- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087201994
作品紹介・あらすじ
冷戦後の一〇年間、国連人道機関の一つであるUNHCRのトップとして世界の難民支援を指揮し、国際的に高い評価を得ている緒方貞子・前国連難民高等弁務官。頻発する危機や武力紛争の中で、彼女はどのように考え、決断し、行動したのか。同時多発テロ事件のあと世界はどこに向かおうとしているのか。「人間の安全保障」という考え方にはどんな可能性があるのか。-長時間のインタビューに関係者の証言をまじえて、その人と思想を生き生きと描き出す。自らの生い立ちを日米関係史に重ね、人道主義を力強く提唱した、アメリカでの講演『日本、アメリカと私-世界の課題と責任』を巻末に収録。
感想・レビュー・書評
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2019年年末のBRUTUS読書特集号「危険な読書2020」で気になった一冊。ウクライナの避難民が気になって積読から取り出して読了。
旧ユーゴ紛争のところを読んで、既視感半端ない。歴史は流転するというか、歴史から学ばないなとか。
緒方さんが国連難民高等弁務官だった頃、国際法を学ぶ学生だったから、色々知っているつもりだったけど、知らないことも多かった。
序章に書かれている、緒方さんの原動力は怒りということ。今のリーダーには怒りが足りないのかなと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私が「緒方貞子」という人物を知ったのは何年も前の「日経WOMAN」の
何かの特集に書かれたあった言葉
確か頑張ってる女性に向けた言葉を集めた特集かなんかだった気がするんだけど・・・
「もっと頑張ってください。ほんとに頑張っている方たちがいらっしゃるんですよ、
びっくりするほど」
なんだか分からないけど、この言葉に射ぬかれたんだよね
誰だ?緒方貞子って?って思って調べ始めたら「国連難民高等弁務官」だった
正直、当時は「なんの仕事?」って程度の恥ずかしい知識(笑)
先日もNHKの番組で特集されてましたね
とても80歳を超えているとは思えない佇まい・・・
一言で表現しろと言われたら「かっこいい女性」
憧れてなれるもんじゃないけど、でもでも尊敬してしまう
この本は私が射ぬかれた言葉が書かれてある本です
探して購入してしまいました(笑)
射ぬかれた言葉以外にも、この本で射ぬかれた言葉をご紹介します
「こういうことはすべて現場の実態を知っているからわかるのであって、抽象的に考えて
やっているんじゃないんですよ。書類を読んで勉強するんじゃない。人間とのふれあいで
みんな学んでくるんですから。
現場へ行かないで抽象的に考えたものは、本当に効果がないですね・・・・・・・・・」(p121)
これってカウンセラーでも言えることだよなぁ~
机上の勉強も大事、理論も大事、だけど、やっぱり最後は現場、目の前の相手なんだよね!
私はやっぱり、現場主義の動くカウンセラーでいたいな! -
国連難民高等弁務官を10年務め、現在も国際社会で活躍している緒方貞子さんのドキュメンタリー数本をまとめて書籍化したもの。
自分も含め、いかに日本人って国際問題について疎いのかがよくわかった。新書は古くなると情報が色々変わって使えなくなるっていう側面が存在するのだけれど、この本はほぼ10年がたった今も全然古くなんてなってない。今でもアフガン問題は残っているし、中東では新たな火種が燻っている。
そういう国際問題に目を向ける事、そして何かを感じ取って自分の中にその知識や思考を蓄積することが国際社会に参画するためには必要な要素になるんじゃないかな、とこの本を読み終えてそう思う。-
「今も全然古くなんてなってない」
或る意味悲しいコトです。
日本が難民に対して優しい国になるよう、緒方貞子には、日本政府に働き掛けして欲しい...「今も全然古くなんてなってない」
或る意味悲しいコトです。
日本が難民に対して優しい国になるよう、緒方貞子には、日本政府に働き掛けして欲しい(勿論、難民を生み出す国がなくなるのが一番ですが)。2012/12/10
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関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40020777 -
強い信念と本物のリーダーシップを兼ね備えていた人だというのが良くわかる。さらに人道支援に従事する人だけでなく、難民にも尊厳と尊敬をもって接していたのが言葉では表し尽くせない人としての奥深さを感じる。
またグローバルの視点を常に持っており、日本が単一民族の島国であるのは錯覚だと言いきったり、物事を客観的かつ俯瞰的にも見ることが出来る真のリーダーであることがよく読み取れる。憧れの対象としてもっとたくさん緒方貞子さんの本を読んで学んでみたい。 -
369.38/ヒ 2023.08迄おすすめ図書書架に配架
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高校の国語の救業で見つけた本。
尊敬する人が緒方さんことを尊敬していて、夢中になって読んだ。
そのおかげで一番成績良かった。
緒方貞子についてもっと知りたくなる一冊 -
『熱い心と冷たい頭を持て』
『大事なのはルールを守ることではない』
緒方貞子さんが言うからこそ、
重みを持って理解できる言葉。 -
緒方貞子さんのことは以前から知っていましたが、実際に何をしてどういう決断をくだしてきたのかを知りたくて読み始めました。芯が強くてそれでいてしなやかな人で、言葉に惹きこまれました
こういう人でありたいと思わせるような人でした -
冒頭「「緒方さんの行動のもとになっているエネルギーは何でしょうか?」」
末尾「私どもの事務所は、いつでもそれに応じる用意ができています。ご清聴ありがとうございました。」
数年前からUNHCR国連難民高等弁務官事務所に毎月少額ながら寄付を行っている。きっかけは偶然。お金の使い方を考えていて、自分のためだけに使うっていうのはどうなのかなと思っているときにショッピングモールでばったり。
緒方貞子さんはかつてUNHCRのトップをやられた方。名前を知ったのは高校の倫理の授業だっただろうか。本当に名前だけで業績とか何も知らないまま、昨年お亡くなりになってしまった。やっと読めた。
国連難民高等弁務官に就任された頃は、冷戦後、世界の構図が変わって、国内紛争が原因の難民が増えた時期だったそう。国内避難民をどうするか、市街戦が行われている場所での人道支援のために軍と協力するなど、組織の体質も規模も一気に大幅に変革することになった。
ルールを変えることにはなるけど、『難民を保護する』『生命の安全を確保する』という基本原則の根幹は同じというスタンス。
一番印象に残っているのはp120あたり。
「貧困の撲滅は大事ですけれども、それで平和が来ると思ったら間違いだと思います。貧困がなくなることと、社会的な安定が出てくるということは、ちょっと違うんですよね。社会正義、社会的な公正、そういうものが同時に進んでいかないと平和は実現しません。社会的な公正さは非常に大事だと思います。私が見てきた紛争の多い国家において、あるいは地域においては、社会構成という問題は非常に大きかったと思いますね。逆に言うと、それが保証されないところで紛争が起きるのです。」
「やっぱり工夫を重ねていけば、完全にいい結果じゃなくても、何かが出てくるのだと思うのですね。それが私たちのチャレンジですよ。こういう仕事をしてきて、何か新しい解決法はないだろうかと絶えず考える癖がついてしまいました。工夫することですね。いつも状況をただ受け入れているのでは、この仕事をしている価値がない。絶えず工夫していって、その中からいろいろなものを生み出していく。」
「こういうことはすべて現実の実体を知っているからわかるのであって、抽象的に考えてやっているんじゃないですよ。書類を読んで勉強するんじゃない。人間とのふれあいでみんな学んでくるんですから。現場へ行かないで抽象的に考えたものは、本当には効果がないですね。現場がわかるから、そういうことが出てくるのです。それが私どもの組織の力だと思いますよ。現場感というものね。『現場』というのは、うちの組織のキーワードでようね」
この当時の発言で内向きな政治家が多いと指摘しているけど、2020年現在はアメリカのトランプ大統領をはじめ本当にそういう傾向が強まっている。この本を読んでいた時に「アメリカのWHO脱退」というニュースが流れてきた。正直、今回のWHOについては自分も批判的に考えてしまうけど、これで世界の分断はますますエスカレートしていくんだろう。緒方さんのようなリーダーがいたらいいなと思う気持ちも当然湧いてくるんだけど、一人一人が他者や世界を想像し、行動することが重要なんだろうと思う。
最後に第八章から。
「もっと頑張ってください。ほんとに頑張っている方たちがいらっしゃるんですよ。びっくりするほど。もう少し、もうちょっとその人たちが増えて、そしてその人たちの評価というものが出てくることが必要だと思います。」
緒方さんから見て、今の日本と日本人は頑張れているんだろうか。