乱世を生きる ―市場原理は嘘かもしれない (集英社新書)

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  • 集英社
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レビュー : 43
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087203189

感想・レビュー・書評

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  • 167

  • 「我慢とは現実に抗する力」

  • [ 内容 ]
    従うべき理論がなくなって、どう生きて行けばいいか分からなくなった日本人は、「勝ったか、負けたか」の結果で判断するしかなくなった―本書は、こんな “腑に落ちる”話から始まります。
    そして、「生きることが幸福でありたいという感情。
    これこそが経済という人間行為の本質ではなかろうか」と、一筋の光明に向かって、力強く語り始めます。
    乱世の時代に対する、著者からの「解」がぎっしり詰まってます。

    [ 目次 ]
    第1章 乱世と勝ち組(「勝ち組・負け組」の原理 「乱世」を考える)
    第2章 たった一つの価値観に抗する(隠されたトリック 「勝ち組」という基準を持ち出した人達 ほか)
    第3章 悲しき経済(経済とはなにか 誰かが考えてくれる経済 ほか)
    第4章 どう生きてったらいいんだろう?(なんにも出来ない構造 どう生きてったらいいんだろう? ほか)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 実際に読んでみると、掴み所のない本だった。

    何しろ、著者自身がまともな構想もないままに
    書き始め、思いのままにわずか2週間で書き上げてしまった本なのだ。

    しかも、著者は東大の文学部卒のバリバリの文型人間。
    著書は何度も大学の入試問題に出題されてたりする。
    そんな人が『勝ち組負け組』を論じるから、
    全く一筋縄ではいかない。
    一つ一つの文章は平易なんだけど、
    結論ありきでなく、著者自身が考えながら書いているような文章なので、
    話は二転三転し、結局この人はどういう立場で何を一番言いたかったのか
    と言うのがよくわからなかった。

    とはいえ、『わからない』を連発するには、
    経済の本質的な部分をよく洞察しているし、
    全く数字を使わない(使えなかったのかもしれないが)説明の割には、
    説得力もあった。
    経済とは何か。今の経済を動かしているのは何か。
    恐らく、この人のようなアプローチは他にはあるまい。

  • (☆交換可能:新品同様)「市場原理主義は嘘」にもう少し突っ込んで欲しかったです。

  • バブル後の閉塞感。そこに追い討ちをかけるサブプライムローンから始まった最近の不況。大きなお金が流れる市場は、普段の生活には関係なくても、じわりじわりと生活を覆う。経済とは一体なんなのか?橋本治は経済を思考する。

    どこまでも経済成長を続ける。それはバブルの終焉でもう終わった。にもかかわらず人々は、「景気が良くならないかな〜」と昔と同じような話を蒸し返す。この本が説くのは、昭和の高度成長気的な考えで今を乗り切ろうとしても無駄だ、ということだ。経済成長が見込めない今、日本人はどうすればいいのだろう?ということになるのだけれど、結論は「我慢する」ということに落ち着く。つまり、バブルの反省もないまま、同じように考えても時代が変化しているので対応できない。バブルがはじけることが間違っているのなら、その前に戻って違う方法で経済を考えないと、何も変わらない。つまり、高度成長をする前の「我慢」をもう一度手元に引き戻すことが大切じゃないか、と。

    結局「我慢」することに至るのって、僕の場合、仏教の本なんかにある「足るを知る」って思想といっしょだったので、あまり驚かなかった。けど、身の丈にあった生活を送る、そう考えるだけで豊かな時間が取り戻せるだろうし、そんなことをこれっぽっちも考えたことがない人なら一度読んでみる価値はあると思う。

  • 桃尻語訳の人ってゆうイメージが強かったけど、

    意外とマルチな知識人やったんやね。

    賢い人です。

  • じゃあ、真実は何なの?

    それを考える道しるべとして、この本を活かしてみるのもいいかも。

  • 【2008/01/04】
     現代経済の現状認識を行うきわめて"マトモ"な本。”当たり前”を疑い、考察してハッとする認識を導き出す。坂口安吾のようだというのが率直な感想。ただし彼のようにビシッと突くことはせずに、巧みな文章でかき回す。

    勝ち組、負け組の二項分類という1つの価値観に凝り固まった社会にはその危うさを説き、誰かがなんとかしてくれるという甘えた人々には「国の主権はあなたたちでしょう」とまっとうな指摘をする。そして欲望が経済を動かすのではなく、欲望はもはや世界に動かされているというところに辿り着く。著者の慧眼と先見の明に感服した。

    ・20世紀とは、「有効な理論」が存在しなくなった時代である。
    ・勝ち組、負け組という二分法を必要とするのは、投資家である。
    ・エコノミストは思想家である。
    ・独裁者は、システム破綻時に現れる。
    ・日常の生活のあり方が、家族単位から個人単位に変化している。
    ・欲望という名のフロンティアは無限である。
    ・現状に抗する力である我慢が必要。
    ・何も言わず責任をしょい込むオヤジかっこいい。

  • 橋本治は頭が良い。論理的に攻めてくる。経済の原理の説明としてチョコレートの話を挙げてた所とか面白かった。新しい考え方の視点をくれた一冊。

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著者プロフィール

橋本治
1948年3月25日 - 2019年1月29日
東京生まれの作家。東京大学文学部国文学科卒業。イラストレーターを経て、1977年に小説『桃尻娘』を発表、以後文筆業を中心とする。同作は第29回小説現代新人賞佳作となり、映画・ドラマ化もされた。1996年『宗教なんかこわくない!』にて第9回新潮学芸賞、2002年『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』にて第1回小林秀雄賞、2005年『蝶のゆくえ』にて第18回柴田錬三郎賞、2008年『双調 平家物語』にて第62回毎日出版文化賞、2018年『草薙の剣』で第71回野間文芸賞をそれぞれ受賞。
編み物にも通じており、1989年『男の編み物(ニット)、橋本治の手トリ足トリ』を刊行。自身の編んだセーターを着てCMに出演したこともあり、オールラウンドに活躍を続けた。

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