中坊公平・私の事件簿 (集英社新書)

著者 : 中坊公平
  • 集英社 (2000年11月1日発売)
3.43
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087200638

作品紹介・あらすじ

闘う弁護士・中坊公平は、いかにして形成されたのか。彼は生涯、約400件にものぼる裁判や事件を担当してきた。庶民の苦しみの中から提起された小さな事件はもとより、日本社会を揺るがした「森永ヒ素ミルク事件」や「住専問題」などの大事件まで、それはあらゆる分野に及ぶ。本書では膨大な記録の中から今も著者の心に残る一四の事件をピックアップして、その内容と思い出を記述した。これは「事件が弁護士を育てる」と語る著者の成長の軌跡でもある。

中坊公平・私の事件簿 (集英社新書)の感想・レビュー・書評

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  • 中坊さんが扱った事件を、その当時の思いと共に振り返ったもの。簡易でしたが、時代の流れを感じます。
    法を扱うようでいて、不幸を扱うのだから人を見なければならない、と。真実は現場にあると語る彼の言葉は正しいと思うけれど、それを弁護士の彼が語るのが、新鮮に感じた。

    ・われわれ弁護士が扱う「商品」というのは、「人の不幸」というものから出発しているわけです。しかし、「人の不幸」というものをどう処理するかというのは限りなく難しい問題です。だから、傷ついている人には優しく、居丈高になっていたり、無責任な態度をとっている人にはきつく接するとか、要するに人を見て法を説かないといけないのであり、たえず万人に対して同じ答え、態度で接するという方がむしろ間違っていると考えるのです。

    ・二つ目に引っかかりました言葉は、私に隠れてといっては変だけれども、小さな声で数多くの人が言われました。このようにして権力をおもちの方と闘うということは、所詮は敗れることである、これだけお金を投じても、いらんことに終わるのではないか、ということが、ずっと継続をいたしておりました。
    私はその都度「いやそうじゃない、世の中には真実と道理というものがある。そしてそれはいかなる権力よりも強いものだ。それこそが、われわれを守る武器である」ということを言い続けて今日までまいりました。

  • 今年5月3日、「平成の鬼平」と呼ばれた弁護士・中坊公平氏が亡くなった。
    いつか読もうと思って積んでおいた本書を取り出して、遅ればせながら
    追悼読書である。

    中坊氏が手掛けた事件を辿りながら、弁護士としてどのように成長して
    来たかが綴られている。

    取り上げられている14の事件は新書という限られたページ数の為に
    ダイジェストになっている。氏の仕事については他の作品の方が
    参考になるかもしれない。

    しかし、本書に収録された森永ヒ素ミルク事件の冒頭陳述は必読。
    氏は終生忘れることの出来ない冒頭陳述とし、時が経っても暗記
    していると言う。

    後の公害訴訟でもそうだったが、国と企業が癒着して多くの犠牲者を
    出した事件だけに、被害者である弱者の目線にたった冒頭陳述は
    権力側への怒りを秘めながら、声を上げられなかった弱者の声を
    見事に代弁している。

    弁護士は依頼者に法律のことを教える存在ではない。依頼者の立場
    になり、依頼者の心の負担をいかに減らすかなのだと言う。

    司法の責任とは何か。弁護士とはどうあるべきか。中坊氏の人生観
    に触れられる書である。晩年、整理回収機構で汚点がついてしまった
    のが残念だった。

  • ざっくりとした語りなのにぐいぐいくる。

  • こういうタイプの人間じゃないと日弁連会長にはなれんよね、というほど義の人というか、まあそれがすべて好転するかというとそうではないのかもしれませんが、少なくとも組織に対し正義を貫こう、という姿勢は相当気概のある人間でないとできないことで、テレビ出てるような有名な弁護士なんて楽して勝つ方についてるしね。PL法といった法律、というか考え方といいますか、そういうのが整っていない時代に、責任の所在を理解させる、って相当大変なんでしょうね。もちろん今もそうした状況で苦労されてる人がいるってことです。

  • 個人史を辿りながら、社会的重要事件も垣間見えるような設定で、興味深く読みました。最初に事件のあらましで、それから裁判の顛末について書かれるという流れでしたが、読んでいるうちにちょっとした気付きがありました。事件の内容だけを見ていると、どちらが弁護されるべき対象なのか、よく分からないケースがしばしばあったのです。その後の流れを読むうちに、”なるほど、非があったのは相手側だったんだ”って気持ちになるんですけど、それ、結構危ないことですよね。弁護士の言い方一つで、良いものにも悪いものにもなり得る、という。依頼人の弁護に是力を尽くすのが仕事だけど、やり方によっては口八丁も成り立つ。それって、注意して見ないと怖いことですよね。これを読みながら思ったのは、ことの良し悪しは自分の頭でちゃんと判断しないといけないな、ってことでした。

  • P90〜92のメッセージを全ての弁護士、弁護士志望者に読んで欲しい。中坊さんのような弁護士になることは並大抵の努力では出来ないことは明らかだが、自分の実力を直視し、それと向き合って努力することは誰にでも出来ることであり、弁護士というプロである限りそれは必須のことである。

  • (2002.10.14読了)(2001.04.20購入)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    闘う弁護士・中坊公平は、いかにして形成されたのか。彼は生涯、約400件にものぼる裁判や事件を担当してきた。庶民の苦しみの中から提起された小さな事件はもとより、日本社会を揺るがした「森永ヒ素ミルク事件」や「住専問題」などの大事件まで、それはあらゆる分野に及ぶ。本書では膨大な記録の中から今も著者の心に残る一四の事件をピックアップして、その内容と思い出を記述した。これは「事件が弁護士を育てる」と語る著者の成長の軌跡でもある。

    ☆関連図書(既読)
    「日本人の法と正義」中坊公平著、NHK人間講座、2001.01.01

  • 中坊氏が弁護士として手がけてきた事件の数々。森永砒素ミルク事件、豊島不法投棄事件、豊田商事事件、看護学校生への呉服強制販売事件、住専問題などいずれも氏が正義観から被害者の気持ちを汲み取って原告弁護を務めた事件が多い。欲に溺れたと、騙された側を批判する世の中の目や、或いは子供に無理矢理にミルクを飲ませてしまったと企業を責めるより自分を責める母親の自責など、被害者の複雑な心境に対する氏の優しい心遣いが伝わり、好印象を感じる本でした。中坊氏の父親弁護士とのやりとり、駆け出しの頃の依頼人が来ない時代の苦労など、氏を理解する上でも面白かったです。

  • 氏が自らの弁護士人生を振り返り、
    ポイントとなった事件を追う。
    森永ヒ素ミルク事件の冒頭陳述は圧巻です。
    遅すぎた青春との記述に涙しました。

  • ひたむきに他人のために生きてきた中坊公平さんという弁護士さんの本。人として生きる上で、知っておかなければならない事件を多数担当されており、勉強になる一冊。森永ヒ素ミルク事件の被害者への圧殺は、非常の心が痛む。

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