下鴨アンティーク アリスと紫式部 (集英社オレンジ文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086800044

作品紹介・あらすじ

京都、下鴨。高校生の鹿乃は、両親を亡くし、今は兄と下宿人の慧と三人で、古びた洋館に住んでいる。ある日、鹿乃は「開けてはいけない」と言われていた蔵を開けてしまう。次々に不思議なことが起き…!?

感想・レビュー・書評

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  • 舞台は京都・下鴨。
    高校生の鹿乃が、お蔵の中の祖母の着物を虫干ししたことから巻き起こる不思議なできごと。

    着物・古典・猫ちゃん…好きなものばかりです。
    特に鹿乃がテーマを決めてコーディネートする着物が素敵。
    大好きな『鏡の国のアリス』をモチーフにしたり、
    お能の舞台を観に行くために、市松柄の小紋とかわいらしい猫の帯をお獅子に見立てたり。
    どんなんだろう…と想像するだけでウットリ。
    そして、そのあつらえにすぐ気づいてくれる慧もいい。

    #アリスと紫式部
    源氏物語の葵の上・六条の御息所・源典侍
    車寄せの「あべこべ」。わぁ、なんて粋な思いつき!

    #牡丹と薔薇のソネット
    住む世界が違うからと、あきらめなくてはならなかった恋。
    ”恨み”であってもいいから思い続けていてほしいなんて、せつなすぎる…。

    #星月夜
    これが一番好きです。
    夫が好きで、好きで、どんな顔をしてそばにいればいいのかわからなかったおばあちゃんの恋物語。
    意地っ張りなおふじさんが、とてもかわいらしい。
    好きな人のそばにいるだけで、見慣れた景色も光り輝くもの。
    そうでした。しばらく忘れてましたね。
    そして表紙のシロ猫ちゃん、やっと登場。
    リリィ・白玉のタマ・白楽天…好き勝手に呼ばれてます。

    続編があるようなので、ぜひとも読みたいです。
    白露ちゃんが、また蔵から抜け出てくれることを期待して。

  • 古い着物を大事に着てる、おばあちゃん子のヒロインには好感しかない。古い洋館で暮らす麗人たちが、オカルトチックな謎を解決するお話し。
    ほのかな恋心も読んでて楽しい。

  • 長編で疲れた私を毎夜癒してくれたアンティーク着物ファンタジー。
    舞台は京都、下鴨。登場人物イケメン多し♪ 古典文学、恋愛、美味しい食べ物…女心をくすぐります。

    蔵の中の着物から憎悪や無念、溢れんばかりの恋心が飛び出して次々と不思議な現象を起こしていく。鹿乃は着物の持ち主を調べ、着物の思いを優しく鎮めていく。執着する人の思い、怖くもあり、羨ましくもある。

    3話目『星月夜』が好き。意地っ張りのおばあちゃんの恋物語。「今宵はじめて見そめたる心ちす…」好きな人と一緒に見る景色はきっといつもと違う。

    京ことばっていいな。豆大福を食べたいな。野々宮家のご飯にもよばれたいな。

    ミステリや事件を求める人には物足りないかもしれないけど、可愛い話、ほのかな恋心が好きな人にはオススメ!

    • 杜のうさこさん
      けいたんさん、こんばんは~♪

      私と知り合って、ブクログが楽しいなんて言ってくれて、嬉しいです(*^-^*)
      もちろん私もそうですよ!...
      けいたんさん、こんばんは~♪

      私と知り合って、ブクログが楽しいなんて言ってくれて、嬉しいです(*^-^*)
      もちろん私もそうですよ!!!

      この本、私のお気に入りがいっぱいじゃないですか!
      京都、イケメン(笑)、古典文学、美味しい食べ物~♪
      (恋愛がない…笑)
      これは絶対読まなくちゃ!
      2015/10/15
    • あいさん
      杜のうさこさん♪

      いつもありがとう(*^^*)
      本当に嬉しいです!

      この本は一応恋愛と書きましたが、ほとんど恋愛はありません(...
      杜のうさこさん♪

      いつもありがとう(*^^*)
      本当に嬉しいです!

      この本は一応恋愛と書きましたが、ほとんど恋愛はありません(誇大広告、笑)
      ほのかな恋心です。
      恋愛は苦手なのでこれくらいがちょうどいいです(*≧艸≦)

      ダークな私はもう少し事件が起こってもいいかなと思ったけど、紹介した皆さん凄く気に入ってくれてよかったと思いました。

      杜のうさこさんはどうかなぁ〜
      気楽に読める本なのでいつか時間がある時にぜひ!
      2015/10/16
  • 祖母の残したアンティーク着物にまつわる不思議な出来事、その謎を解くことで着物を浄化してあげるミステリー。
    女子高生鹿乃が着るアンティーク着物のコーディネートが可愛いです。着物姿で過ごす休日、そしてイケメンのぐうたらお兄ちゃんと密かに想いを寄せる下宿人であるイケメンの大学準教授の慧ちゃん。このキラキラした状況は久しぶりの感覚です(*^^*)
    舞台は京都、下鴨を中心に巡ります。京都って華やかで賑やかなイメージもあるけれど、一本道を違えれば不思議なことが起こってもおかしくないそんな雰囲気にさせられる場所のように思えるのです。そんな京都が好きですね。慧ちゃんの勤務する大学は作者である白川紺子さんの出身である同志社大学今出川キャンパスがモデルでしょうか。あのキャンパスの雰囲気大好きなんです♪
    今回謎は3つありましたが、最後の『星月夜』が一番キュンときてファンタジックな展開で良かったです。
    謎はアンティーク着物をめぐるものだから、過去の出来事が絡んできます。だからなのか謎自体が奥ゆかしい、密やかなものでした。そこにこれから現代を生きる鹿乃の恋の行方なんかも絡んでくるのでしょうか。楽しみです。

  • 京都・下鴨──。旧華族である野々宮家の高校生・鹿乃は、古びた洋館に住み
    休日には、祖母のおさがりの着物を着て過ごすほどのアンテークな着物が大好き。
    同居している兄・良鷹と下宿人の慧、そして鹿乃との三人が
    アンティークな着物を巡って織りなすミステリー。

    着物好きにはたまらないですね♪
    ましてやアンティーク...ヴィンテージ...ノスタルジー...セピア...古風...。
    そんな空気が漂うこれまた大好きな世界観の中に、古典文学が絡むという
    摩訶不思議なゆる~いホラーストーリーがファンタジックで味わい良くて♪

    京都弁に猫。
    それにお祖母ちゃんなところもいいです。
    カバーデザインとイラストも...

    すべてに心くすぐられます。

  • 京都の下鴨を舞台に、アンティーク着物をめぐる謎を解くファンタジックな物語。
    かわいらしくて、好みに合う要素がいっぱい!

    野々宮鹿乃は、高校3年生。
    旧華族の家柄で、祖母の遺した家に、兄とその友人と住んでいます。
    兄の良鷹は古物商だが、家でぐうたらしていることが多く、無駄に?顔と頭だけはいいという。
    兄の親友・八島慧は近くの私立大学の准教授で、離れに下宿しています。
    兄同様に友達は少ないらしいけど、頭がよく物静かで、鹿乃のよき理解者。
    鹿乃のことはまだ子ども扱いしているけど‥?

    土蔵にある着物を虫干しすると、思わぬ出来事が‥!
    「アリスと紫式部」だなんて、そそる章タイトルですこと。
    六条の御息所は、興味を惹かれる人物ですよね。
    「牡丹と薔薇のソネット」
    あきらめたはずの恋、でも思いはそこに‥?
    「星月夜」
    意地っ張りな祖母のほほえましい恋心。
    ひそやかに登場した白猫ちゃんの存在が、心地いい。

    高校生にしては珍しく?着物好きな鹿乃は、家では週末などに着物を着て、それもテーマを決めた見立てを楽しんでいます。
    着物は好きなのでかなり、ありありと目に浮かび、とっても楽しい。
    イラストや装丁も合っていて、うっとりと味わえる綺麗なお菓子のような世界です☆

  • 表紙に惹かれて買ったまま積読になっていた本。
    毎回 私の心に刺さる表紙で刊行されているのは知っていましたが、積読のままでした。それが完結したと知り、さすがに買ってある1巻を読むことにしました。

    おもしろかったです。一気に読めました。
    「着物の柄をめぐるアンティークミステリー」という
    フレーズの通りです。祖母の遺した着物とその着物をめぐる想いの謎を解いていく連続短編集です。

    参考文献を見た感じだと、きちんと時代背景も汲んでいるようで勉強にもなります。
    ただ、私には着物に関する知識がなく、模様や種類の名前が難しいと感じてしまったので、評価の☆は4つにしています。

    アンティークな柄って可愛いですよね。
    着物 着てみたいなって思いました。
    あと慧ちゃん好きです。

  • 集英社オレンジ文庫ですよ!!
    しかも、新刊ですよ!!

    も~~~~!! 本がキレイ!! 何度ニオイをかいじゃったか!! ヤメなさいよ・・・

    でも、新しい教科書の匂いがするの~!! フンガー!


    さて、この本はかなり前に本屋パトロールをして「読みたい本リスト」に、いれていたのだけど、当時この集英社オレンジ文庫という文庫そのものが新しかったのか、図書館には全然蔵書がありませんでした・・・。

    でも最近は椹野道流氏の「時をかける眼鏡」シリーズも蔵書に増えていたし、チョイチョイ増やしていってくれていたようやけど、図書館のサイトの「新刊リスト」を、見ていて(この本を)見つけました!

    ちょっともうあきらめていたちゅうか忘れていただけに、めちゃくちゃうれしい!!
    ソッコーでリクエストしたら、すぐきました。すぐ!!



    ちゅうわけで、かなり前のめりで読み始めたところ、・・・大好きなお祖母ちゃんの形見である着物を虫干ししていたら、

    着物の柄がひとりでに変わっている

    と、いう・・・。


    また、別の章では桐箪笥になおしてある

    長襦袢から女性のすすり泣く声が聞こえる

    という・・・。


    なんだこの本、何ジャンルやねん!? と、なった。


    結局、読んでいる最中にスルスル引き込まれてめっちゃくちゃ面白かったんやけど、「アンティーク着物をめぐるミステリー」ちゅう触れ込みやったので、こっち方面のミステリやとはまったく想像しておりませんでした。
    あー、びっくりした(笑)。


    旧華族である鹿乃ちゃんと、そのお兄ちゃんが二人暮らしの洋館に、お兄ちゃんの友だちが下宿をしているという設定。
    お兄ちゃんもその友だちも当然イケメンやし、お兄ちゃんは古物商、友だちは大学の准教授ちゅう設定。

    鹿乃ちゃんは女子高育ちで
    「ごきげんよう」
    とかいうちゃうような世界の子で、なんやろうもう

    80年代前半の少女漫画の設定がすべてつまっている

    ちゅう具合。さすが、コバルトの流れ!! 笑

    この少女漫画設定だけでも、正直楽しい。非現実すぎて、楽しいー!
    最近こういうの好きやなー、私。なんか、振り切れたんか(笑)。

    しかも、予想通り鹿乃ちゃんとお兄ちゃんの友だちは、キュンとする間柄っちゅうね・・・(まだ当人たちの気持ちも自覚していないけれども、どう見ても両想い)。両想いてなつかしいフレーズきたなこれ。いやエエねん80年代の少女漫画やから、両想いで。両想い。


    続編も数冊出てるみたい。
    図書館に蔵書がないのでもちろんまたリクエストをかけるけど、果たして買うてもらえるかどうか・・・。

    でも、アンティーク着物だけでそんなにようけの話が作れるのかしら。
    また、お兄ちゃん(=良鷹)のお商売の話とか、良鷹とその友だち(=慧)の関係とか、出会いとか、そのあたりもじわじわ書いていってもらわれへんかな!

    チラッとしか見せてもらえてないキャラにもすっごい興味があります!

    わりと鹿乃ちゃんはまっすぐないい子のよう。
    そういえば「三条のホームズ」の葵ちゃんと清貴も女子高生と大学院生ちゅう年の差カップル(・・・古っ)やねんけど、あちらのふたりとはちょっと違う。

    男子がややこしいという点では同じやけど、ちょっと違うね!
    でも、カテゴリ的には同じ

    ほんで、同じものを見ても違うとらえ方をするなら、二倍のとらえ方ができてお得じゃない? と、鹿乃ちゃんが慧にいうていた。
    慧はそんな鹿乃ちゃんに苦笑しちゃうんやけど、こういう柔らかい発想はいいなあと思う。

    価値観が同じであることは大切やけど、だからってすべてが一緒である必要もないよね。
    大切なのは、違う価値観であってもそれを認めることかな。
    ま、それが難しいんやけどね・・・。


    あと、私は源氏物語の六条御息所は、被害者やと思って読んでおりました・・・。(;^ω^)
    この方、気の毒やんね、あんなややこしい男に惚れてしまったばっかりに・・・(そこまでいう)。

    富貴子さんと健次郎さんの話もよかった。
    日記なんて、なんかもうキュンキュンしながら読んだよ(笑)。こんな時代からツンデレはあったのね(笑)。

    ほんまこの本、アンティーク着物ミステリというよりは少女漫画ミステリやな!


    装丁もすごい可愛い。
    扉絵なんかも凝っていて、「大人のぬりえか!」と、思った。
    こういう凝った装丁も
    「少女漫画~!!」
    ちゅう具合で、なんかもうキュンでおなか一杯ス! (*´ω`)

    女子になれた感じ。なんやそれ


    あー、続編読みたい!!!

    (2016.04.29)

  • 読みやすくて、面白かった。特に難解の本を読んだ後だったので、余計にそう思ったのかも。恋愛が絡んできて、続編も気になります。

  • 蔵にしまわれたいわくつきの着物の謎を解くミステリー風味のファンタジー。『後宮の烏』からたどり着いた作者だが、文章が柔らかいせいか非常に読みやすい。息抜きにちょうどいいライトな内容ながら、アンティーク着物と文学を絡めるという組み合わせも好みだ。年の離れたお兄ちゃんサンドという設定もおいしい。

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著者プロフィール

三重県出身。同志社大学文学部卒。雑誌「Cobalt」短編新人賞に入選の後、2012年度ロマン大賞受賞。主な著書に『下鴨アンティーク』『契約結婚始めました』「後宮の烏」シリーズ(集英社オレンジ文庫)『三日月邸花図鑑』『九重家献立暦』(講談社タイガ)などがある。

「2023年 『海神の娘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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