必笑小咄のテクニック (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087203233

感想・レビュー・書評

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  • 最後に出てくる、田丸久美子さんとの対談ネタが傑作。

    P150
    コンサルタントとは、あなたの時計を見て、あなたに時間を教えてくれる人たちのことである。
    プログラマーとは、あなたが知りもしない問題を、あなたが理解できない方法で解決する人たちのことである。

  •  ジョークの面白さを分析しようという、ある意味で無粋な本です。ジョークが面白い理由を抽出しています。この本には、その分析を踏まえて読者自身がオチを考える応用問題というのがあって、これがまた頭の体操になって面白いのです。

     ジョークがあれば、一触即発の場を和ませることもできるし、悲しみや怒りを転換することもできます。なにかと苛立つ人の多い昨今(いつでも多いのかもしれませんが)、その意味で、こういう本は多くの人に読まれてほしいと思います。

     また、この本は現代社会への警鐘でもあります。ジョークだからこそ笑い話になるような奇妙な論理が、じつは政治や経済においても用いられ、批判の声が高まらないまままかり通ってしまうことがあるということです。他の著書でも見られるような小泉政権への批判が本書でも見られますが、それは小泉政権だけの話ではありません。そういう点からも、いま米原万里さんの警鐘に耳を傾けてみるのもよいと思います。

     ただ、まずはなんといってもジョーク。たった一行で場面を一転させるような劇的なジョークを、ぜひ考えてみてください。それがけっこう難しくて、読み進めるのにも時間がかかったのです……。

  • 制作の勉強に。

    笑いについて、方法論的に整理して考えることの必要性は感じていた。

    ・予想していた展開と実際のオチとの落差が、笑いになる。
    (そこを大きくする努力をしないと笑えない)

    →落とすために、先に持ち上げておく。

    →動物、子どもなどの存在が、急に理性的なことを言い出す。

    →弱者、被害者など反撃すると思われない者が反撃する。


    ・異なる論理と視点が出会うことによって、落差は生まれる。
    (もとの論理を、相対化、転覆させる)


    ・ギャグは逆
    その論理が想定している対象を正反対のものに転化することで論理をハイジャックする。

    ・観念的、理想的な人vs現実的な人

    ・木を見せてから森を見せる(ミスリード)

    ・人間の生死など大げさなことを矮小化する
     どうでもいいことを誇張する

    ・危機的状況を設定する
     些末なことを生死より上に置く

    ・言わないで、想像させる

    ・失われたものの回復、の失敗
     

  • 第38回アワヒニビブリオバトル「笑」出張@もりのみやキューズモールで発表された本です。
    2018.05.23

  • 「米原万里」が世間全般の笑いの法則を追究・分類し、豊富な例をあげて解説した『必笑小咄のテクニック』を読みました。

    「米原万里」作品は3年以上前に読んだエッセイ(ノンフィクション?)『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』以来ですね。

    -----story-------------
    <集英社新書創刊15周年フェア>
    ちょっと毒があるけれども、心優しきユーモアが満載。
    天国から「米原万里」さんの声が聞こえてくる。――「佐藤優」

    この一冊でユーモアとジョークの達人に。
    笑いの法則をついに発見!

    短くて人を笑わせる話―単にネタを暗記するのではなく、笑いの構造を理解すれば、臨機応変・自由自在に小咄を創り出せる。

    本書では、日本人離れしたユーモアセンスの持ち主である著者が、世間に流布する笑いの法則を突き止めて分類し、自作も含めて豊富な例をあげながら、笑いの本質に迫る。
    詐欺にも似た、相手を錯覚させる方法、同じ内容の順番を変えるだけで悲劇が喜劇になる方法、マクロとミクロを反転させる方法など、思いがけないオチをつけるテクニックをマスターして、窮地に立ったときこそ、周囲に笑いを呼び込もう!
    -----------------------

    秀逸なジョーク(必笑小咄)がパターン毎に分析しながら紹介されています。

     ■第一章 詐欺の手口
     ■第二章 悲劇喜劇も紙一重
     ■第三章 動物と子どもには勝てない
     ■第四章 お株を奪って反撃
     ■第五章 木を見せてから森を見せる
     ■第六章 神様は三がお好き
     ■第七章 誇張と矮小化
     ■第八章 絶体絶命の効用
     ■第九章 言わぬが花
     ■第十章 悪魔は細部に宿る
     ■第十一章 権威は笑いの放牧場
     ■第十二章 耳を傾けさせてこその小咄
     ■あとがき

    政治家を扱ったネタが多く、特に「小泉純一郎」を扱ったネタが印象的でした、、、

    "必笑小咄"ではなく、"必笑小泉"って感じ… 政治家批判の鋭い舌鋒には脱帽です。

    私には笑いの才能がないのか、各章最後の応用編での演習問題は、ほとんど解けませんでしたが、ウイットに富んだ会話をしようと思ったら、身に付けておきたい知識やスキルなんでしょうね。

    『第五章 木を見せてから森を見せる』のミクロとマクロを巧く使い分けるテクニックは印象に残りました… 頭の体操になりました。

  • 他のエッセイとはまた別の、エッセイをいかに面白くするかについて、参考になるであろう。

  • 「薔薇の名前」で知ったアリストテレス「詩学」の第二部が現代に伝わっていたら、この本のような内容だったのではないかと思わせてくれる。小噺を通じて「笑い」が生じる普遍的な構造を探究した本。各章の最後に例題があって楽しめた。


    著者の相変わらずの教養の深さテーマと読者への誠実な姿勢。本当の意味で真面目な人だなと感じた。闘病中に書かれた本だと知ってさらに尊敬。

    以下、印象に残った文:
    物語の最も基本的な構造が、「失われたものの回復」あるいは「その代償」だとしたら、小噺の基本的な構造は「失われたものの回復の失敗」あるいは、予定されていた回復の処方箋の(代償)が無効であることの言い渡しである。

    「小泉首相とスターリンはトートロジーという論理のマジックを駆使する類い稀な才能がある」とのコメント。
    これを15年も前に言っていたのは慧眼。息子にこの才能が引き継がれ、SNSでネタにされている。

  • 再・・・読。笑い転げたい、だけど少しお利口になりたい、そんな夜のお伴に最適。

  • 笑いの構造を分析して、必ず笑える小咄を創作できるテクニックを教える本。

    先行き不透明で不安が高まる今だからこそ、ユーモアを忘れないようにしたいですよね。本書は小咄の創作テクニックを通してユーモアを身につけるために必要なことを伝えています。

    ユーモアある話ができるようになりたい方は、本書を読むことをオススメします。

  • 最高、疾走感ある、ちょいちょい政権批判を挟んでくるのも御愛敬

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。作家。在プラハ・ソビエト学校で学ぶ。東京外国語大学卒、東京大学大学院露語露文学専攻修士課程修了。ロシア語会議通訳、ロシア語通訳協会会長として活躍。『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(角川文庫)ほか著書多数。2006年5月、逝去。

「2016年 『米原万里ベストエッセイII』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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