大学サバイバル ―再生への選択 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087201222

作品紹介・あらすじ

少子化に伴い二〇〇九年には、大学・短大「全入時代」がやってくる。今や定員割れは当たり前。大学の倒産も現実味をおびつつある。さらに企業など社会が大学に向ける目も厳しくなっており、若者のモラトリアムとしての大学は消滅し、中身の充実が求められている。大学間競争の激化、統合再編など「生き残り」をかけた動きも急だ。国立大学の「法人化」も間近に迫る。いままでの常識では考えられなかった状況に、大学はさらされている。大学はどこへ行こうとしているのか。変貌する大学の姿を、現場の新聞記者が多面的に解説する。

感想・レビュー・書評

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  • 大学を卒業してからも、たまに学園祭や仕事の関係で母校に足を運んでいます。流石に年を経るにつれ、足を運ぶ回数は減ってきてはいますが。その間も、大学内の設備やカリキュラムは大きく様変わりしています。充実しているように見受けられます。これはさぞかし恵まれた教育環境なんだろうと、皮肉たっぷりに眺めていました。
    嫉妬に聞こえればそれまでですが、今の何でも揃う環境で育っている後輩達と話すより、殆ど揃っていないけれど自らの創意工夫で大学生活を送ってきた先輩達と話をする方が、実のところ楽しいのです。本来ならば、自分達の頭脳で、仲間ととことん話し合って、問題を発見し、そして解決していくはずなのに、それすらも今は機械任せ。そちらの方がよっぽど処理能力は高いし、効率的だから。だからなのでしょうか。今の現役学生と色んな話をしても、「自分の言葉とは思えない」と思うのは。

    最先端の設備が揃う魅力的な大学。けれどそれにどっぷり浸かれば、逆に学生の能力を減退させることにも成りかねない一例です。

    幅広く現在の大学及び高等教育機関に内包している諸問題を包括的に取り上げている本です。ジャーナリストという観点ですから、割と生々しい現実として突きつけられます。著者が女性だからか、短期大学や女子大に関するトピックスが多いように見受けられましたが、今の少子化問題、そして女性のライフスタイルの変遷を目の当たりにすれば、自然と出てくる問題ですね。
    2001年に初版が発行されても、この本に書かれている内容は、概ね現在でも通じるところがあります。いや、それはまだまだこれから先も見据えなければならない問題でしょう。それは、それだけ危機感を持つ大学が少ない、ということを意味しているに他なりません。
    単に現状を述べるだけでなく、著者ならではの考え・解決法を記載しており、その内容も薄く広くではありますが的確に述べられていると思います。

  • 定員割れ、経営難…。大学間競争の激化、統合再編。国立大の独立行政法人化など、変貌する大学の姿を現場の記者が解説。(e-honより)

  • 少し昔の内容だけど、結局10年ほど経っても問題はまったく良くなってないなぁ。
    大学が新設学部を増産する意味が分からないし、前よりも学生がお客様として扱われているし。
    この傾向はきっと変わらないどころか、もっとひどくなるんだろうなぁと。

  •  今から約10年前に書かれた本。題名のように、大学全入時代を迎えた相次ぐ定員割れや不祥事について、新聞記者の視点から問題点を見ていく。
     本書の扱う範囲はかなり幅広い。大学サバイバルというが短大から大学院まで取り扱っている。また四大学連合などかなり細かい点を突いている。新聞記者らしく、明確なソースは残っていないものの制度の裏側や大学の内情まで把握されており、なぜそうなってしまったかという因果関係が書かれており読みやすい内容だった。
     10年前に書かれたにも関わらず、増え続ける大学や脱ゆとり教育に対する危機感、また秋学期入学の提案は先見の明があるように思える。実際に大学新設不認可問題や秋学期入学への取り組みがやっと行われているあたり、筆者が思っている以上に大学は厳しい状況に置かれているのかもしれない。

  • 2001年の本なのでデータが多少古いのは否めないが、最後に指摘されているものはまさにその通りだと感じた。秋季入学の指摘などはまさに今話題になっているし、一度読むとイイかも。

  • 2001年に出版された本だが、勉強になるところ多々あり。ちょうど国立大学法人が設立されるタイミングで書かれたものなので、当時の問題意識、展望などが伝わってくる。その後、どうなったかを比較すると、さらに勉強になる。
    少子化、学力低下などの大学を取り巻く環境はいまも全く同じ。その中で大学自身がどう変革し、対処していくか。
    その改革は、「大学が何を目指すか」、「どういう学生を育てるのか」という価値観に貫かれていなくてはならない。大学同士の合併や、学部名の変更など、枠組みを変えるだけでは、本当に魅力ある大学にはならないだろう。
    私立大学も国立大学も、サバイバルの時代。小手先の戦略、戦術ではなく、理念、ビジョンが必要だ。

  • 大学の存在意義を考えさせる本書。意外と面白かったのが4年生大学だけではなく、短大・専門学校まで触れ、それを大学で取り巻く問題点につなげていること。こういった問題は一般人にできることがあまり無いが、近い未来に文科省が苦肉の策にでなければならないのは確実……と思わせる内容であった。

  • 書いてあることはだいたい納得できるのだけど、根本的に納得できないのは、なぜ18歳人口が減っているのに学校が新しくできるかだ。
    いきなりバブル崩壊したというのならばともかく、70年代後半~80年代前半には分かっていたことではないのだろうか。
    私は1973年生まれの第2次ベビーブーマーだが、「少子高齢化」「つぼ型人口ピラミッド」なんて中学生のころから言っていたし、高校受験の定番だったぞ。なんでそれを出題している側が、それをフル無視するんだ?

    「高等教育の機会が増えるのはいいこと」と文科省をはじめ関係者が考えていたから、ということだけど、説明がそれだけでは納得がいかないな。

  • [ 内容 ]
    少子化に伴い二〇〇九年には、大学・短大「全入時代」がやってくる。
    今や定員割れは当たり前。
    大学の倒産も現実味をおびつつある。
    さらに企業など社会が大学に向ける目も厳しくなっており、若者のモラトリアムとしての大学は消滅し、中身の充実が求められている。
    大学間競争の激化、統合再編など「生き残り」をかけた動きも急だ。
    国立大学の「法人化」も間近に迫る。
    いままでの常識では考えられなかった状況に、大学はさらされている。
    大学はどこへ行こうとしているのか。
    変貌する大学の姿を、現場の新聞記者が多面的に解説する。

    [ 目次 ]
    第1章 学生が集まらない!
    第2章 「学力低下」を考える
    第3章 変わる学生気質
    第4章 揺らぐ「基盤」
    第5章 国立大学は変われるか
    第6章 合従連衡の時代
    第7章 岐路に立つ短大・女子大
    第8章 多様化する学びの形
    第9章 早慶戦・番外編
    第10章 サバイバルに向けて

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  • どーする?!どーなる?!(2009.08.27)

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著者プロフィール

古沢由紀子読売新聞東京本社編集委員。1965年生まれ 早稲田大学政治経済学部政治学科卒。山形支局、社会部、ロサンゼルス支局長、生活情報部次長、教育部長、論説委員などを経て現職。文部科学省・中央教育審議会大学分科会委員などを務める。単著に『大学サバイバル』(集英社新書)、共著に『教育再生』『大学入試改革』(いずれも中央公論新社)、『志村ふくみ 染めと織り』(求龍堂)。

「2023年 『伝説の校長講話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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