宝石商リチャード氏の謎鑑定 再開のインコンパラブル (集英社オレンジ文庫)

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086805773

作品紹介・あらすじ

正義とリチャード、そしてみのるが暮らす横浜のマンションに、ヨアキムが逃げてきた。しかしジェフリーとの間には、ケンカもトラブルも起こっていないという。そうして奇妙な共同生活が始まった。日本語を話さない人物との同居に緊張するみのるだが、ヨアキムと過ごす日々は、またみのるの世界を彩り豊かなものにしてくれる。『将来』が自分とうまく結びつかないみのる、正義へと思いを寄せる真鈴、いつも変わらず明るい良太、自分の『夢』をみつけた林くん。正義の旧友・下村晴良やジェフリーたちも彼らの前に姿を現して……? 人と宝石が綴る珠玉の物語、クライマックス前の心温まるひととき。

感想・レビュー・書評

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  • 泣いてる。そういう事だったんだな。正義、私と同い年なんだけど、彼が変わらずまっすぐなところをみると嬉しくて堪らん。リチャードも然り。宝石商シリーズはずーっと追いかけているけれど、もしかして最終巻じゃないですよね…?いつもそうなんだけど、読後の満足度がすごくて、最終巻ですよと言われたらああそうなんですねと納得しちゃうくらいで少し焦ってる。正義とリチャードが好きすぎるから、まだまだ2人の物語を追いかけたい。追いかけさせてください。

  • あーーも遂に皆が思ってたリチャードと正義の関係性に確信を持って触れてきた……
    なんか色々と気持ちが爆発してしまうかと思ったが、ただ甘々なだけでなくそこにちゃんとスパイスが加わるのが堪らん。
    正義の事になるとついムキになって年下のまりんにすら嫉妬してダンス勝負しちゃうリチャード最高だったな。

  • 早く結婚したらいいのに(嬉し涙)

  • 爆速で読了。熱量も情報量も多い(高い)巻でした。
    ヨアキムさん、めっちゃ好きですけど……!
    そしてとうとう、正義とリチャードの関係も明確に言語化する段階に来たのだなぁと、やや複雑な心境。

    今巻も素敵な文章が沢山あり、読書ノート(物理)が大変なことになりましたw

  • ここまで長かったねえ・・・(しみじみ)
    クライマックスが近い感じがしますね。

  • 3部目に入ってから何度も書いているが、本当に何が描きたいのかわからないシリーズになって来た。正義の異母弟の自分探しみたいな内容になっていて、もう「宝石商」「謎鑑定」は一体どこに行った?ジェフリーの相手、ヨアキム、オクタヴィア、ジェフリーまでも真鈴のダンス指導や悩み相談の相手になっているし、晴良すらも中学生達の生活日記の一部になっている。正義に想いを寄せる真鈴がリチャードにダンスで問い詰める…なんていう展開は、中学生らしくないし、その後の「占い師」にぶつける正義への想いはもはや大人の女だ。みのるはみのるで、相変わらず小学生のような印象で、作者の周囲には子供はいないのだろうかと思ってしまう。正直に言えば、ジェフリーの相手は、別に普通の「女性」でも良かったのではないだろうか。洋館でヨアキムが自分の想いを語るシーンは、女性キャラに置き換えても違和感がない。多様性が作者の作風なのだろうが、少々モヤモヤした。そして正義とリチャードの関係だが、言い回しや言葉の使い方が見事なので気づかないが、今まで2人が語り合ってきた内容とほとんど変わらない。今までの登場人物達を全て中学生達の生活日記の中に入れられるのであれば、もういっそのこと中学生達を主軸にした新シリーズにするべきだろう。

  • 正義、リチャード。ヨアキム、ジェフリー。それぞれがそれぞれにいい方向にむかっていってよかった。
    真鈴にダンスを申し込まれて、それにうけてたったリチャードがいつものような理性的でなくなってっているところが、個人的には好きだった。

    みのるくんも様々な人に出会って考えていって、成長してる。
    最後、すごく続きが気になる終わり方だったので、もうすでに早く次が読みたい。

  •  宝石商リチャード氏の謎鑑定シリーズ14冊目、完結が近付くことを感じさせる第3部の3冊目です。

     前作、硝子の仮面舞踏会のラストで登場したヨアキムは、どうやら事情があってジェフリーの元から逃亡してきたらしく、しばらく正義たちの暮らす横浜のマンションで居候をすることに。英語しか話せないヨアキムとの距離をおそるおそる探りながらの交流、中華街に現れるようになった少し変わった占い師、みのるから見た正義とリチャードの関係と、真鈴が正義に向ける気持ちについて、様々な状況が入り乱れて、みのるは自分と周りの人のことを知らず知らずにつなげたり、考えを深めたりしていく。ようやく母親とも面会を果たし、一つ自分の中に何かが積み重なったように思う彼の成長を感じていける一冊。

     今作は、メインはみのるくんの視点ではあるものの、複数のカメラで色々な事情が語られる話でもありました。ヨアキムさんの悩み、真鈴ちゃんの苦しみ、ジェフリーさんの気持ち、正義くんとリチャードさんの関係について――正直、初読の今、情報量に頭の処理が追い付いていません。落ち着いてから読まなければきっと処理できないだろう、と界隈の他の方々が読んでいた反応を見て思っていたので、万全を期して臨んだはずなのにこの様です。
     とりあえず、クレアモント家の方々の愛がとんでもなく重量級だということは、分かっていたはずですが改めてよくよく感じました。まだまともかと思っていたヘンリーさんでさえ、GPS…………ええ、そうですか、そうですね、と思わず一瞬目が点に。

     けれど、話の中でいくつも、本当に誰でも自分一人できちんと考えなければいけないのではないかと思うような、命題のようなものが織り込まれていたように思います。

     普通とは、変とは、どういうことなんだろう。
     誰かを大切にしたいというのは、どういうことなんだろう。
     恋をするって、本当はどういうことで、それはどこに行きつくものなんだろう。そもそも、どこかに行きつかなければいけないものなんだろうか。
     将来を考えるって、どういうことなんだろう。

     そんな、漠然として、それはこれこれこうなんですよ、なんて簡単に誰かに答えをもらうことのできない問い。ある意味では哲学にも、宗教学にもなってしまいそうな、人生の問い。
     今まで何度も突き当たったはずのその問いを、今改めて目の前に差し出されて、自分が何を思うのか。何を基準にして、どんな感覚で、どう答えを出せるのか。改めて考えてみたくなるような心地です。
     そしてその問いに、揺れる大地で、指標のない海原で、それでも自分の答えを探してみようとし始めた若い少年たちがどんなものを見つけていくのか、今後をそっと見守りたいと思います。

  • うん、面白かった。もはや宝石の鑑定ではなくなってるけど、そのぶん人間の感情というか、関係性にシフトしてる気がします。みのるたちが暮らす横浜のマンションに、ヨアキムが逃げてきて、しばらく一緒に暮らすことに。…みのるはこの年でほんとにいろんな世界を見ることになってしまっているなぁ。

    ジェフリーとヨアキムの関係は、正義とリチャードの関係にも少し通じるところがあって、第一部ではあくまで「匂わせ」だったものが、今巻で一歩ずつ進んでるのを読み取れて、個人的にはニヨニヨしてしまいました。ジェフリーとヨアキムも、正義とリチャードも、ちゃんとお互いを大切に思っていることが伝わってきてうれしい。そしてそれを外から見るとどうなるのか、というところもしっかり描かれているところがこの作品”らしい”。

    なお、正義の旧友・下村晴良も元気そうでよかった。ほんとまさか彼の将来がこんなになってるなんて登場時にはミリも思わなかったよ笑。

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著者プロフィール

9月24日生まれ。神奈川県出身。『時泥棒と椿姫の夢』で2014年度ロマン賞を受賞。受賞作を改題・加筆改稿した『螺旋時空のラビリンス』で文庫デビュー。

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