- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784086801768
作品紹介・あらすじ
海洋人工都市キヴィタス。アンドロイド管理官である若きエリートのエルガーは、登録情報のない“野良アンドロイド"の少年を拾う。記憶を失った彼の過去を探るうち、都市の重大な秘密に巻き込まれて…?
感想・レビュー・書評
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913-T
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シリーズ初巻
これはまた、リチャード〜シリーズとはうってかわって、
ゴリゴリのSFもの。
高性能野良アンドロイドと、人間感情に乏しい調律師の
お話。
あれよあれよと、過激になっていく後半のストーリーは
圧巻。
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宝石商リチャード氏の謎鑑定の著者の最新作。
未来の人口都市・・・
読み始めのあたりでは、長野まゆみさんのテレビジョン・シティを
連想してしまいました。
読後数日間、切なさを引きずった作品だったので、
裏表紙に書かれた「せめて血の色くらいは赤がよかったな」
というセリフで嫌な予感バリバリ。
ハイスペック幼児で天才馬鹿なエルとアンドロイドなのに
人間以上に人間らしい二人の噛み合わない会話がいい。
後半で、いきなり走り出す物語に、久しぶりの心臓バクバク!
ベタで王道と言えば、その通りなんだけど
その持って行き方が好き。
これはうまく誘導されてしまったなぁ~
楽しく読めました。
ただ、表紙絵は、どうにかならなかったのかしら? -
作者さん、SFが好きなんだなあ、とそんな風に感じる。作り込まれた設定もそうだが、終盤に出てくる「メモリーダビング端末」なんてガジェットに強くそれを感じる。
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「お前も俺も同じ地獄の釜の住人だ。お前だけ天国にいるようなふりをしなくてもいい。俺にはお前の苦労はわかんねーし、お前にも俺のあれこれはわかんねーだろうが、まあ、そんなもんだろ」
(P.130) -
すごく良かった…!! 2人のやりとりが可愛かった。近未来SFものとしても、世界観にスッと入れたし説得力があった。ラスト近辺はちょっとごちゃついたかなという印象。続刊があったらいいのにな!
アンドロイドのワンの方が感情表現豊かで、人間のエルの方がそういう出力が不得手なのもちぐはぐで可愛かった。エルが、ワンとの交流で自分の心に生まれた新しい気持ちを手探りで知ろうとするような感じがよかった。ワンのこと好きなのは分かってるのに恋愛に結びつけて考えていないところもかわいい。にぶちん。ハイスペック幼児言い得て妙すぎて笑った。ワンの方がとっくに気づいているな〜これは…と途中で思ってにこにこした。常とは違う欲求や感情をバグだと思っていそうだエルは…無自覚だからこそ突拍子もない爆弾発言をするのだろな。かわいいな〜! -
知らない言葉や言い回しが多かったけど、調べながら読むと内容理解も深まって楽しかった!
エルの空虚な疑問がワンによって素晴らしいものに変わっていく様子もすごくよかったな。
裏表紙にある、「せめて血の色くらいは赤がよかったな」というセリフ。
正直ありきたりだなとか思いながら読んでたけど、その分が登場した瞬間の感動がやばかった!
続き出たらいいのになぁ… -
19:世界情勢やキヴィタスの設定には首を傾げる部分もありましたが、本題の、エルとワンのお互いを見つめる眼差し、互いを想い合う心をオープンにしてゆくさまはすごく良かった。
「ハイスペック幼児」エルの真面目さが一回転してコメディになる部分や、ワンの饒舌な役者ぶりがうまく噛み合って、読み進めるほどにキャラクターに愛着が出てきます。「天使のような味」「背骨を持ってかれそう」なんかのエルの(夢見がちな)比喩が好き……。
実際のところ、ヒトに似(せ)たアンドロイドに対してヒトが優越感を抱くかどうかはさておき、ロマンチックですてきな「未来のピノッキオ」でした。
著者プロフィール
辻村七子の作品





