僕は君を殺せない (集英社オレンジ文庫)

著者 :
  • 集英社
2.75
  • (28)
  • (66)
  • (208)
  • (155)
  • (47)
本棚登録 : 2233
感想 : 176
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086800556

作品紹介・あらすじ

夏休み、「俺」は友人の代わりにあるミステリーツアーに参加することに。昼の池袋を出発し、十数時間もバスに揺られて辿り着いたのは、携帯も繋がらない山奥の屋敷で…? 新感覚、猟奇サスペンス!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 初読みの作家さん。
    題材と裏表紙の紹介文に惹かれて読んでみたけど。
    読み進めても展開がつかめず、分からないまま終わってしまったって感じ。
    内容的にはサスペンス&ホラーといったところでしょうか。
    ちょっと自分には合わなかったかな。

  • レビューが低いのは、きっと、裏表紙やネットで説明文に書かれている「二度読み必至」とか、誰が僕で誰が君、みたいな文言のせいで、期待度が上げられているせいかな…。
    表題は、ミステリーというよりは、サスペンス。独白調なので最初はとても読みにくいが、でも先が気になって勢いがつき、早めの読了。
    割と先が読めてしまうので、それほど驚きも…二度読みの必要もないかなとは思うが、結末に特に不満はない。

    表題以外の作品が入っているとは知らずに読んだので、短編二作に若干の戸惑い。どうりで表題、残りページ数のわりに締めくくりが早かったはずだと納得。
    表題とは全く関係ないけど、読みやすかったし嫌いじゃない。二作のうち先の方がホラー寄りのサスペンス。あとの方はちょっと悲しいミステリー。

  •  読了してすぐに「二度読みしたい!」とはならないけど、いつか読み返したいなと感じる本。
     『僕は君を殺せない』の最後の雪の場面はリアルで凄く好き。なんならあの場面だけエンドレスする。えげつないのが苦手な人には勧められないけど、切なくて少し拙い思いがしっかり伝わってくる本だった。読み終わった後の、どうにもできない感じ、昇華できない感じが堪らない。
     表紙絵も好きだからこれはずっと持ち続ける本だろうな。

  • そもそも実家に帰省した時に、私の机にぽんと置かれていたものを勝手に持ち帰ったのがきっかけだったため、あまり気乗りがせず、結果読了まで数か月を要してしまった。

    意外だったのは、実はこれ3作の短編集。表題の『僕は君を殺せない』がメインで、ページの8割を占めているのだが、その後、『Aさん』と『春の遺書』という短編が収録されている。残ページを意識しながら読み進めていると、「ここからもうひと捻りあるのかな?」というところで唐突に終わった感じがしてしまうので、注意が必要だ。はじめから「ここまでがメインのやつね」と、ドッグイヤーでもつけておいたほうが良い。

    『僕は君を殺せない』
    一見接点のない二人の少年の独白が交互につづられる。片方はぶっきらぼうな物言いをし、もう片方は変に丁寧な言葉遣いなので、どちらが喋っているのかはわかりやすく、ストレスなく読み進められる。

    一人目の語り手、友人の代理でミステリーツアーに参加することになった「おれ」は、そこで連続猟奇殺人を目の当たりにする。犯人が近くにいるかもしれない恐怖、次殺されるのは自分かもしれない恐怖の中、一人なんとか現場を抜け出し逃げるが、犯人と思われる男に見つかってしまう。……なのに次に気づいた時には解放されていた。なぜ犯人は自分を見逃したのか。

    二人目の語り手「僕」は、最近周囲で葬式が相次いでいる少年。美人で料理上手、且つ強気で気性が激しい同級生の女の子が、頻繁に「僕」の家に勝手に上がりこみ泊まっていくという、ラノベっぽいうらやま設定。

    猟奇殺人はなぜ起きたのか。タイトルの「僕」と「君」とは誰なのか。語り手の「おれ」と「僕」の接点は?読み進めるごとに少しずつ見えてくる事実に、背筋が凍る。

    この作品は「集英社オレンジ文庫」。わたしには全く縁のないレーベルなので知らなかったのだけど、ラノベメインの文庫群らしい。『ダメな私に恋してください』や『オオカミ少女と黒王子(映画ノベライズ)』なんかも出ており、乙女好みのかわいらしい書籍が多い印象。

    それを鑑みると、本作品は集英社オレンジ文庫の中で異色の作品なんじゃないだろうか。なにせ殺人描写がえげつない。爪をはいだり、ナイフで抉ったり、ウジがわいたり。(ちなみに、収録された2作目の『Aさん』も同様に人殺しモノである。)

    ただ、凄惨な殺人表現があるからこそ、クライマックスはあんなにも切なくて静謐で、無音のすごみのようなものがでているのだろう。長谷川夕さんはこの作品がデビュー作なのだが、次回作も読んでみたいなと思う。

    収録された3作目の『春の遺書』が、わたしは一番すきだった。祖父から亡くなる直前に遺言で遺品を譲り受けた少女のもとへ、祖父の後を追うように自死した祖父の弟が幽霊となって現れるようになる。なぜ祖父の弟は毎夜少女のもとへ現れるのか。彼ら兄弟の秘密を探る物語。

    温かいラストはやはりほっとする。
    『僕は君を殺せない』と『Aさん』はひとりで夜読み進めるのが困難なくらい怖かったけれど、『春の遺書』は哀しいながらも心が温かくなる読後だったので、3番目に持ってきてくれてよかったな。

  • 短編集。
    ・「僕は君を殺せない」
    何と言うか、不思議な物語だった。
    視点が次々と変わり、そのたびに物語の断片が増えていく。
    表記で視点が変わったことはわかるけれど、途中までいったい誰の視点なのかはわからない。
    時間軸もそのたびに変わり、ある程度考えながら読まないと混乱して物語の世界に入りこめない。
    それでも、何か引きつけられるものがある物語だった。
    「二度読み必至」と大仰にかまえることなく、読み終わって結末を知ってから何箇所か読み直したくなる。
    すべてを知ってから読み直すと、腑に落ちる箇所をいくつも見つけることができた。
    「レイ」のキャラクターもいい。
    ずっと一貫している彼女のキャラクターだが、最後の最後で印象が一変する。
    けっして飛びぬけて上手い物語だとは思わないけれど、雰囲気のある好きな物語だった。

    残念だったのは表題作である「僕は君を殺せない」と他の収録作品のレベルが違いすぎたことだ。
    文庫化するためには他の作品も必要だったのかもしれないけれど・・・。
    独特の空気感に満ちている物語をまた書いてほしいと思う。

  • 二度読みはしなくても理解できた。
    最近良く引き当ててしまう、
    オチが二重人格でした、とか記憶喪失期間でした、
    ではなかっただけ良かった笑

    最後の「春の遺書」が良い

  • うーん、ほとんどどんでん返し感は感じない作品でした。一人称視点で語られている人物が誰なのかわざとぼかした書き方が売りなんでしょうけど、それもあまり以意外ではないところに落ちてしまうし、全体としてはとても素直な展開に感じました。ミステリー感はあまりなくて、どちらかと言うとホラーの雰囲気のが強いかな。

  • 最後の「春の遺書」好きです。
    とても切ない、哀しい物語だったけど。
    生きていてほしかったな。
    どうか、兄弟妹一緒に幸せでいられますように。




    「僕は君を殺せない」
    迎えに来てほしかったな。

  • いや、短編集やったんかい。

    本のタイトルになってる「君は僕を殺せない」は、ミステリーとしてはかなり微妙。ロジカルな驚きはほとんどない。

    ただ、ビックリするくらい読みやすい。丁寧で、一文一文が短いからかな?
    いい意味で透明な文章って、そんな感じ。

    その文章が醸し出す雰囲気が凄く心地よかった。

    個人的には抱き合わせで載ってる「Aさん」と「春の遺書」の方が断然面白かったかなー。

    ちょっとしたミステリー要素をアテにして、雰囲気を楽しむような本だな、って感想。

  • ミステリーツアーに参加し、猟奇的な連続殺人に巻き込まれた「おれ」
    周りで葬儀が続いている「僕」
    地元の遊園地に伝わる怪談話。
    だれが「僕」でだれが「君」なのか。

    語り手が一人ではないのに名前が出てこないので、誰が誰だかわからず序盤は混乱しましたが、途中で一本の線につながる瞬間があり。
    全体像が見えてくると、グロいイメージが少し変わって見えてきて。
    中盤でタイトルの意味が読めたのが少し残念でしたが、最後はなんだかほっこりしました。

全176件中 1 - 10件を表示

長谷川夕の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮下奈都
森見 登美彦
ピエール ルメー...
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×