下鴨アンティーク 回転木馬とレモンパイ (集英社オレンジ文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 998
感想 : 86
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086800242

作品紹介・あらすじ

京都、下鴨。高校生の鹿乃は、ぐうたらな兄と近くの大学で准教授をしている下宿人の慧と三人暮らし。亡き祖母からアンティーク着物を譲り受け、同時に蔵にある“いわくつき"の着物の管理も引き継ぐが…?

感想・レビュー・書評

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  • 下鴨アンティーク、2作目。
    高校生の鹿乃が古い着物にまつわる謎に導かれる‥
    はんなりと綺麗で切ない世界です。

    京都の下鴨の古い屋敷で、兄と暮らす野々宮鹿乃。
    離れには、兄の唯一の友人で、近くの大学で教えている慧も。
    骨董商だが家ではぐうたらなだけの兄と、鹿乃を子供扱いするがいたって紳士的に見守る慧はどっちもイケメン。

    趣味で着物を着る鹿乃は、季節ごとにテーマを決めた着こなしを楽しむという今どき珍しい高校生。(今と言っても全体に古風な雰囲気なので、正確にはナン年なのか?という気もしますが‥)
    旧華族の家柄の祖母から受け継いだ美しい着物が、土蔵には詰まっています。
    その着物には、それぞれ秘めた由来があり、出してみると不思議な出来事が起こるのです。
    遠い悲しみや無念を解きほぐしていく優しい展開。
    杜若少年の話がかわいくて、好きです。

    金髪の美少女の突然の登場に始まり、鹿乃の友達と家庭教師、兄の良鷹の仕事先の元気な娘さんやら、まだまだ恋愛未満だけど~ちょっとニヤニヤしちゃうような、ほのかに甘い気配が漂います。
    互いを内心で思い合う、ほっこりした空気感。
    美味しい食事や趣のある品々の登場する物語にこのあたたかさが加わって、なんとも居心地良い世界になっています。

    だいぶ前に読んだので‥レビューはどうしようかと思いましたが、やや似た系統のシリーズが色々ある中で~これが一番好みかと思うので、プッシュしておきます☆

  • 祖母の遺した曰くつきの古い着物を巡って、様々な人生模様が映し出される
    ファンタジックでちょっぴりホラーな「下鴨アンティーク」2作目です。

    こちらの鹿乃ちゃんはちょっぴり頼りない....?う~ん...そうね..
    周りのみんなからはいろいろと心配されているみたいだけれど
    とっても高校生らしいなって印象の普通の女の子。それよりも
    むしろ、今どききちんと和服の着付けが出来て知識もあって
    コーディネートのセンスも良くて、偉いなぁ...すごいなぁ..見習わなくちゃと
    尊敬してしまうくらいのしっかりものさんに感じられます。

    今回も、鹿乃はおばあちゃんから管理を譲り受けた蔵に眠る着物を取り出して
    風を当ててあげますが

    どんな着物なのか見てみたいなと思ったのは
    「ペルセフォネと秘密の花園」

    「亡き王女のためのパヴァーヌ」は
    とてロマンチックなお話でした。

    そして
    「回転木馬とレモンパイ」では
    なんと鹿乃ちゃんの兄・良鷹が....!

    こういう展開もありなんですね♪

  • 下鴨アンティーク第2弾。

    あっ、鹿乃が携帯使ってる。
    あるけど、無精で使わない設定なのね。

    今回の文学は詩やクラシックがテーマかな。
    アンティークとヴィンテージの違いに目から鱗。
    なるほど。

    前回慧をざわつかせた春野さんはあんまり出番がなかった。代わりに、鹿乃の友人の奈緒と、慧の後輩の加茂との意外なエピソードが。
    他にも大学生の真帆や依頼人のプリシラ、彼女に着物を譲った誓一など、レギュラー入りしそうなメンバーが続々。

    慧のことがほっとけない鹿乃と、年頃の娘をもつ父のような態度の慧。
    奈緒と加茂も…。
    「あの人が何に思いわずらうこともなく、幸せでいてくれたらいい。あの人には苦しいことやつらいことは、似合わない。」とか!
    もうそれは恋どころじゃ…。
    あぁ、もうこの無自覚!とじれじれに歯噛みしつつ、着物の謎というか、文学の知識とお料理が間にはさまってアクセントになる。

    ペルセフォネと秘密の花園…ペルセフォネって春の女神だったんだ。デメテルの娘でハデスの妻…。へぇぇ面白い。
    島崎藤村「佐保姫」
    フランシス「秘密の花園」

    読んでみようかな。

  • 昨日に読んだ桑原水菜氏といい、なんだかコバルトづいてますな~。(*´ω`)

    (無量のシリーズは集英社ではないけど)


    さて、前作を読んだときに、面白かったけれど続きが気になってどうしようもない!! と、いうほどではないけど、続きがあるなら読みたい・・・。

    ちゅうことで、図書館に(ダメ元で)購買のリクエストをした結果、買うてもらえました~!! スゲエ。
    それが手元にきました。
    最近ちょくちょく言うてるけど、正真正銘の新刊文庫・・・! フンガー!! 香り楽しみ中


    ほんで、私の元へ回ってきた瞬間、次の方のリクエストが入っております。
    普段ならリクエストをかけられていると延長できないため、
    「おお・・・。あせるな・・・」
    などと思いつつ読むんだけど、今回はそんなプレッシャー以上に

    私以外にも読むという人がいてはって、よかった!!

    ちゅう安堵感がすごい。

    (自分のためだけに買うてもらったとか、怖くて思えない)

    ちゅうわけで、締め切りに追われつつ読みます。
    ちゅうてもライトノベルなので、数時間で読めるんやけども!!


    でも、ライトノベル侮るなかれ・・・。
    最近は「ライトノベルが好き」と、いう嗜好も認められつつあるので堂々といえるけれども、正直
    「勇気を出して購買リクエストをしてよかった!」
    と、思えるほど、面白かった。

    ほんま、コバルトの世界。
    コバルトの世界って何って、80年代の少女まんがの世界だよね!?

    着物と古書という違いはあれど、古いものからさらに古い人たちの気持ちを読み取る、と、いう展開はビブリアと似てる。
    でも、あっちはメディアワークス文庫。こっちはコバルト。

    全然、違うのよ~!!


    だって、休日は着物で過ごす・・・のは、テーマが着物やからありとはいえ、まず主人公ちゃんが華族の末裔。
    ご両親は早くに他界しており、年の離れたイケメン兄がいる。
    さらにイケメン兄の友人(もちろんイケメン)も同居している(イケメン兄のイケメン友人もいわくつき)。

    イケメン兄のイケメン友人と主人公ちゃんは憎からず思う一歩手前くらいの距離感。

    なのに、ガッツガツしていない!! ←超重要

    もう何やろ~。少女まんが要素をこれでもか! と、てんこもりにしてくださったと思います・・・!


    イケメンイケメンうるさいて。だってイケメンやねんからしゃあない・・・


    今回は鹿乃ちゃんと慧だけでなしに、奈緒と加茂の間でもそうやったけれど、自分よりも大切な相手に、幸せが訪れますようにと祈るほどなのに、どうしてそんなにも相手の幸せを願うのかという自分の気持ちの意味は取り上げない。

    そこを敢えてどうのこうの言わなくてもそこにはとても眩しい思いがあるのだとわかるけども。
    わかるけどもね。
    惚れたはれたばっかりじゃないこの「もどかし感」(もう、もどかしくもすらないかもしれへんけど・・・)ですら、乙女やわ!!

    お友だちを家に招いて(しかも古びた洋館のテラスね)(どんなんかわからんけど、そういう建物なのよ)、それぞれが手製のスイーツを持ち寄ってお茶会を開くとかいう世界(の妄想)があることを、知らんやろう平成のワカモノは!!

    ほんで、そんなお茶会が「うらやましいな・・・」と、思ってしまう年代もいてることを、知らんやろう平成のワカモノは!! 笑

    そこに同居しているイケメン兄のイケメン友人がお代わりのポットを持ってやってきてくれるなんて妄想が
    「キャー!!」
    と、思ってしまうなんて、信じられへんやろう!!


    思 う の だ よ !! どーん


    スイマセンネェ、ばりばりコバルト世代で。
    でもって、
    「いつか私もこんなふうに・・・!」
    なんてことはケほども思ってない(はずな)のに、小説として読んだらやっぱり
    「キャー!!」
    と、思ってしまう40才で、ほんま大丈夫なんスかね。ハハハ・・・。←乾いた笑い


    しかし、今回は鹿乃を客観的に見た描写がすごい多くて、良かった!!
    まさか表題作ですら良鷹の話やったとはー!! 
    「顔と頭だけはいい」良鷹、イヤもう何、顔と頭がよかったらほかに何もいらんやろ(そこそこ家事もできてるし)。


    ほんで、今更やけど、アンティークとヴィンテージの違いも明記されてたー。
    アンティークは百年を超す品、ヴィンテージは百年未満かつ1960年から70年代以前なんだそうだ。
    ヴィンテージもそうとう古そうやけど、こうやって訊くとそうでもないね。

    でもってこの作品に登場する「アンティーク着物」は、なんじゃいなと思ってたけど、ようは昭和初期ごろまでのものなんだそうだ。
    華族というのもあるんやろうけど、昭和初期でこんなにお洒落な着物があってんねえ・・・。


    相変わらず装丁がすっごいきれい(そこまた心をくすぐるのね・・・)。

    鹿乃にしろ、良鷹にしろ、「陽」の人なのかな。
    今回は奈緒ちゃんが「梅雨が好きな理由」に、ハッとしたよ。
    霞んだ世界が、ヴェールがかかってるようで好きなのだそうだ。抜けるような青空には、うしろめたさを感じるんやって。
    ・・・なるほどなあ・・・。

    (まあ、洗濯ものが乾かない・・・! とか、そういう庶民的なことはまったく抜きにすると、確かに雨の日も悪くない)


    (引用を読んで)もしかして、「受け付けない人」と、大丈夫な人との境目って、そういうことなんかも。

    好きなもの、きれいなものを共有したいと思うってことは、「好き」と軽々しく唱えることよりもっと深い告白なのかもしれへんなあ。男女問わず。


    ああ、面白かった!!

    では、次巻も読むよ!! (なんと二冊も購買リクエストをしました)


    ■■■■

    ■様子がいい

    よう‐す〔ヤウ‐|ヨウ‐〕【様子/容子】

    《「す(子)」は唐音》

    2 身なり。なりふり。「―のいい人」


    ■堆朱(ついしゅ)

    彫漆の一。朱漆を何回も塗り重ねて厚い層を作り、これに文様を彫刻したもの。特に宋代以降盛行し、日本には鎌倉時代に伝来し、室町時代以降に制作が始まった。中国では剔紅 (てきこう) という。


    ■篠突く雨(しのつくあめ)

    雨が、篠竹の竹林のように、強く細かく高密度で降るさま。激しい雨の様子。


    ■秋波(しゅうは)

    1 美人の涼しい目もと。また、女性のこびを含んだ目つき。流し目。色目。「―を送る」
    2 秋のころの澄んだ波。

    秋波を送る
    異性の関心をひこうとして色目を使う。こびを送る。「向かい側の男性に―・る」

    (2016.07.03)

  • 読みやすく、心にしみる物語がある。
    「亡き乙女のためのパヴァーヌ」が良かった。
    戦時中の悲恋の恋人同士も、鹿乃とそれを取り巻く人々も、お互いを切ないほど大切にしていることが感じられる。

  • 3話目で少し泣きそうになった。今回は着物以外のアンティークの謎もあり、面白かった。この先、着物以外は兄担当になるのだろうか。あっちにもこっちにもカップリング予備軍がいて楽しみでもある。

  • シリーズ二作目。

    白川紺子さんの他のシリーズも、設定は魅力的なんだけど…。本シリーズ1作目の、あっさりした地の文の感じがなんだかもう一つ面白くなくて、素材は好きだし道具立ては好きなのに、長らく放置していた。で、なんで読む気になったのか。簡単なの。副題に『レモンパイ』ってあったから。私、レモンパイ、大好物。着物の優しい手触りと、お紅茶とレモンパイ。そんなイメージを持って、久しぶりに読んでみることにしたのだ。

    旧華族の令嬢、鹿乃は、兄と、兄の友人との3人ぐらし。彼女は祖母から譲り受けた着物が大好き。でもこの着物たちには、不思議ないわくがあって…。鹿乃が着物にまつわる過去の物語を謎解きしていくと、あら不思議。着物たちは本来の美しい姿と、それに関わる人々の幸福を取り戻す…というのが概要のシリーズ。

    結果、やっぱり小説って、書きこなれていくと化けるんだな、という典型のような感じ。鹿乃ちゃん、ただお兄さんとイケメンの兄友に守られてる箱庭姫じゃなくて、今回随分、着物にまつわる謎解きがうまくなっている。そのおかげで、内容がすんなり入ってくるし、旧華族の人々や素封家の人々が依頼人ということで、雰囲気も上品。そのわりにしっかり物語が動くので面白い。

    兄、良鷹と、兄友の八島慧の鹿乃ちゃんへの立ち位置も、似ているようで違うし、1巻目みたいに、ただべったり甘やかして、過保護な感じがないので好感が持てたのだと思う。そこが削がれた分、持ち込まれた着物や骨董の謎解きを丁寧に描いているのが、多分勝因。

    この作者様は、女性の好きなモノ、作品の雰囲気づくりをする小道具の選定がすごくうまいのもいい。レモンパイしかり、オルゴールしかり。ピアノの名曲然り…。そして、着物のことも結構勉強なさったのだろう。文章だけで登場する装いがちゃんと想像できる。堪能できる。これはとっても強いことだ。こういう道具立てを鮮やかに味わうことも、私達読者にとって、大きな楽しみなのだから。

    次の巻も読むかどうか?うん。もちろん継続決定。ベッドの中で読むには、とてもいいのですもの。

  • シリーズ第二弾。

    鹿乃と慧だけでなく、各話に登場する男女キャラのやり取りが、表題の“レモンパイ”の如し甘酸っぱさで、ついニヤニヤしてしまいます。
    アンティーク着物にまつわる謎は(第四話は着物ではなく、オルゴールを巡る話ですが)、今回もどれも切なく、そして人を想う心の美しさが伝わってきます。
    鹿乃の着物コーディネートが素敵なのも、この作品の魅力なのですが、第四話で鹿乃が真帆さんに、ちゃっちゃと着付けしていく姿はプロですか!という感じ(良鷹兄さんの見立てもさすがです)。料理も上手だし、若いのに大したもんです。
    因みに、前作で消えてしまったと思っていた猫の“白露”がまた登場してくれているのが、何気に嬉しいです。

  • 蝶の着物、音符のついた帯、木馬のオルゴール。
    結婚を約束していたけれども、事故で婚約者が亡くなってしまう。
    戦争によって告白が実らなかった。。
    切なくて思わず泣けてしまった。

    木馬のオルゴールでは、鹿乃の兄 良鷹が主人公。
    新キャラクターの真帆も出てきて、おっとこれは…?と思ってしまう点が笑
    次の展開も楽しみだなぁ。

  • 恋になりそうでならない、胸がもやもやした感じの描写が良い。着物の他にも、文学や骨董や美味しそうなお菓子や料理が出て来て、もうたまりません。

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著者プロフィール

作家

「2022年 『京都くれなゐ荘奇譚(二) 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

白川紺子の作品

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