現代イスラムの潮流 (集英社新書)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087200966

作品紹介・あらすじ

多くの日本人にとって、ブラックボックスのような存在、それがイスラムではないだろうか。イスラム過激派によるテロ活動や、バーミヤン石仏の破壊などで「イスラムは怖い」という印象を持つ人もいる。だが、イスラムとはもともとサラーム(平和)というアラビア語から派生したことからもわかるように、平安と平等を求める宗教なのだ。グローバル化の現在、12億人の人々が暮らすイスラム社会への理解なしに、われわれは世界を語れない。本書は、イスラムの歴史や思想、そして現代イスラムの潮流を、わかりやすく読み解く格好の入門書である。

感想・レビュー・書評

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  • 現代イスラムの潮流
    著:宮田 律
    集英社新書

    2000年前後の中東ガイドブック

    ■イスラム
    物騒な宗教・怖い宗教というイメージを日本人はもっている
    ムハマンドが聞き、人々に伝えた啓示をまとめためのがイスラムの聖典、コーランだ
    ムスリムとは、神に服従し、帰依する者という意味
    五行 喜捨、信仰告白、礼拝、断食、巡礼
    ムスリムに求められているのは、神であるアッラーを信じること
    預言者とは人類に神の言葉を伝える人間たちである
    イスラムでは妻帯は4人まで認められている
    シーア派ではムトアという一時婚が認められている
    イスラムの商売では利子(リバー)をとることが禁止されている
    ムハマンドの血族、ヨルダン王家のハーシム家が子孫だ

    イランはシーア派が主力
    シーア派はムハマンドの娘婿であったカリフのアリーを正当尾なムハマンドの後継者と見なしている
    アラブ人はスンナ派で、シーア派を異端としている
    スエズ運河以西のアフリカにはシーア派はいない
    イラン以外では、シーア派の信仰が盛んなのは、レバノン南部、アフガニスタン中部、イラク南部だ
    シーア派組織、ヒズボラ(神の党)

    ■中東
    アルメニア キリスト教を国教とした最初に国であり、トルコのオスマン帝国から大虐殺を受けた
    トルコ 中東最大の軍事国で、NATO加盟国、ロシアと歴史的に敵対している
     ユダヤ人がオスマン帝国時代に農業、産業、通称の近代化に貢献しているため、トルコ人はユダヤ人に友好的だ
    イラン アリーは聖人としてあがめられている
    クルディスターン クルド人の居住地 トルコ、イラク、イランにまたがる山岳地で暮らしている
    マケドニア 20世紀初頭にムスリム、ユダヤ人が民族浄化の名目で虐殺されている
    ボスニア紛争 
     セルビア人⇒東方正教会、ロシア、ギリシア、ブルガリアが支援
     クロアチア人⇒ローマカトリック、オーストリアが支援
     ムスリム⇒トルコ人が支援     
    イラン 
     SAVAKがCIAの支援を受けて秘密警察と諜報機関を創設、反国王勢力の弾圧に
     ホメイニ、イラン革命
    モロッコ
     国王がベルギーへ留学、近代化路線

    ■パレスチナ問題

    もともとエルサレムは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教が共存していた
    シオニズム⇒ユダヤ国家建設へ
    バルフォア宣言⇒イギリスが、パレスチナにユダヤ人国家の創設を約束
    フセイン・マクマホン書簡⇒パレスチナを含むオスマン帝国にアラブ国家を約束
    第1次中東戦争 1948
    スエズ運河国有化 1956
    第2次中東戦争 1956
    第3次中東戦争 1967
    第4次中東戦争 1973
    レバノン戦争 1982
    イスラエル・PLO和解 1993

    ■アフガニスタンとタリバン

    湾岸戦争 1990
    ニューヨーク 世界貿易センター爆破事件 1993
    ケニア・タンザニア、アメリカ大使館爆破事件 1998
    (911同時テロ 2001)

    カシミール問題 もともと、住民の多数がムスリム、藩王がインドへ帰属

    第一次石油危機 田中政権がサウジに油乞い外交を、
    イスラエル占領政権を非難して、友好国の認定を受ける
    ⇒これに怒ったアメリカが、ロッキード事件を引き起こしたという説がある

    目次
    まえがき
    第1章 イスラムとは何か
    第2章 イスラムの宗派と、民族の融和と抗争
    第3章 成長する「イスラム原理主義」とは何か
    第4章 パレスチナ問題―イスラムと異教徒との最大の紛争
    第5章 現代の「ジハード」をスケッチする
    第6章 イスラムとの共存・共生を考える
    主要参考文献

    ISBN:9784087200966
    出版社:集英社
    判型:新書
    ページ数:208ページ
    定価:660円(本体)
    発売日:2001年06月20日第1刷

  • 2003.3.13 ~ 19 読了

  • 2001年出版の、イスラム世界の解説書。アメリカがイスラム世界から敵対視され、テロのターゲットとなってしまっている、その原因は、アメリカが自国の利益のみを考えてアラブ・イスラムの国々を混乱させてきたことや、ユダヤ・コミュニティの米国政府への強力なロビー活動にあるとのこと。ただ、根本的な原因は、西欧の、欲望を是とする自由競争社会がもたらした貧富の差にあるような気がするのだが、どうだろうか。

  • イスラム入門書、発行が2001年なので、2001年時点での「現代イスラムの潮流」。最近の潮流を押えるのには不足。

  • 2014/11/15 読了

  • (2001.12.19読了)(2001.11.22購入)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    多くの日本人にとって、ブラックボックスのような存在、それがイスラムではないだろうか。イスラム過激派によるテロ活動や、バーミヤン石仏の破壊などで「イスラムは怖い」という印象を持つ人もいる。だが、イスラムとはもともとサラーム(平和)というアラビア語から派生したことからもわかるように、平安と平等を求める宗教なのだ。グローバル化の現在、12億人の人々が暮らすイスラム社会への理解なしに、われわれは世界を語れない。本書は、イスラムの歴史や思想、そして現代イスラムの潮流を、わかりやすく読み解く格好の入門書である。

    ☆関連図書(既読)
    「バーミヤンの鳩笛」並河亮著・並河萬里写真、玉川選書、1979.12.25
    「イスラーム生誕」井筒俊彦著、中公文庫、1990.08.10
    「アフガニスタンの診療所から」中村哲著、筑摩書房、1993.02.10
    「テロリズムと世界宗教戦争」宮崎正弘著、徳間書店、2001.10.31
    「オサマ・ビンラディン」エレーン・ランドー著・大野悟訳、竹書房、2001.11.01
    「「テロリスト」がアメリカを憎む理由」芝生瑞和著、毎日新聞社、2001.11.10

  • 歴史、各国でのイスラムの状況などがポイントを押さえている。

  • アラブ世界の統一は促進されるよりもむしろ分裂が定着するようになった。
    イスラムではユダヤ教とキリスト教を啓典の民として寛容に扱ってきた。同じ宗教的ルーツを持つという考えによるものから。
    アメリカのイスラムの脅威は1979年のイラン革命によってはじまった。

  • イスラム圏のことはよく知らなかったので。誰かにすすめられて読んだけどそれがだれだったのか思い出せない。

    イスラムの基本部分は理解した気分になれた

  • イスラムの歴史、考え方など基本的なことがわかる本
    とにかく根底にあるのは西欧化による格差の拡大とそれによるイスラムへの帰依。これが西洋のイデオロギーと対立して行くことになる。
    イスラム原理主義は危険な思想である、と西欧を中心とする国々は言っているがムスリムにはムスリムなりの正義が存在しているということを痛感させられる本。ただ、この本は同時多発テロより少し前に執筆されたものなので、その後の中東を中心とした情勢についても知る必要があり。

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著者プロフィール

現代イスラム研究センター理事長。1955年生まれ。慶応義塾大学大学院文学研究科史学専攻修了。UCLA大学院(歴史学)修了。専門は現代イスラム政治、イラン政治史。著書『現代イスラムの潮流』(集英社新書)『中東イスラーム民族史』(中公新書)『アメリカはイスラム国に勝てない』(PHP新書)ほか

「年 『集団的自衛権とイスラム・テロの報復』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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