- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087203257
作品紹介・あらすじ
十九世紀ロシアを代表する作家ドストエフスキー。二十一世紀の今日なお読者を魅了してやまない作品の現代性の秘密はどこにあるのか…。長編小説の名手、作家加賀乙彦が『死の家の記録』『罪と罰』『白痴』『悪霊』『カラマーゾフの兄弟』の五作品をテキストに、小説の構造、伏線の張り方、人物の造型法などを読み解く。小説に仕掛けられた謎や隠された構造を明らかにするとともに、ドストエフスキーの宗教的な主題に光を当てた画期的な作家論、作品論である。
感想・レビュー・書評
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著者は元精神科医の作家。『死の家の記録』『罪と罰』『白痴』『悪霊』『カラマーゾフの兄弟』のそれぞれについて解説をされている。カルチャーセンターでの講義が元になっているのもあり、概略的ではあるが、話し言葉で読みやすい。日本でのドストエフスキー論というと、亜流フロイトな議論が支配的だけれども、本書はカトリック作家である著者ならではのキリスト教的視点が盛り込まれているところに好感が持てる。
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【由来】
・大学の図書館で目についた。ドストエフスキーの「罪と罰』読了後すぐだったし、お久しぶりの加賀乙彦だったので。
【期待したもの】
・インパクトはあったけど、全く読み解けない「罪と罰」のヒントがあるかも。
【要約】
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【ノート】
・ドストエフスキーの小説を複数取り上げてるので「罪と罰」だけではない。しかも雑多な印象を散文的に話してるだけという感じ。自分には得るところがなかった。
【目次】
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精神科医で小説家の加賀乙彦が、ドストエフスキーの『死の家の記録』『罪と罰』『白痴』『悪霊』『カラマーゾフの兄弟』の魅力を解き明かした本です。
著者はすでに『ドストエフスキイ』(中公新書)という本を刊行していますが、本書は朝日カルチャーセンターでおこなわれた講義に基づいており、非常に読みやすくなっています。タイトルが示すように、小説家としての観点から「小説の構造、伏線の張り方、人物の造型法、ストーリーとプロットの関係など、創作の技法や文体の特徴に力点を置いて話した」と述べられているように、ただ漫然とドストエフスキーの作品を読んでいただけでは考えないような内容が語られていて、興味深く読みました。 -
「死の家の記録」「罪と罰」「白痴」「悪霊」「カラマーゾフの兄弟」の5作品について論評している。2003年にあるカルチャー・センターで行われた講義を起こしたもの。小説の創作法。
最初は頭から読み始めたが、読んでいない本の解説を読んでもまるでビンとこないので、今までに読んだ「罪と罰」と「カラマーゾフの兄弟」の章だけ読んだ。それでも他の作品の引用がかなり出てきて、それぞれ読んでからこの本に取っ付けば良かったと思った。カルチャー・センターの講座での講義をまとめたものだそうだが、そこの生徒さんたちはわかっただろうか。「文学を志すならば、ドストエフスキーを読みたまえ」と言うが、初めてこの講義を聞く人にはちょっとわかりにくいのではないだろうか。
一度読んだ「罪と罰」と「カラマーゾフの兄弟」についてはなかなか面白かった。ぜひ他の作品も読んでみたい。 -
『罪と罰』の部分だけ読んだ。「小説家の目から見て、どこが面白いのか」を、息抜きに書いたような感じ。軽く「ああそうそう」とか、「へーそうなんだ」と読める解説書だった。
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そもそも解釈本がなければ、日本人がドストエフスキーの思想を理解することはできないと私は思っている。
その点、この本を読んで理解できた点が少なからずあったので嬉しいものだった。独自性が強いが客観的ではあるので、読んでいて苦にはならないし、何より文体が堅苦しくなく読みやすかった。少しでもドストエフスキーについて興味があれば一読の価値はあると思います。 -
どうしても、
ドストエフスキーにこだわってしまう私。
初めて長編の外国文学を読み切れたからかな。
好きだった人が絶賛してたからかな。
さて、どっちでしょう。
この本はタイトルに似合わず、話し言葉で書いてあって読みやすかった。
って言っても、
「罪と罰」のとこと「カラマーゾフの兄弟」のとこしか読まなかったけど。
カラマーゾフは宗教小説…。
ガチガチのキリスト教に疑問を抱くドストエフスキー…。
宗教のための人間から
人間のための宗教へ
という言葉を思い出した。
それはキリスト教だけじゃなく、人間が組織をつくるところ、どこでも起こり得る現象だよね。
それは教義の善し悪しに関係ない。
教義が優れていたら、素晴らしい集合体が作れるのか?
っていったら、ねぇ。
それから、毎日裁判所に通いつめ、人間模様を観察し続けたドストエフスキー…。
どんな気持ちで裁判に関係する"ちょっと極端な人々"と出会っていたんだろう??
と想いをはせる。
そんなことを考えてみた。 -
[ 内容 ]
十九世紀ロシアを代表する作家ドストエフスキー。
二十一世紀の今日なお読者を魅了してやまない作品の現代性の秘密はどこにあるのか…。長編小説の名手、作家加賀乙彦が『死の家の記録』『罪と罰』『白痴』『悪霊』『カラマーゾフの兄弟』の五作品をテキストに、小説の構造、伏線の張り方、人物の造型法などを読み解く。
小説に仕掛けられた謎や隠された構造を明らかにするとともに、ドストエフスキーの宗教的な主題に光を当てた画期的な作家論、作品論である。
[ 目次 ]
1 『死の家の記録』(ドストエフスキーの読書の思い出 監獄の囚人の心理 ほか)
2 『再と罰』(ラスコーリニコフとは何者か 殺人を見る神の視野 ほか)
3 『白痴』(『白痴』は傑作である ムイシュキンの病気 ほか)
4 『悪霊』(バルザックとドストエフスキー 特異な人物群 ほか)
5 『カラマーゾフの兄弟』(『戦争と平和』と『カラマーゾフの兄弟』 カラマーゾフ家の人々の特異性 ほか)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
作家の加賀乙彦が『死の家の記録』『罪と罰』『白痴』『悪霊』『カラマーゾフの兄弟』の五作品を解説。カルチャースクールの講義を書き起こしたものなので話し口調で読みやすい。外国人が源氏物語を読んでも、「もののあわれ」が解らないように、日本人がドストエフスキーを読んでも、その宗教的な主題は理解しえない(敬虔なクリスチャンでもない限り)ということが分かる。