京都岡崎、月白さんとこ 人嫌いの絵師とふたりぼっちの姉妹 (集英社オレンジ文庫)

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  • 集英社
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レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086803434

作品紹介・あらすじ

優しかった父が死んで、身よりを失った女子高生の茜と妹のすみれは、親戚筋の久我家に住まわせてもらうこととなった。
久我家は京都東山の麓、岡崎の広い敷地に「月白邸」と呼ばれる大きな日本家屋を構えており、二人はそこで、家主で若き日本画家の精鋭・青藍と、彼の友人で陽だまりのように明るい絵具商の青年・陽時に出会う。
人間嫌いで変人という噂の青藍は、酒浸りの破綻した生活を送っており、茜たちに対する態度も剣呑としたものだった。
戸惑いつつも茜は、上七軒で父が営んでいた喫茶店で出していた食事を、青藍と陽時に振る舞うようになり・・・。
そして、亡き父の遺した掛け軸を見つめる青藍のまなざしの優しさに気づいた茜は・・・?
月白邸に集う人々の、じんわり優しい心の再生物語。

感想・レビュー・書評

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  • 確かに人嫌いではあるけれど、本来は面倒見のいい優しい人物なのだろう。
    ただ彼の置かれていた環境や境遇が、それを素直に許してくれなかっただけで。

    ここで舞台が「京都」ということが非常に活きてくるなと感じた。
    偏見かもしれないが、京都の芸術系を嗜む旧家となると、それだけで血縁者がどのような境遇でいるのか、言われなくてもある程度想像できるのではないだろうか。
    特に絵師の元に集う人々は、そんな旧家の出ながら彼らとは相容れない立場の人たちだったから。

    実家から駆け落ちで飛び出した父に先立たれ、叔父の家で肩身を狭くして暮らしていた姉妹。
    旧家から逃げ出そうとした従姉を救えなかった青年。
    そして、その家で唯一絵の才能に恵まれながら、その家を出るしかなかった若き絵師。
    そんな彼らが家族になれる場所、それが「月白さんとこ」だ。

    勿論最初から上手く行ったわけではない。
    姉はいつか家を出て行かなくてはいけないと分かっていて、月白の家でもずっと余所者として縮こまっていた。
    妹は絵師に懐きながらも、秘密を抱えていた。
    青年は様々な女性と仲良くしながらも、ずっと従姉のことを引きずっていた。
    そして若き絵師は、亡き師匠との約束をまだ果たせずにいた。

    そんな彼らが美味しいご飯を囲み、規則正しい生活をし、大の大人がこぞって妹を可愛がり(可愛がる気持ちは非常によく分かるが)姉にびしびし怒られている。
    何と微笑ましい家族だろうかと。
    決して彼らの周囲は優しい世界ではないけれど、笑える場所が安心できる場所があるということは、きっとこれから先の彼らの支えになる。

    その結果、若き絵師は亡き師匠の課題にようやく筆を載せることができた。
    その道はまだまだ長いものになりそう。
    彼が描き出したその絵に、またどんどん色が仲間が増えていってほしいと思う。
    それはきっと叶わない願いではないだろうから。
    今の彼なら。

  • 茜ちゃんもすみれちゃんもぜひとも幸せになってほしい。

  • ★★★★

  • 茜の思考が後ろ向きなので、穏やかな生活の中で自己肯定感を強めて言って欲しい。青藍も陽時もとても優しく、決めるところではちゃんと大人として接してくれているので安心する。等身大の人間らしく、皆それぞれに駄目なところもあるけど、家族として過ごしているのが暖かで嬉しい。

  • 父を失って、幼いすみれを必死に守ろうとする茜。青藍と生活するようになっても、その居心地よさに慣れないようにしているのが悲しい。不器用な茜と青藍の気持ちがすれ違っているのはもどかしいし。それでも少しずつ、家族になっていく3人は、見ていて幸せな気持ちになれた。青藍と陽時が甘い「おじさん達」になって、それを茜が窘めるのも、気を許しているのが伝わってきて、嬉しくなった。

  • すみれちゃんが可愛くて、おじさんたちがメロメロになるのはしょうがない。皆がよい方向に変わっていく物語もとてもよかったです。

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