク"を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 私がこの本を読もうと思ったきっかけは、子どもの小4の教科書にまどさんの「よかったなあ」が載っていたからだ。

    よかったなあ 木や草が/ぼくらの まわりに いてくれて …
    「よかったな」じゃなくて「よかったなあ」というのが、まどさんらしい。自分の心の声をそのまま言葉にしたら「あ」も付いてきた、みたいな感じ。
    蛇足だなんて全然感じない。むしろ「あ」があるからこそ、まどさんの詩は詩たりえるのだとまで言い切れる。「あ」が付くことによって広がる言葉の響きが、ぼくらの周りに存在する草や木や、鳥やけものや虫や、あらゆる生命がぼくらを包みこんでいるというニュアンスを伝えている。

    そして改めてこの本を読んだ。「よかったなあ」で私が感じた印象を1ミリも損なわないまどさんの遊び心あふれた語りでいっぱいだった。
    この本の読者はあらかじめまどさんが相当のご高齢だと知っているが、仮に、まどさんの語りの部分をラジオ番組で朗読すれば(もちろん年齢がばれる箇所はカット)、まさか90歳を過ぎた方の語りとは思えないだろう。とにかく視点がミクロかつマクロ。縦横無尽に駆けているような印象。現在のミック・ジャガーのステージングが70歳を越えているとはとても思えないのと同じようなものだろうか。

    本を読むうちに、まどさんの心にはトゲなんか1本も生えてないんだなあと思うようになった。そして、たとえ自分が見つめる相手にトゲが生えていたとしても、まどさんはきっといいところを見つけ出し、詩にしてしまうだろう。なんせ、おならやうんちも詩にしてしまうような人だ。

    一方で、あまりにも私たちに身近な題材で詩作するまどさんの作品を読むと、自分もこれならできるのでは…と思う人は多いのだろうか?いや、私たちとは決定的に違うところがある。

    最近は「~させていただいた」なんて持って回ったような謙譲表現が堂々と表通りを歩いているが、まどさんだったらそんなお尻の穴がむず痒くなるような言い方はしなかっただろう。それはこの本の載っている数々の詩の息吹きを感じられればわかる。まどさんの言葉に対する姿勢は遊び心であふれているが、言葉の選択に対する態度は真剣で研ぎ澄まされている。

    そんなまどさんだからこそ、自分が息をしているそのまわりに、草や木やそれこそ目に見えないものも含めた生命が何億、何兆、いや、もっと数かぎりなくいて、一つひとつがみんな、めいめいに違っているということに気づき、そしてそれを小学生でもわかるようなやさしい言葉で結晶化している。それによって、数多くの易しい言葉=優しい言葉が生まれたのだ。
    その証拠に、まどさんの遊び心あふれた詩の数々は、木喰の木彫りの仏像のように、親しみと崇高さの両方を兼ね備えている。

  • 読んでいてこの詩もまどみちおの作品だったんだ…と懐かしんだり。
    それ以上に絵を描いていたのを知らなくて、こんなに素敵な絵だったんだと画集が欲しくなった。
    戦争の体験もされていて本も出されているので、こちらも読みたい。

  • やさしい詩
    心にすっと入って来る
    数年前104歳で亡くなられた
    老いても好奇心と優しい眼ざしは衰えるどころかますます清冽になっておられたように思う
    絵も描かれていたんだね、抽象画
    すごーい
    謙虚でまっすぐなお人柄
    傲慢な人間たちに「いわずにおれない」のだろう
    インタビュアーの方とのやりとりもほのぼの

    たくさんの言葉
    ありがとうございました

    ≪ 生かされて 宇宙の隅の なにもかも ≫

  • 歳を重ねてもありのままを受け入れ、好奇心を失わない作者の生き様に共感した。シンプルに自分もこうありたいと思った。

  • 読んでよかった。また読みたい。

  • 先ごろ亡くなられたみちおさん。
    何回かに分けて行われたインタビューをまとめたもの。
    題名を見ていると、世間に向けての激しい気持ちをぶつけるかのような内容を思いますが、ちょっと違うんですね。何事も主張されていません。
    目に見える物、身の回りの物すべてに分け隔てなく目を向けて、言葉にせずにはいられない、そういう感じです。
    全詩集に戦争肯定的な詩を加えたことについて(もっとも関心があったこと)「誰かに指摘されて気づいた・・・」って、拍子抜けしました。何にも気負っておられない自然体のまどさんらしいというか。
    インタビューを受けながらも、無学で、ほかに何もできないから、などと本当にすまなさそうにおっしゃっていたとか、そういうお人柄から生まれた作品だから、いつまでも多くの人たちに愛されるのでしょうね。

  • 謙虚さと素直な心情、
    飽くなき探究心を持つ、詩人、まど・みちおさん、
    素敵なお人柄だなあ〜と思いました。

    知らない詩もたくさんあった。
    特に好きだった作品…さくら

    まいねんの ことだけれど
    またおもう

    いちどでも いい 
    ほめてあげられたらなあ・・・と

    さくらの ことばで
    さくらに そのまんかいを・・・

    もうひとつ、せっけんの目で。
    小さくなった石鹸を前に
    せっけんのあかちゃん〜と作者は言う。
    そういう目がもうひとつ、
    にんげんの心のまん中にあること、
    みはってくれていること。
    大切だなあと思う。

    まどさんは学がないとか、
    語彙が少ないなどと、インタビューのなかで
    おっしゃっているが、
    誰でもがわかる、平易な言葉で
    大事なことを伝えるまどさんの詩は
    やはり心に響く。

    夜寝る前のほんのひととき、
    繰り返し、上質な言葉を自分に入れる。
    まどさんの詩は、ゆっくりと心を
    落ち着けてくれる。

  • こんなに、やさしい言葉が溢れた本を、ほかに知りません。
    なんて、あたたかいのだろう。

    やさしさ
    この言葉に想いを馳せるとき、自然とまどさんの本に、手が伸びます。

  • 奥が深いですね~。
    ----
    ・一生懸命になるっちゅうことは、自分が自分になること。一生懸命になれば、一人ひとりの違いが際立つ。いのちの個性が輝き始める
    ・「いわずに おれなくなる」
    いわずに おれなくなる/ことばでしか いえないからだ
    いわずに おれなくなる/ことばでは いいきれないからだ
    いわずに おれなくなる/ひとりでは 生きられないからだ
    いわずに おれなくなる/ひとりでしか 生きられないからだ
    ・私っちゅう人間は結局、何かを見てハッと心が震えても、それを突き詰めていかないと、その美しさやすばらしさに本当は気がつかないんだと思います。自分なりに考えて追及していってひとつの詩を書くことで、初めて心からそれを感じることができる

  • 日本人なら誰もが歌える「ぞうさん」の詞を書いたまど・みちおさん。まどさんの作品を通して、まどさんの考え方、生き様を促えようという試み。薄いし、平易な文章で書かれているのでパーっとすぐに読めますが、とても深みのある一冊。母からもらいました。

  • 宗教と芸術と日常。今はもうすっかり無関係な形式の中に仕切られてしまったこれらが、この人の中では、人間にとっての本来の姿で息をしている。当たり前のように。深く、穏やかで、やさしく、シンプル。老若男女、貴賤や学の有無を問わず、人を惹きつけずにはおかない、そういう世にも稀な力。かつて日本にいたという、妙好人という人達は、きっとこんな風だったのだろうと思われる。

    レビューを書こうとすると分別くさくなってしまっていけない。
    ごめんなさい、まどさん。

  • 有名な童話のぞうさんなどをまどさんが作詞しているとは知らなかった。
    謙虚ですごい方。
    トンチンカン夫婦の詩が良かった
    お米が入ってないのにスイッチ入れたり、そういうボケを笑いは絶えず、おおはしゃぎ
    全詩集も読みたいと思った

  • 九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/1464793

  • 車に乗って雄大な自然と出会に行くことより、家の近くを散歩して出会う小さな野花や、光の線、木の幹を観察することのほうが大事だと思う。
    「あの花」「鳥」「虫」と呼ぶそれらには名前がついていて、いつからこんなに主語が大きくなったのだろうと焦る。この本から伝わってくるまどみちおはシャイで、自分のことを決して褒めない人なんだけど、どんな現代人よりも、目の前の花にうっとりできる人なんだと思う

  • 「ブック以外なら読める」!
    凄い言葉だと思った!

    視点の豊かさが羨ましい!

  • まどみちおさん素晴らしかった。この本を読んで、人柄がわかった。小さな視点をもっており、身近に幸せを見つけるプロだと思った。まどさんは、あまり本を読まず語彙力がないとご自身でいっている。そのなかでも作品を作り続けていたことがすごい。「作品に完成というのはない、未完成だからこそ今まで作り続けてこれた」という言葉が印象的だった。

  • この本のおかげでまどさんを神格化せずにすみそうだ。ぞうさんやしろやぎゆうびんを書けるひとだもの。かみさまのようなひとなんだろうなと思っていた。
    まどさんが自分のずるさを知っていて(無論それは人類全員が持っているずるさなのだが)、そのうえで詩作にはげんできたことを知れてよかった。
    好きな詩とともにそんなに好きじゃない詩を知れたこともこの作家に対する大きな気づきだ。

  • シンプルで、誰にでもわかる言葉で語りかけてくる。
    一人ひとり、一つ一つに向き合う溢れる愛情や優しさが伝わってくる作品の数々。自然と泣けてきてしまう。
    年をとって一層みずみずしさを増していく感性、素晴らしいとしか言いようがない。
    読了後は心のなかがじんわりと温かくなって、いつもより優しくなれる、そんな本でした。おすすめです。

  • ぞうさんのおはなはなぜ長いの?
    一世紀近くを生きてきた詩人から、こんこんと湧き出る詩。そのほとんどは、ひらがなで書かれた短いものだが、驚くほどの生命力にあふれ、読む人の渇きを潤してくれる。詩人が語った“今のボク”を収録。

  • まど・みちおという人は同様「ぞうさん」の作詞家、とぐらいにしか思っていなった。しかし、なんという感受性。そして、伝えようという意思。

    動植物はもちろん、人工物から、地球や宇宙、自然現象、生理現象、果ては言葉や文字、数字といった概念に至るまで、ありとあらゆる「もの」を平等に観察し、味わい、その意味を考え、そして思いやる。そこで感じたことを、我々に伝えてくれる。

    これまで、詩というものを読もうとして読んだことがなったが、もっと読んでみたいと思った。

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著者プロフィール

詩人。1909~2014年。はじめての詩集『てんぷらぴりぴり』出版で第6回野間児童文芸賞。1976年『まど・みちお詩集』(全6巻・理論社で第23回サンケイ児童出版文化賞。同年、川崎市文化賞を受賞。「ぞうさん」「やぎさんゆうびん」などの童謡詩で広く知られ親しまれている。


「2017年 『女声合唱組曲 ねこに こばん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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