乱世を生きる ―市場原理は嘘かもしれない (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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レビュー : 43
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087203189

感想・レビュー・書評

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  •  経済は経国済民を語源とする。

     つまり、"世の中を治め、人民を救うことを意味する"言葉をECONOMICの訳語としたのだから、国が介在するという前提がある。だからこその護送船団方式であり、日本株式会社なのだ。

     そうすると内閣総理大臣は社長となり、外交先で日本国製品を売り込むと言う行為は「社長が現場に顔を出す」という見っとも無い(と現場が思う)ことになってしまう。故に日本は貿易外交に弱いのだ。


      本著はこのように「論理を逆転」させ、当たり前を考える。
     テーマは「どう生きていけばいいか判らなくなった」。

     判らなくなったから、「勝ち組」と「負け組」に二分化させて単純化させようとする。
     しかし、安易な階層化にみえるその区分も語源の通り、既に負けているという前提があり、それを認識しなくて良い者と直面しているモノに分かれているのではないだろうか。

     何に負けたのか? グローバリズムや金融ビッグバンといった経済戦争にだ。

     誰が負けたのか? 日本経済だ。

     勝ちという判定は何時覆るか判らない。
     それでも「勝ち」と判定されるのは「勝ち組」が日本経済(負け側)から脱却しているからだ。

     これを読んで三部作の第一部「わからない方法」の真意がつかめた気がする。

  • もっと早くに読んでいればよかったと後悔した本。
    流石は橋本治、現代の経済社会を解りやすく解説。特に室町幕府末期の状況と現代を重ねるあたりが、非常に納得。

    また冒頭で、勝ち組・負け組の流行における、プロセスを紹介。勝ち組・負け組とは、単なる意識の変化にとどまらず、表現の平等性を揺るがす危険な社会の側面をあらわすという意見は慧眼!

    2005年に書かれたものとは思えないくらい、小泉改革に対する冷静な分析も非常に鋭いところを突いている。
    今後の中国経済におけるバブルとバブル崩壊の予想も、あたりそうで怖い。
    もしかして・・・。
    経済学初心者には、かなりオススメです。

  • バブル後の閉塞感。そこに追い討ちをかけるサブプライムローンから始まった最近の不況。大きなお金が流れる市場は、普段の生活には関係なくても、じわりじわりと生活を覆う。経済とは一体なんなのか?橋本治は経済を思考する。

    どこまでも経済成長を続ける。それはバブルの終焉でもう終わった。にもかかわらず人々は、「景気が良くならないかな〜」と昔と同じような話を蒸し返す。この本が説くのは、昭和の高度成長気的な考えで今を乗り切ろうとしても無駄だ、ということだ。経済成長が見込めない今、日本人はどうすればいいのだろう?ということになるのだけれど、結論は「我慢する」ということに落ち着く。つまり、バブルの反省もないまま、同じように考えても時代が変化しているので対応できない。バブルがはじけることが間違っているのなら、その前に戻って違う方法で経済を考えないと、何も変わらない。つまり、高度成長をする前の「我慢」をもう一度手元に引き戻すことが大切じゃないか、と。

    結局「我慢」することに至るのって、僕の場合、仏教の本なんかにある「足るを知る」って思想といっしょだったので、あまり驚かなかった。けど、身の丈にあった生活を送る、そう考えるだけで豊かな時間が取り戻せるだろうし、そんなことをこれっぽっちも考えたことがない人なら一度読んでみる価値はあると思う。

  • 橋本治は頭が良い。論理的に攻めてくる。経済の原理の説明としてチョコレートの話を挙げてた所とか面白かった。新しい考え方の視点をくれた一冊。

  • 経済とはただ循環することである。「ふふふ…」という感情が回ること、それが経済の中核。…というハナシから「弁証法だぜ人生は」と続く。

著者プロフィール

橋本治
1948年3月25日 - 2019年1月29日
東京生まれの作家。東京大学文学部国文学科卒業。イラストレーターを経て、1977年に小説『桃尻娘』を発表、以後文筆業を中心とする。同作は第29回小説現代新人賞佳作となり、映画・ドラマ化もされた。1996年『宗教なんかこわくない!』にて第9回新潮学芸賞、2002年『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』にて第1回小林秀雄賞、2005年『蝶のゆくえ』にて第18回柴田錬三郎賞、2008年『双調 平家物語』にて第62回毎日出版文化賞、2018年『草薙の剣』で第71回野間文芸賞をそれぞれ受賞。
編み物にも通じており、1989年『男の編み物(ニット)、橋本治の手トリ足トリ』を刊行。自身の編んだセーターを着てCMに出演したこともあり、オールラウンドに活躍を続けた。

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