下鴨アンティーク 回転木馬とレモンパイ (集英社オレンジ文庫)

著者 :
制作 : 井上 のきあ 
  • 集英社
3.79
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本棚登録 : 616
レビュー : 65
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086800242

作品紹介・あらすじ

京都、下鴨。高校生の鹿乃は、ぐうたらな兄と近くの大学で准教授をしている下宿人の慧と三人暮らし。亡き祖母からアンティーク着物を譲り受け、同時に蔵にある“いわくつき"の着物の管理も引き継ぐが…?

感想・レビュー・書評

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  • 下鴨アンティーク、2作目。
    高校生の香乃が古い着物にまつわる謎に導かれる‥
    はんなりと綺麗で切ない世界です。

    京都の下鴨の古い屋敷で、兄と暮らす野々宮香乃。
    離れには、兄の唯一の友人で、近くの大学で教えている慧も。
    骨董商だが家ではぐうたらなだけの兄と、香乃を子供扱いするがいたって紳士的に見守る慧はどっちもイケメン。

    趣味で着物を着る香乃は、季節ごとにテーマを決めた着こなしを楽しむという今どき珍しい高校生。(今と言っても全体に古風な雰囲気なので、正確にはナン年なのか?という気もしますが‥)
    旧華族の家柄の祖母から受け継いだ美しい着物が、土蔵には詰まっています。
    その着物には、それぞれ秘めた由来があり、出してみると不思議な出来事が起こるのです。
    遠い悲しみや無念を解きほぐしていく優しい展開。
    杜若少年の話がかわいくて、好きです。

    金髪の美少女の突然の登場に始まり、香乃の友達と家庭教師、兄の良鷹の仕事先の元気な娘さんやら、まだまだ恋愛未満だけど~ちょっとニヤニヤしちゃうような、ほのかに甘い気配が漂います。
    互いを内心で思い合う、ほっこりした空気感。
    美味しい食事や趣のある品々の登場する物語にこのあたたかさが加わって、なんとも居心地良い世界になっています。

    だいぶ前に読んだので‥レビューはどうしようかと思いましたが、やや似た系統のシリーズが色々ある中で~これが一番好みかと思うので、プッシュしておきます☆

  • 祖母の遺した曰くつきの古い着物を巡って、様々な人生模様が映し出される
    ファンタジックでちょっぴりホラーな「下鴨アンティーク」2作目です。

    こちらの鹿乃ちゃんはちょっぴり頼りない....?う~ん...そうね..
    周りのみんなからはいろいろと心配されているみたいだけれど
    とっても高校生らしいなって印象の普通の女の子。それよりも
    むしろ、今どききちんと和服の着付けが出来て知識もあって
    コーディネートのセンスも良くて、偉いなぁ...すごいなぁ..見習わなくちゃと
    尊敬してしまうくらいのしっかりものさんに感じられます。

    今回も、鹿乃はおばあちゃんから管理を譲り受けた蔵に眠る着物を取り出して
    風を当ててあげますが

    どんな着物なのか見てみたいなと思ったのは
    「ペルセフォネと秘密の花園」

    「亡き王女のためのパヴァーヌ」は
    とてロマンチックなお話でした。

    そして
    「回転木馬とレモンパイ」では
    なんと鹿乃ちゃんの兄・良鷹が....!

    こういう展開もありなんですね♪

  • 下鴨アンティーク第2弾。

    あっ、鹿乃が携帯使ってる。
    あるけど、無精で使わない設定なのね。

    今回の文学は詩やクラシックがテーマかな。
    アンティークとヴィンテージの違いに目から鱗。
    なるほど。

    前回慧をざわつかせた春野さんはあんまり出番がなかった。代わりに、鹿乃の友人の奈緒と、慧の後輩の加茂との意外なエピソードが。
    他にも大学生の真帆や依頼人のプリシラ、彼女に着物を譲った誓一など、レギュラー入りしそうなメンバーが続々。

    慧のことがほっとけない鹿乃と、年頃の娘をもつ父のような態度の慧。
    奈緒と加茂も…。「あの人が何に思いわずらうこともなく、幸せでいてくれたらいい。あの人には苦しいことやつらいことは、似合わない。」とか!
    もうそれは恋どころじゃ…。
    あぁ、もうこの無自覚!とじれじれに歯噛みしつつ、着物の謎というか、文学の知識とお料理が間にはさまってアクセントになる。

    ペルセフォネと秘密の花園…ペルセフォネって春の女神だったんだ。デメテルの娘でハデスの妻…。へぇぇ面白い。
    島崎藤村「佐保姫」
    フランシス「秘密の花園」

    読んでみようかな。

  • 違う人物視点で書かれている章が前作よりも増え、主人公と慧以外にも気になる関係が展開されています。
    真帆と良鷹が気になる。

    ・ペルセフォネと秘密の花園
    謎解きのベースは児童文学・秘密の花園と佐保姫。
    慧がじれったい。

    ・杜若少年の逃亡
    短いですがスッキリしていて好きな話。
    謎解きのベースは、伊勢物語(井筒)、松風(能)、ヴェニスの商人と一二夜(シェイクスピア)。
    着物の持ち主の女の子と主人のエピソードが、キャラクターがさらりと言う台詞程度しか書かれてないのに、想像できるのがすごい。

    ・亡き乙女のためのパヴァーヌ
    着物の持ち主が一番可哀そうな感じ。
    謎解きのベースはシューマンの歌曲・ミルテの花。
    主人公・鹿乃の友人・奈緒が主役と言ってもいい話。

    ・回転木馬とレモンパイ
    一番ミステリー要素が強いと思いました。
    鹿乃と慧が脇に回り、良鷹・真帆コンビが謎を解く。
    着物は出てきません。
    良鷹・真帆は、一番好きだし今後の展開が気になる二人。

  • 読みやすく、心にしみる物語がある。
    「亡き乙女のためのパヴァーヌ」が良かった。
    戦時中の悲恋の恋人同士も、鹿乃とそれを取り巻く人々も、お互いを切ないほど大切にしていることが感じられる。

  • 蝶の着物、音符のついた帯、木馬のオルゴール。
    結婚を約束していたけれども、事故で婚約者が亡くなってしまう。
    戦争によって告白が実らなかった。。
    切なくて思わず泣けてしまった。

    木馬のオルゴールでは、鹿乃の兄 良鷹が主人公。
    新キャラクターの真帆も出てきて、おっとこれは…?と思ってしまう点が笑
    次の展開も楽しみだなぁ。

  • 昨日に読んだ桑原水菜氏といい、なんだかコバルトづいてますな~。(*´ω`)

    (無量のシリーズは集英社ではないけど)


    さて、前作を読んだときに、面白かったけれど続きが気になってどうしようもない!! と、いうほどではないけど、続きがあるなら読みたい・・・。

    ちゅうことで、図書館に(ダメ元で)購買のリクエストをした結果、買うてもらえました~!! スゲエ。
    それが手元にきました。
    最近ちょくちょく言うてるけど、正真正銘の新刊文庫・・・! フンガー!! 香り楽しみ中


    ほんで、私の元へ回ってきた瞬間、次の方のリクエストが入っております。
    普段ならリクエストをかけられていると延長できないため、
    「おお・・・。あせるな・・・」
    などと思いつつ読むんだけど、今回はそんなプレッシャー以上に

    私以外にも読むという人がいてはって、よかった!!

    ちゅう安堵感がすごい。

    (自分のためだけに買うてもらったとか、怖くて思えない)

    ちゅうわけで、締め切りに追われつつ読みます。
    ちゅうてもライトノベルなので、数時間で読めるんやけども!!


    でも、ライトノベル侮るなかれ・・・。
    最近は「ライトノベルが好き」と、いう嗜好も認められつつあるので堂々といえるけれども、正直
    「勇気を出して購買リクエストをしてよかった!」
    と、思えるほど、面白かった。

    ほんま、コバルトの世界。
    コバルトの世界って何って、80年代の少女まんがの世界だよね!?

    着物と古書という違いはあれど、古いものからさらに古い人たちの気持ちを読み取る、と、いう展開はビブリアと似てる。
    でも、あっちはメディアワークス文庫。こっちはコバルト。

    全然、違うのよ~!!


    だって、休日は着物で過ごす・・・のは、テーマが着物やからありとはいえ、まず主人公ちゃんが華族の末裔。
    ご両親は早くに他界しており、年の離れたイケメン兄がいる。
    さらにイケメン兄の友人(もちろんイケメン)も同居している(イケメン兄のイケメン友人もいわくつき)。

    イケメン兄のイケメン友人と主人公ちゃんは憎からず思う一歩手前くらいの距離感。

    なのに、ガッツガツしていない!! ←超重要

    もう何やろ~。少女まんが要素をこれでもか! と、てんこもりにしてくださったと思います・・・!


    イケメンイケメンうるさいて。だってイケメンやねんからしゃあない・・・


    今回は鹿乃ちゃんと慧だけでなしに、奈緒と加茂の間でもそうやったけれど、自分よりも大切な相手に、幸せが訪れますようにと祈るほどなのに、どうしてそんなにも相手の幸せを願うのかという自分の気持ちの意味は取り上げない。

    そこを敢えてどうのこうの言わなくてもそこにはとても眩しい思いがあるのだとわかるけども。
    わかるけどもね。
    惚れたはれたばっかりじゃないこの「もどかし感」(もう、もどかしくもすらないかもしれへんけど・・・)ですら、乙女やわ!!

    お友だちを家に招いて(しかも古びた洋館のテラスね)(どんなんかわからんけど、そういう建物なのよ)、それぞれが手製のスイーツを持ち寄ってお茶会を開くとかいう世界(の妄想)があることを、知らんやろう平成のワカモノは!!

    ほんで、そんなお茶会が「うらやましいな・・・」と、思ってしまう年代もいてることを、知らんやろう平成のワカモノは!! 笑

    そこに同居しているイケメン兄のイケメン友人がお代わりのポットを持ってやってきてくれるなんて妄想が
    「キャー!!」
    と、思ってしまうなんて、信じられへんやろう!!


    思 う の だ よ !! どーん


    スイマセンネェ、ばりばりコバルト世代で。
    でもって、
    「いつか私もこんなふうに・・・!」
    なんてことはケほども思ってない(はずな)のに、小説として読んだらやっぱり
    「キャー!!」
    と、思ってしまう40才で、ほんま大丈夫なんスかね。ハハハ・・・。←乾いた笑い


    しかし、今回は鹿乃を客観的に見た描写がすごい多くて、良かった!!
    まさか表題作ですら良鷹の話やったとはー!! 
    「顔と頭だけはいい」良鷹、イヤもう何、顔と頭がよかったらほかに何もいらんやろ(そこそこ家事もできてるし)。


    ほんで、今更やけど、アンティークとヴィンテージの違いも明記されてたー。
    アンティークは百年を超す品、ヴィンテージは百年未満かつ1960年から70年代以前なんだそうだ。
    ヴィンテージもそうとう古そうやけど、こうやって訊くとそうでもないね。

    でもってこの作品に登場する「アンティーク着物」は、なんじゃいなと思ってたけど、ようは昭和初期ごろまでのものなんだそうだ。
    華族というのもあるんやろうけど、昭和初期でこんなにお洒落な着物があってんねえ・・・。


    相変わらず装丁がすっごいきれい(そこまた心をくすぐるのね・・・)。

    鹿乃にしろ、良鷹にしろ、「陽」の人なのかな。
    今回は奈緒ちゃんが「梅雨が好きな理由」に、ハッとしたよ。
    霞んだ世界が、ヴェールがかかってるようで好きなのだそうだ。抜けるような青空には、うしろめたさを感じるんやって。
    ・・・なるほどなあ・・・。

    (まあ、洗濯ものが乾かない・・・! とか、そういう庶民的なことはまったく抜きにすると、確かに雨の日も悪くない)


    (引用を読んで)もしかして、「受け付けない人」と、大丈夫な人との境目って、そういうことなんかも。

    好きなもの、きれいなものを共有したいと思うってことは、「好き」と軽々しく唱えることよりもっと深い告白なのかもしれへんなあ。男女問わず。


    ああ、面白かった!!

    では、次巻も読むよ!! (なんと二冊も購買リクエストをしました)


    ■■■■

    ■様子がいい

    よう‐す〔ヤウ‐|ヨウ‐〕【様子/容子】

    《「す(子)」は唐音》

    2 身なり。なりふり。「―のいい人」


    ■堆朱(ついしゅ)

    彫漆の一。朱漆を何回も塗り重ねて厚い層を作り、これに文様を彫刻したもの。特に宋代以降盛行し、日本には鎌倉時代に伝来し、室町時代以降に制作が始まった。中国では剔紅 (てきこう) という。


    ■篠突く雨(しのつくあめ)

    雨が、篠竹の竹林のように、強く細かく高密度で降るさま。激しい雨の様子。


    ■秋波(しゅうは)

    1 美人の涼しい目もと。また、女性のこびを含んだ目つき。流し目。色目。「―を送る」
    2 秋のころの澄んだ波。

    秋波を送る
    異性の関心をひこうとして色目を使う。こびを送る。「向かい側の男性に―・る」

    (2016.07.03)

  • 恋になりそうでならない、胸がもやもやした感じの描写が良い。着物の他にも、文学や骨董や美味しそうなお菓子や料理が出て来て、もうたまりません。

  • 着物にまつわる謎を解き明かし、ファンタジー要素も織り成す話。前作よりは着物の要素は少ない感じがするが、京都弁や街並みなどからはんなり感がでているのは前作と同様に、優しめな雰囲気を出していると感じる。今作は佐保姫にまつわる話から、シェイクスピアの話など、バラエティーに富んだ話と謎解きがうまく合わさっていて物語に華を添える感じで面白みがあって良い。鹿乃と春野との関わりのこと、慧と鹿乃の関わりはどうなるかなど気になるところであり、上手い方向へ転がって欲しいと思いつつ、進路も気になる。レモンパイが美味しそう。

  • シリーズ2作目。安定の面白さです。
    和服好きな英国美女プリシラと気難しい研究者黒塚誓一、慧の後輩加茂と鹿乃の親友奈緒、良鷹と(もしかしたら)骨董屋娘の真帆。
    主人公鹿乃&慧の悶々ペアだけでなく、さりげなく周囲に色恋の香りが漂っていて春の陽気。
    でもオカルトミステリーである物語の内容は、そこはかとなく悲しい雰囲気をまとっています。

    美しい京言葉と美しい日本の文化が描かれた、上品なミステリー。
    キャラも物語もしっかりしているので、いずれ映像化してしまいそう。
    次巻も楽しみです。

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著者プロフィール

白川 紺子(しらかわ こうこ) 
三重県出身の小説家。主に女性向け小説をフィールドにしている。同志社大学文学部卒業。2011年、「サカナ日和」で第154回「Cobalt短編小説新人賞」入選。2012年、「嘘つきな五月女王(メイ・クイーン)」でロマン大賞を受賞。同作を改題・改稿した『嘘つきなレディ ~五月祭(メイ・デイ)の求婚~』で、2013年にデビュー。
代表作に、『リリー骨董店の白雪姫』シリーズ、『下鴨アンティーク』シリーズなどがある。

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