下鴨アンティーク 雪花の約束 (集英社オレンジ文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086801102

作品紹介・あらすじ

知人の女性を捜して、男性が野々宮家を訪ねてきた。彼女の祖母が、鹿乃の祖母に着物を預けていたらしい。蔵からその着物を取り出すと、鮮やかな赤い糸が描かれていたが、一瞬でその糸は切れてしまい……?

感想・レビュー・書評

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  • アンティーク着物を通して、家族の形や人の想いを紐解いていくのは京都の街並みと相待って雰囲気ある。
    まっすぐな鹿野の気持ちや、戸惑う春野や慧の気持ちが入り乱れて進展していく恋模様も面白い。
    結局はすべて人の気持ちが、人に影響していくんだとよくわかる。

  • おおお!
    なんという所で終わるのか!鬼切り!

    オレンジさんだから、結末はなんとなくわかるけど、しかし、悶々と悩んでる慧くんが、どうやって覚悟を決めるのかはすごく気になる。


    自覚なく虜にしている鹿乃ちゃんは慧に対して一途だけど、幼い頃からずっと一緒の慧に対して、どう距離を縮めたらいいかわからず、そこに春野君に免疫ないのに真っ直ぐなアプローチを受けてドギマギ。
    →お茶会にお菓子を焼いちゃったり、帰ったら悪いかなとか考えて戸惑う鹿乃にキュン。

    鹿乃ちゃんを女性として見ることに罪悪感を持っちゃう慧の気持ちもちょっとわかる。。
    慧は育ちもあって理性とか常識観念が強そうだもの。
    でも父性だけで春野の家にまでは普通行けないぞ!

    良鷹視点も好き。態度とは裏腹に妹がかわいくてしょうがないのが、めっちゃ伝わる。シスコーン。

    星の糸…アリアドネ、ギリシャ神話
    赤ずきんを探して…能、鬼女、紅葉狩り

  • 読後最初の感想は一言。「何この鬼切り!」
    今回は三枚の着物の謎解き。どれも鹿乃ちゃんがあぶなげなく解いていくようになって頼もしい限り、ながら、今回の着物は三枚とも、心の中に残るしこりを思わせるものばかりだったような。
    鹿乃を思う気持ちを自覚した慧は、鹿乃が大切すぎて壊せない、のに、鹿乃からの告白を受けて凍り付く、ところで終わってるのは何故ですか白川先生!
    絶対に傷つけたくない、本当には女性としても想っているけど大事な大事な鹿乃ちゃんに想いを向けられたら慧は受け止めることができるのか、それとも荷物まとめて逃げるのか。まあ、鹿乃を泣かせて逃げるのを許す良鷹じゃないとは思う、けども。

  • ――そして次巻へ続く、っておいおい(汗)。慧が自分で自分をがんじがらめにしてしまうのは、生育歴のせいなのだろうが、おそらく30前後(?)のいい年した男が何をやっているのか。いや、気持ちはわかるけど。そして良鷹の関わるものって何だかいつも真相が物騒な気がする。鹿乃が表なら良鷹は裏だからか。しかし自分になつく年の離れた妹って、本当にかわいいんだろうなあ。あれ、良鷹の机の引き出しに入ってないのかな……。

  • シリーズ第五弾。

    前巻同様、「ここで切るか・・。」という絶妙な盛り上がりどころで次巻へ続く本編。
    何だか、春野君が徐々にサイコな人になってきている気がします。悪い人ではないのでしょうが、鹿乃をお茶会に誘う為の嘘とか、“怖っ”という感じです。さすがに慧に叱られて謝っていましたけど。
    で、今後の展開は慧の覚悟にかかっているのですが、自己否定感が強い上に、社会人男性が女子高生と云々とか、世間からどう思われるのかも含めて色々と逡巡してしまう気持ちも解ります。
    鹿乃の真っ直ぐな想いは受け入れてもらえるのでしょうか。次巻に期待です。
    そして、“サイドストーリー枠”の第四話「子犬と魔女のワルツ」は鹿乃が幼稚園児で、良鷹が高校生の頃の話。
    悲しい真相だったとはいえ、天使のような鹿乃と良鷹お兄ちゃんの兄妹愛が微笑ましく、ほっこりしました。

  • シリーズ第5弾。
    鹿乃のひとりだちが意識されている上に、慧が距離感をつかみかねているので、慧たちのかかわりが減って、少々さみしい。
    祖父と祖母と、高校生の良鷹と、幼稚園児の鹿乃。昔の野々村家を描いた「子犬と魔女のワルツ」は、ほほえましく、あたたかかった。
    転換期を迎えそうな終わり方だけれど、一筋縄ではいかなさそう。

  • シリーズ第5弾。
    不思議なことが起こる着物ばかりを預かっている蔵を管理する女子高生・鹿乃が、その不思議を解決し、持ち主に着物を返す話。
    短編連作。
    子供を置いて出て行ってしまった母親の想いの詰まった着物や、婚約破棄された祖母と孫、気付けなかった母の想いなど、家族に関する話が多い。
    それによって彗の心に閉じ込めた父親への憎しみが動き出して行く。
    着物が起こす不思議な現象が、少しずつ2人の関係や、彗と父親の関係を進めて行くのが面白い。

  • 鹿乃と慧の距離が次巻でどう変わるかな。

    読んでると着物が着たくなるなぁ。

  • シリーズ5作目。好きな男と縁のなかった女性、子を捨てて恋人の元に去った女性、雪の研究者だった夫を雪の事故で亡くした女性、そしてカサブランカが好きだった老女との思い出。それぞれが少し悲しく、人物の感情描写が胸を打つお話しでした。今回は鹿乃と慧の恋心の戸惑いと進展の巻。歳の離れた妹か娘のように成長を見守っていた少女が美しい女性に変化してく。よくある話なのに、慧の繊細で真面目な心情がやるせなく切ないです。ジリジリします。そして幼い頃の鹿乃の可愛さときたら!こんな年の離れた妹がいたら堪らんなぁ。

  • 【下鴨アンティーク5作目】久々に読んだのでどこまで進んでたっけと考えてしまったけど…今回もとても楽しく読めた。それにしても良鷹は一体いつ働いてるんだろう。鹿乃との距離を測りかねている慧がなんとも不器用だけど、鹿乃を守るためなんだなと。そんな慧にとうとう好きだと言った鹿乃。春野の存在も気になりつつ次作を楽しみにしてます。そして着物の話も毎回素敵。

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著者プロフィール

三重県出身。同志社大学文学部卒。雑誌「Cobalt」短編新人賞に入選の後、2012年度ロマン大賞受賞。主な著書に『下鴨アンティーク』『契約結婚始めました』「後宮の烏」シリーズ(集英社オレンジ文庫)『三日月邸花図鑑』『九重家献立暦』(講談社タイガ)などがある。

「2023年 『海神の娘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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