ホンモノの思考力 ―口ぐせで鍛える論理の技術 (集英社新書)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087202007

感想・レビュー・書評

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  • 欧米人の思考と議論の骨格となっている雛形的な論法を、著者は二項対立思考、型思考、背伸び思考の3つと分析し、日本人には欠けがちなそれらを身につける方法が具体例を挙げて示されている。
    それらを理解し、対抗する術が多く示されている。明快で実践的な内容。個人的には、日本は欧米ではない、日本には日本の議論があるという部分を、あと一歩掘り下げた内容を読みたかったが、内容はとても濃いと思いました。

  • 樋口先生の「ホンモノの文章力」に続いて「ホンモノの思考力」に挑戦。

    OUTPUT にも書く話すございまして、どちらも鍛錬が必要なのは確かです。

    書く方はある程度見直しの時間もありますし、自分用のメモや日記からでも練習を始められるということで、私はどうしても話す方が敷居が高く感じられます。即興性があって考える時間が少ないですからね。弁の立つ人は本当に頭が切れるなと。ただ、おしゃべりな友人は話すのなんて毎日するけど気どった文章は書かん!ヘマをしても挽回できるけど、文章は証拠が残ってしまうじゃないか!ということで、人それぞれではあるのでしょう。

    「ホンモノの文章力」でも小論文上達の「型」を指導していたように、本書でも著者独自の方法論で、知的に見える話し方やするどい質問の仕方を伝授します。まずは思考法の「型」を身につけ、かっこつけて背伸びしてみましょう。「ホンモノの思考力」はきっとあとからついてきます。

    具体的な戦術は以下の通りです。
    ・身の回りの出来事にノーと言うことで、問題発見能力を養う。
    ・「メモの型」と「論述の型」を身につけ、口癖にしてしまう。
    ・他者の意見も「メモの型」と「論述の型」にあてはめ理解する。
    ・他者への質問は「メモの型」をベースにする。
    ・他者への反論は「メモの型」と「論述の型」両方が使える。
    ・だまされやすい論理トリックをのパターンを知り、見破る。

    例文もたくさん掲載されています。たしかに付け焼き刃ながら見事に「知的っぽく」なっているので、おお〜これは使える!とわくわくしてしまいました。著者の主張どおり、まずは「型」に当てはめ、徹底的に真似をする過程で自分の成長もついてくるはずです。ガイドの「型」が必要でなくなる頃には、きっと自由自在に弁を振るうことができるようになると信じましょう。

    その他にも、より個性的に見せる高等技術や、禁じ手で相手を言い負かす方法もまとめられています。ぜひ一読をお勧めいたします。

  • 具体例や練習問題もついていて非常に分かりやすくなっている一冊。
    いわゆる思考の型というのが分かりやすく解説されている。

    ただ、もう少し厚い内容であると良かったと思う。

  • 人は話し方や文章力で知性がある様にもそうで無い様にも見える。会社の会議や相談、報告を受ける際にも話し方一つで相手がどれほど深く考え頭を整理できているかは解る。私もこうしてレビューを文字にする事がよくあるが、眠かったり時間がない中で無理やり書こうとすると、翌日読んだ際に、何て判りづらく稚拙な文書だと気付く事が多い。まあ、それもそれ、直後の率直な考えだからと適当な言い訳をつけて面倒も重なって、後から訂正しようとは思わない。
    本書は頭がよく見える話し方や物事の考え方をテクニックを身につける事で磨いていこうという主旨のもとに書かれている。良くある大量にテクニックを詰め込んだロジカルシンキングの技術書よりも新書というページ数が限られている事もありピンポイントに絞り込んでいて、実践まですぐに持っていける。特に考え方を身につける際に口癖にしてしまうという点は納得できる。そういえば私の周りにもその様な口癖の人が多いが、何年か前までは会社が定期的にロジカルシンキングの研修を受けさせていたせいだろうか。
    特に途中に差し込まれている例題を進めていく事でより実践的な使い方を文章の中で学べるのは、まるで国語の授業を受けている様で面白い。私は国語の授業は好きだったが、ただ古典的な文学を読ませて感想を求めるだけの授業より、筆者の様な先生から、話し方・考え方のテクニックを学ぶ様な授業であれば退屈しなかっただろう。
    社会の中で実践していくにはディベート能力を身につける必要があり、周囲と沢山議論をすべきと説く。その通りだと思う。会社の会議でも人の書いた文章のレビューでも、どれ程その様な経験を積んだかがものを言う。てにをはレベルのミスがある様な文章をレビューするのは正直頭が痛くなるが、会議で優れた発言をしたり納得感溢れるプレゼンなどはやはり文章力で決まってくる。勿論、ジェスチャーや抑揚などが上手いというのもあるが、ベースとなっているロジカルな組み立て方が必須だ。そして何より、幅広い知識で類似比較や時間的な比較が十分に為されていて、質問しても直ぐに応答が返ってくる。
    その様な人は大凡、上司や役員に多いと思うが、勿論単に権力でゴリ押しするのでは無く、そもそも知識が深い所に強さがある。中には高役職者で間違いだらけの文章の人も居るには居るが。
    本書で唯一残念に感じたのは、広く受け容れる姿勢の重要性を解きながら、「バカに見える人」の件においては、表現や見方が断定的で、筆者がそうした人々を蔑んでいる様な記述が目立つ事だ。最後に筆者も自分も中々できていなかった過去を認めているが、過去に何か相当嫌な思いでもしたのだろうか。
    その点を除けば全体としてはコンパクトに纏まっていて、時間のない現代人向きといった感じだ。

  • わかりやすく読みやすい文章。
    読むだけで論理的になるような気分にさせる。

  • メルカリ売却

  • 予備校の有名な講師だから、思考力の内容については高校生向けに感じた。

  • 当たり前のことしか書いてなかった。

  • 同じ著者の「ホンモノの文章力」を買うつもりで間違ってしまった。

  • ○日本人のように、自他のくべつを曖昧にして、他人を思いやったり、他人の世界に入り込んだりしない。そして、多様な価値観を認められるようになる。
    ○「理由は三つある」「○○の面からすると賛成だが、△△の面からすると反対だ」などの「型」があって、それにあてはめて話をしているにすぎないのだ。
    ○二項対立思考と型思考と背伸び思考という欧米人の思考法をとりあえずまねて、人前で「知的に見せる」ことだ。もっとはっきり言えば、知的に見えるように振舞う。
    ○他者に評価され、「あの人は知的だ」「あの人は思考力がある」と思われるようになってこそ、本当に知的になり、思考力がつく。
    ○人が当たり前と思っていること、何も気づかずに通り過ぎるようなこと、もう慣れ切ったために誰も不思議に思わなくなっていることにも、実は、おかしなことがたくさんある。
    ○「メモの型」を使って考えをまとめる。3WHAT3W1Hで考える。3WHAT「それは何か(定義)」「何が起こっているか(現象)」「何がその結果起こったか(結果)」。3W「WHY、なぜそれが起こっているのか、それがなぜ好ましくないのか、あるいは好ましいか(理由・根拠)」「WHEN、いつからそうなのか、それ以前はどうだったのか(歴史的状況)」「WHERE、どこでそうなのか、ほかの場所はどうなのか(地理的状況)」H「HOW、どうやればいいのか(対策)」
    ○まず先にずばりと、「理由は三つある」と言っておくわけだ。
    ○思考するためには、対象との距離をある程度とる必要がある。距離を無くして、密着してしまったのでは、考えることができない。
    ○他人の意見を正確に理解することが不可欠だ。それが理解力=思考力を人に示す第一歩といえる。
    ○初めに何を語るかを明確にし、反対意見を考慮しながら自分の意見を語り、自分の主張の根拠を説明して、最後に、もう一度まとめるという形をとる。
    ○質問の形
    *おっしゃっている・・・とは・・・という意味と考えていいのですか。
    *今、・・・ということが起こっていますが、おっしゃったのは、そのような
    ことでしょうか。
    ・ *・・というような動きがあります(ありました)が、それをどう考えますか。
    *それには、どのような対策があるのでしょうか。
    *つまり、・・・という考えに反対なさっているわけでしょうか。
    *先ほどいわれたことには、どのような根拠があるのでしょうか。
    *ご発言の趣旨は、・・・ということですか。
    *直接には関係ありませんが、・・・について、どうお考えですか。
    *普段言われていることと、どう関係するのですか。
    ○先ずは反論するつもりで考えること。そのように批判的に考えてこそ、建設的な考えになる。
    ○「反論の型」を使う場合の注意点
    *発言者の主たる主張に反論する。
    *「確かに」を上手に使う。
    *対立軸を見極めて反論する。
    ○反論する以前に、できるだけ多くの自分の得意分野を作っておく。
    ○自分の体験をそもそもの始まりから詳細に物語る人はバカに見える。
    ○知性があるということは、多様な価値観を認めるということだ。どのような価値観で行動したのか、その人にどのような言い分があるのかを考慮したのちに判断してこそ、ホンモノの思考になる。それを考慮せず、自分の見方だけで判断するのでは、知性のある態度とは言えない。

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著者プロフィール

樋口 裕一(ヒグチ ユウイチ)
作家、小論文専門塾「白藍塾」塾長、多摩大学名誉教授
作家、小論文専門塾「白藍塾」主宰、多摩大学名誉教授
1951年大分県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。多摩大学名誉教授。小学生から社会人までを対象にした通信添削による作文・小論文の専門塾「白藍塾」塾長。
著書に250万部のベストセラーになった『頭がいい人、悪い人の話し方』(PHP新書)のほか、『小論文これだけ!』(東洋経済新報社)、『読むだけ小論文』(学研)、『ぶっつけ小論文』(文英堂)、『ホンモノの文章力』(集英社新書)、『人の心を動かす文章術』(草思社)、『音楽で人は輝く』(集英社新書)、『65歳 何もしない勇気』(幻冬舎)など多数。

「2022年 『小論文これだけ! 人文・文化・思想・芸術・歴史 深掘り編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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