後宮の烏 2 (集英社オレンジ文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086802253

作品紹介・あらすじ

シリーズ累計15万部突破!
圧倒的中華幻想譚、衝撃のシリーズ第2巻!

後宮の奥深く、妃でありながら夜伽をすることのない、
「烏妃」(うひ)と呼ばれる特別な妃が住んでいる。
漆黒の殿舎のなかでひっそりと暮らし、外に出てくることはめったにない。
彼女は不思議な術を使い、憎い相手の呪殺から招魂、祈祷、失せ物さがしまで、
なんでも引き受けてくれるともっぱらな噂だった。

後宮で生きながら、けして帝のお渡りのない妃。
そして、けして帝の前でひざまずくことのない妃。
――それが烏妃だった。
しかし、それが意味するところを知る者は、ほとんどいない。

当代の烏妃として生きる寿雪は、先代の言いつけに背き、
侍女を傍に置いたことに深く戸惑っていた。
烏妃とは、なにも望まず、ひとを遠ざけ、ただひとりでいるものだからだ。

そんな彼女のもとに、今夜も「頼み事」のために訪ねてくる人がいる。
ある少年宦官は、自分と同じ年頃の宦官の幽鬼が現れるという。
入水して死んだ、かつて仕えていた妃の幽鬼を弔ってほしいと老宮女はいう。
古い布作面には男の幽鬼が取り憑いている、という気味の悪い話もある。

そしてある夜、後宮で起きた凄惨な事件は、
寿雪が知る由もなかった驚愕の真実をもたらすことになる、がーー。
烏妃をしばる烏漣娘娘(うれんにゃんにゃん)とは何か?
烏漣娘娘がおそれる「梟」(ふくろう)とは一体誰なのか?

烏妃の孤独と運命を知ることとなった皇帝・高峻はーー。

感想・レビュー・書評

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  • 人気の中華風ファンタジー、2作目。
    衣装や言葉などは昔の中国風ですが、国は大きな島で、後宮もそんなに大きくはない様子。
    どこか寂しげなしっとりした雰囲気と、昏い背景の中で息づく人々の優しさが魅力です。

    後宮の奥深くにある漆黒の館、夜明宮。
    妃でありながら皇帝に侍らない、烏妃という存在がいた。
    依頼を受けて祈祷や祓いを行うという噂を聞いて、ひそかに頼みごとをしに来る侍女らが後を絶たない。
    皇帝の高峻その人も、ある意味ではその一人だった。

    孤独を守るよう、先代に厳しく言われて育った寿雪だが、次第に周りに人が増えてきた。
    事件を解決するたびに、慕われたり、誰かを引き取ったりしてしまうのだ、
    世間を知らず、不器用で不愛想だが、心の柔らかさが垣間見える。人もそこに引き付けられ、こちらもほろっと来ます。

    一つ一つの事件は連作短編風ですが、まさしく連なって山場へと。
    寿雪の不安と苦しみ。
    後宮にやってきた謎の存在「梟」は、寿雪の中に封じられている「烏」を屠りに来たという。神の住む国から罪を犯して流されてきたという「烏」…
    寿雪には覚えのあるはずもないことだが、烏とは、烏妃とはそういうものだったのだ。
    このあたりは、がっつりファンタジー。
    先を期待させる読み応えでした。

  • 当代の烏妃として生きる寿雪は、先代の言いつけに背き、
    侍女を傍に置いたことに深く戸惑っていた。
    烏妃とは、なにも望まず、ひとを遠ざけ、ただひとりでいるものだからだ。

    そんな彼女のもとに、今夜も「頼み事」のために訪ねてくる人がいる。
    ある少年宦官は、自分と同じ年頃の宦官の幽鬼が現れるという。
    入水して死んだ、かつて仕えていた妃の幽鬼を弔ってほしいと老宮女はいう。
    古い布作面には男の幽鬼が取り憑いている、という気味の悪い話もある。

    そしてある夜、後宮で起きた凄惨な事件は、
    寿雪が知る由もなかった驚愕の真実をもたらすことになる、がーー。
    烏妃をしばる烏漣娘娘(うれんにゃんにゃん)とは何か?
    烏漣娘娘がおそれる「梟」(ふくろう)とは一体誰なのか?


    また一つ物語が進む。
    宮女が寿雪の元に死んだ人間を生き返らせて欲しいと願いに来るが、それは出来ぬことだと寿雪は断る。
    読み進めていくと、いくつかの事件を寿雪が解決していくのだが、その宮女の願いは大きな伏線で、この物語の主軸となっていた。

    こういうところがとても面白い。
    何か起こるのだろうなぁと読み進めると、確実に何かが起こる(笑)

    その他にも伏線がいくつか。
    伏線を回収していくと、寿雪も知らなかった事実が明るみに出てくる。

    一巻が面白かった為続きを会社の方からお借りした。なかなか面白い。時間があれば一気読みしたい(*^^*)

  • 夜伽をしない特別な烏妃・寿雪を主人公にした連作短編集。

    侍女は置かず、婢女もひとりのみで生きよ。
    先代にきつく言われていながら、次第に集まってくる人々を拒絶しきれない寿雪。

    慕われることに慣れない、不器用な寿雪と周りの関係性が、ほほえましかった。

    寿雪と高峻の、ぎこちないながらも相手を思いやるようになっていく姿にも、ほっこり。

    烏妃にすがってまで叶えたい人々の思いには、今回もぐっとくる。

    程よいファンタジー具合。

    烏妃とは?
    烏漣娘娘とは?
    という謎は、思いのほか奥が深く、まだまだ続きがありそうな終わり方。

  • これは面白い。夢中で読んでる。
    寿雪の周りに少しずつ人が増えてきた。
    とても微笑ましいんだが、心配にもなる。
    宵月の存在が未だに理解できん。
    次々読んでみよう。

  • 烏妃と烏蓮娘娘の関係が少しずつ明かされていく。
    まだ、ここから本筋が進んでいくんだろうなと思う。
    続きが楽しみ。

  • 冬の王,後宮のの烏妃の寿雪のもとに願い事をするために様々な王宮の人間がやってくる。寿雪は夜の宮を出て、その願いを何とか叶えてやろうとする。心優しいのだ。その中で、温蛍という宦官と心通わせ、衣斯哈という宦官を自分の下に置く。寿雪の世界は、確実に広がっていく。寿雪の中にいる烏、烏漣娘娘の兄が現れ、ここからもさらに物語は大きく動き出していきそうである。夏の王、高峻との友情も深まっていき、冬の王、夏の王のかたくなな心は次第に溶け出していく。本当に心優しい物語だと思う。1巻からの物語の進展が好ましい。

  • アニメを見てから本を読んだけど、アニメの回想シーンで使われた切り絵タッチがすごくよかったから、アニメはアニメで好き。でも小説は人物の心情の描写が細やかで、アニメではわからなかったことがよく理解できてこれまたよかった。
    ラストがアニメとちょっと違ってたけど、小説の方が高俊の心理がわかったけど、アニメの方が魚咏の去り方がよかった。。。
    これ、ほんとにアニメも小説もどちらもいい味で面白かった。

  • 前作の幽鬼は悲恋が多かったが、今作は妬みや執着が多かった。幽鬼の幽から鬼になる要素も出てきてそれらしくなってきている。
    前作だけでもまとまっているが、続きが出たことで烏妃の秘密や敵らしいものも出てきて世界観が徐々に広がっていくのも面白い。
    高峻側の事情も、大きな敵がいなくなって気力を支えていたものがなくなり、柵だけが深くなって孤独感が増していく。
    後宮ものではありながら、今のところ高峻の妃たちは権力争いや寵を競う様が出てこない。むしろ他に想う者がいるなど高峻の方を向いていない者ばかりなのが気になるところ。だから余計に孤独に見えるのだろうか。

    寿雪と高峻は孤独と痛みで繋がっている。だからこそ魚泳のことは切なかった。
    魚泳のその後を知る高峻の優しさ、知らない寿雪の純粋さが際立つ。けれど寿雪は知らせてもらえなかったことにものすごく傷つき怒るだろう。きっと高峻はそのことに気付かない。

    魚泳は長年の憤りを変えることは出来なかったのだろう。あちらで麗娘に怒られればいい。凄く喜びそうだけど。そしてあちら側へ渡れているかもわからないが。
    新しく冬官になった千里がいいキャラクター。寿雪たちの理解者になってくれるといい。

    寿雪と高峻が今後どうなっていくのか、烏妃という存在がどうなっていくのかますます楽しみだ。

  • いや、おもしろい。
    ハラハラ、どきどき、胸がチリチリと苦しくなったり、背筋がひんやり冷たくなったり。
    まだ、2巻か。そうとは思えぬほどの満足感。世界観にも魅了されるし、烏妃を取り巻く人との繋がりにも引き込まれる。

    類は友を呼ぶというけど、優しさにほろりとする場面が多い。優しさは連鎖して広がっていく。
    氷が溶けていくように、孤独が薄れていく。
    それを嬉しいと思う気持ちと、孤独であることを強いられていながら人と交わってしまったことへの後ろめたさと、後戻りできないところに来てしまったような心もとなさとが交じり合って、落ち着いた気持ちでは読めない。
    どうか、彼女が進んでいる道の先に絶望がありませんように、と願うしかない。

    今回のクライマックスである”梟”との出会い。
    次々に謎のベールがはがされていくけれど、まだまだ全貌は見えない。この、一見正しいことをしているようで、まるでわかっていない、言葉が通じる気が全くしない相手、というのが恐ろしい。

    続きが気になる!

  • 「憐憫(れんびん)など、なんの足しにもならぬ。知識をつけよ、知恵を使え。おぬしがやりぬくしかないのだ。おぬし以外に、おぬしの道は歩めぬ。」(121ページ)

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    後宮に住む「烏妃(うひ)」・寿雪(じゅせつ)は、夜伽をしない特別な妃であった。

    先代・烏妃から「まわりに人をおかぬよう」言われていた寿雪だったが、さまざまな事件に関わるうち、寿雪のまわりには自然と人が増えて行ってしまう。

    また、皇帝・高峻(こうしゅん)から、友という関係を築こうと提案された寿雪は、困惑しながらも日々を生きていた。

    少しずつ明かされる「烏妃」の秘密。
    そして「烏妃」が本能的におそれる「梟(ふくろう)」とは一体…?
    謎が深まる中華ミステリーファンタジー、第2巻。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    後宮で起こる事件をベースに、人間関係や烏妃そのものの謎が少しずつほぐれていきます。
    その謎は、烏妃自身である寿雪ですら知らない事実も含まれています。
    この巻では「烏妃」の“敵”である「梟」か現れるのですが、梟の語る話も断片的でまだまだ謎の全容は見えてきません。
    「烏妃」が誕生したきっかけこそが、すべての謎を解くカギになりそうですが、さて、その話が語られるのはいつになるのでしょうか…。

    また“友”という関係でとどまれるのか?高峻と寿雪の、言葉ではあらわせない微妙な関係性にも今後、注目です。

    今回の表紙も寿雪ですが、寿雪以外の登場人物の姿絵もみたい!
    3巻からは登場人物紹介ページがあるといいな、と思います。

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著者プロフィール

三重県出身。同志社大学文学部卒。雑誌「Cobalt」短編新人賞に入選の後、2012年度ロマン大賞受賞。主な著書に『下鴨アンティーク』『契約結婚始めました』「後宮の烏」シリーズ(集英社オレンジ文庫)『三日月邸花図鑑』『九重家献立暦』(講談社タイガ)などがある。

「2023年 『海神の娘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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