きょうの日はさようなら (集英社オレンジ文庫)

著者 :
制作 : 宮崎 夏次系 
  • 集英社
3.91
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本棚登録 : 283
レビュー : 27
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086800587

作品紹介・あらすじ

明日子と双子の弟・日々人は、年の近い従姉がいて、彼女と一緒に暮らすことを父から知らされる。夏休みに面倒と思う二人だが、従姉の今日子は、長い眠りから覚めたばかりの、三十年前の女子高生で…?

感想・レビュー・書評

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  • 学生時代の夏休みの無敵感と少しの切なさの予感、そこに30年の時を超えたSF(すこし不思議)が加わって、すごく面白かった。


  • 今日子は次いつ起きるんだろうとか
    何回これを繰り返すんだろうとか
    いつまで高校生をやるんだろうとか、思った

    次起きたらまた夏休み
    また発展した世界たちに驚いたりして、明日子も日々人もいくつかな 何かちょっと切ないよね

  • 1995年から2023年まで冷凍睡眠していた女子高生・今日子が目覚め、同い年の兄弟である明日子と日々人と夏休みを過ごす。

    今から約10年後が舞台だというのに、2016年現在の流行語や言葉遣いが全面に出ているのが違和感がある。10年前と今でさえ言葉が違うんだから、10年後なんてもっと違っているに決まってるでしょう。「ドヤる」という言葉が生き延びたとしても、一過性の流行り言葉は廃れていると思う。技術が進歩したパラレルワールドな現在が舞台で良かったのに。

    1990年代のアナログ礼賛が鼻についた。主人公の今日子は目覚めたら2023年だったので当時のことを懐かしむのは分かるんだけど、どうにも文章からアナログ礼賛がにおってくる。インターネットで何でも情報を簡単に調べられること、流行りものは自然にできるものでなく誰かが仕掛け人となって作ったお祭りであること、電子書籍による漫画の流し読みなど、明日子があまり深く考えない一方、今日子は色々考察するので、ネットがある時代に学生をしていた者としては気分が悪い。年配の人の「昔は~~だった」という話を聞かされているみたい。

    今日子が巻き込まれた事件の新聞記事の実物を見つけ、真相が解き明かされてからは少し面白くなった。一夏の切なさを孕んでいる物語なのだが、どうにもピンとこなかった。時代の違いというノイズに惑わされて登場人物達の気持ちに寄り添えない。この物語を楽しめるのは1995年に女子高生だった人だと思う。

  • 夏休み前の女子高校生。
    付き合いそうで付き合わなかった2人。
    そんな今日子の背景も、夏の疾走感も、読んでいて気持ち良かったです。
    今日子の時代に行ってみたいな…
    アナログな感じを味わってみたい。

    ギラギラの夏に含んだ絶望感や寂しさがたまらなかったです。
    今日子は力強く、儚く、強がりで、人に寄り添える子だなと思いました。

  • 長い眠りから目覚めた女子高生、今日子と、そのいとこである明日子と日々人のひと夏の話。

    コールドスリープ、とはいえ強くSF感はないのだな…と読み進めるうちに、捻じ曲げられている情報や、少しだけ未来の世界の管理・統制社会の仕組みが三人の前を立ち塞ぐ。

    三十年という時間の経過について、自分自身が今日子の少し下の歳で、彼女が飛び越えた三十年をまさに生きてきたので、カルチャーギャップがわかるなぁと感じながら読んでいた。いくつもの機械を使っていたのに、スマホ一つで何役、何十役もこなせてしまう現在をすごく便利なものだと思うけれど、確かにこの三十年くらいってフルモデルチェンジよりもマイナーチェンジの世界だったのかも。何年かおきにカバーされる名曲がいくつも頭に浮かんで、復刻版を有難がって。いつまでも愛されてる気がしていたけど、半端に残ってるというのがすとんと腑に落ちる。

    今日子という新しい刺激に対して、明日子が内心で抱える感情や日々人の変化。一穂作品に出てくる人は皆、正直で率直で、それでいてとてもやさしいのがこの作品でもそうであることが嬉しかった。
    家族というもの、病、十七歳の繊細さ、夏休みという特別な時間といった感情的なものと、時代装置が上手く噛み合った不思議で特別なSFストーリーになっていた。

  • 長い眠りから覚めた時に…!

  • 一穂さんの非BL作品。
    ますます遠くなる昭和、さよなら平成物語。いつか会う未来。
    明日子(あすこ・姉)と日々人(ひびと・弟)は二卵性の双子。
    母親は家族性の病気で亡くしている。
    堂上今日子は明日子と日々人の父の姉の子。

    やはり小説となるとテーマも絞らないといけないし、色々と難しいんだなぁ…と読んでいてそう思った。家族性の疾患はとてもデリケートな問題を含んでいるので、取り扱うなら実際にはない病名を設定した方がいいと思う。実在する病名を使うと傷つく人が必ず出てくるので。もう少し近未来な設定にして架空の病名にした方が…と思ってしまうのは、私が家族性の病気持ちだからだと思う。少しつらい設定だったので悲しい気持ちになった。

    2019年積読本消化19冊目。フロー。

  • 2018年1月西宮図書館

  •  今から何年か先の未来の話なのだが、今と世界があまり変わっていなくて、確かにスマホの登場以降それほど劇的な変化はもうないと見込んでのこの設定だったのかもしれない。ネットと携帯が改めて我々の世界を一変させていることを痛感した。30歳年上の同級生みたいな変な感覚で、その時間軸のずれが切なくて感動して涙出た。

     冷凍睡眠の女の子の家が一家心中するのだが、その理由が非常に無難で、どこにも悪意がないのが肩透かしだった。収まりがよすぎて出来すぎだ。

     主人公が双子の兄妹の女の子で、一応三人称で描かれているのだが、半一人称とでも言うほど彼女に寄り添った三人称だった。こんなのありなんだ、と思った。

     女の子がかつて好きだった同級生の男の子が主人公のエピローグ的な章がとても切なかった。過去を過去として心に抱きながらおじさんとして生きている未来みたいな、それに対して女の子は過去からダイレクトに未来にやってきてしまったみたいな、うまく言葉にできないけどそのギャップというか、無常みたいなこと。

     ジャンプの漫画やゲームなどタイトルは明記しないけど、なんとなく想像できるような表現となっていたのだが、それは権利的な配慮なのだろうか。タイトルを書いてもらった方がちゃんと思い描けていいと思うのだが、なじみのない世代はこのようにぼやかした表現の方がいいのだろうか。

     ちょうど夏休みの終わりに読んでよかった。

  • おそらくBL小説での方が著名な方だとは思うのですが、一般向け小説もなかなか読み応えのあるものを書かれるのですね。
    「おお~…」と唸らされました、SFあり青春あり。
    文体としてはあえてかもしれんが、ちょっとドライで突き放す語り口でしたね。

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