「健康」という病 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087200409

感想・レビュー・書評

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  • 【メモランダム】
    ・面白いテーマで新書をまとめている。
    『健康病――健康社会はわれわれを不幸にする』(上杉正幸 洋泉社 2002)、『健康不安社会を生きる』(飯島裕一[編] 岩波書店 2009)、『つくられる病――過剰医療社会と「正常病」』(井上芳保 ちくま新書 2014)など。

    “theme アンチ健康
     健康ブームが過熱するあまり、「健康のためなら死んでもいい」とすらいいかねない異常な事態が起きている。いったい何のための健康なのか。「健康とは何か」「どういう生き方がいいのか」を根底から探る。”
    https://shinshomap.info/theme/anti-healthy_life.html


    【簡易目次】
    第1章 半健康ではいけないか 
    第2章 危険因子はほんとうに危ないか 
    第3章 ダイエットにおける幻想 
    第4章 スポーツはからだにいいか 
    第5章 人間ドックは役にたっているか 
    第6章 薬は効いているか 
    第7章 ストレスはからだに悪いか 
    第8章 健康という欲望 

  • すでに2000年にこれが書かれていたわけで。15年たっても変わらぬところが多いが、常識?あるいは知っている人には常識になったことも多い。健康というのはなかなかおっかない概念だ・

  • 3

  • 毎年会社から健康診断に行っている。胸や胃のレントゲンも毎年とっている。昨年、診察をしてくれた医師は「まだ若いから毎年レントゲンはとらなくてもいいですよ、むだにX線を浴びるのも良くないから」と言った。それでは、それまでの数年間毎年繰り返していたのは何だったのか。もともと、胃のレントゲンでは何も見つからないというのは何かで読んで知っていた。でも、気休めに受けていたのだけど、検査をしている医師にまでそう言われると・・・まあ、その人が正直だったのだろうけど。もちろん、今年はレントゲン撮影は省略する。それから、この2年、肝臓やすい臓のはたらきに異常値が出て2次検査を受けるように言われる。昨年は放っておいたけど、一昨年は肝臓を超音波で見てもらった。全く問題はなかった。本書を読むと、その値(γ-GTP)は非常に異常が出やすいとのこと。これも無駄なことをしたのかも知れない。だけど、会社のお金で検査をしてもらえるから、とついつい思ってしまう。その分をもっと他のことに使った方が有効なのかも知れない。それにしても、校長という職についた年から異常が出るというのは、やはりストレスのせいかと思ってしまったりもする。ただ、本書によると、ストレスというのはいつでも悪者というわけではないということが分かる。ある程度のストレスは勉強や仕事をより質の高いものにするようだ。ほかに、スポーツは体によいのか?ダイエットは体にどう影響するのか?薬は本当に効果があるのか?などの問題が取り上げられている。そして、著者が徹底的に批判をしているのが、喫煙(たばこを吸う)ということについてです。ここまで強烈に書かれたものを私も見たことがありません。が、全面的に賛成です。こうまでたばこが嫌われるようになって、なおかつなぜこれだけ宣伝をして売られているのか、ということの意味が本書を読んで少し分かったような気がします。いずれにせよ、たばこは絶対悪です。何もいいことはありません。特に中学生のみなさん。高校に行ってからも、かっこうだけでたばこを吸うのは絶対やめましょう。ところで、以前にも紹介しましたが、私は現代風俗研究会編「不健康の悦楽・健康の憂鬱」に「カフン症な私」という拙文を掲載しています。よかったらどこかで立ち読みでもして下さい。

  • 健康とは?医師の立場から、さまざまな調査や医学的真実に基づいた新しい健康観を語る。

    [配架場所]2F展示 [請求記号]080/S-3 [資料番号]2007110796

  • もう一度、健康について考えてみようと思わずにはいられない本だ。もはや強迫観念と化したきらいのある健康が売り物、あるいは商品となっている現代にあって、再確認するにはうってつけだろう。新書版なので、気楽に読めるのも嬉しい。(第2閲覧室 所蔵 490.4/Y)今は、図書館企画展示「この本がアツい!」にも展示されている。

  • 完全な健康など幻想であり、ありえない。
    人間は誰でも、どこかしら不健康なのが普通である。
    病気とはうまくつきあっていくもの。

    ってゆうような内容。

  • 【概要・粗筋】
    現代社会では、人々は健康でありたいという欲望を持ち追求し続けている。一方で、錯綜する医療情報に振り回されている。そこで、筆者は危険因子、ダイエット、スポーツ、人間ドック、薬、ストレスなど「健康」にまつわる身近なテーマに人々の認識が俗信・迷信であることを明らかにする。そして、新たな健康観を提示する。

    【感想】
    近年、社会学で現代の健康ブームに対する研究が注目されていると知って、健康ブームに対する批判的な本を読んでみたかったので、本書を購入。もっとも、著者は社会学者ではなくて現役の医者。

    筆者は私たちが接し信じている医療情報には科学的検証されたものが少なく、誤謬も多いと指摘する。けれども、門外漢の私としては本書で語られている医療情報の真偽については正直わからない。けれども、完全な健康など存在せず、人間は不健康であることが当たり前であって、このことを前提に「自分の目標設定したことを苦痛なく遂行でき(P9)」れば健康であるとする主張は肯ける。いたずらに健康に対して不安にならず、自分のしたいことに支障を来す事態に陥ってから医者にかかるのでも良いと思った。

    それでも、人間ドックや検診をしなかったばっかりに、がんなどの命に関わる病気を早期発見できなくなってしまうかもしれないという不安はあるだろう。しかし、本書によれば肺がんに関しては現時点では早期発見による治療法が確立されてない(P143)とのこと。さらに、子宮体がん、肺がん、乳がんは検診をしてもしなくても発見率に違いがなくらしく、早期発見が効果的なのは子宮がんや胃がんぐらいとのこと(P130)。

  • メディアや周りから作られた「健康」に翻弄される私たち、ということを感じさせてくれる。

  • 新しい検査が可能となるたびに、新しい病人が増える。
    納得の理屈だ。
    健康志向の落とし穴がわかる。

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著者プロフィール

聖マリアンナ医科大学内科助教授を退職後、東京・あきる野市の米山医院で診療を続けながら、脳の活性化、認知症予防、老人医療などをテーマに著作・講演活動を行っている。『脳が若返る30の方法』(中経出版)などのベストセラーをはじめ、著作は280 冊以上に及ぶ。趣味は独学のピアノ演奏、油絵やイラストを描くことで、イラストは自身のエッセイとともに雑誌などにも掲載されている。

「2022年 『脳がみるみる若返るぬり絵 花といきもの』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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