- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087203301
感想・レビュー・書評
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新鮮な知はないが、燻された知がここにはあるらしい。だけど、正直なところ、僕にはよく分からない。
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むぬぅ。わかったようなわからなかったような。
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恥ずかしながら政治学というものにあまり目を向けたことがなかった。「政治」にしろ「政治学」にしろ「政治思想」にしろ大変新鮮なものとして受け止められた。この本に上げられていた著書くらいには目を通し、少しは教養を身につけようと言う気になった。しかし、政治学という学問はモデルとしてやたらに変数が多く物事を単純化することが難しくよほど強靭な頭脳を持っているかカンがするどいかでなければ、すぐ話がこんがらがってしまう。その変数の中にはもちろん人間の感情も含まれているのでなおさら厄介だ。しかし、今日政治学の遡上に上っている諸問題には真っ正面から取り組んでおかないといずれ何らかの形でツケがまわってくるのだろう。これから日本人もいろんな意味で大人にならんといかんだろうな。(私もその一人ですが。)
**アメリカ
やはりアメリカの成り立ちや思想のながれはおさえておくべきだなと。
**暴力
経済学では全てが金だが、政治学では暴力は強力なファクターとなりうるのか。
**主権
やはりホッブズくらい読んどかんと。
**憲法
権力を縛り政府の行動を制限するために憲法がつくられるんだということは、遅ればせながら近年知った。その憲法に国民の義務も入れようという議論はやはりおかしいということはもっと世の中で語られなければならないことだ。
**戦後民主主義
著者は、戦後のいわゆる天皇の人間宣言にかなり戦略的意味を認めているようだ。だとしたら戦前も戦後もだれかがずっとハンドルを握っていたのかなどと勘ぐりたくなる。
**歴史認識
日本人は特に歴史に無頓着だと思う。現状に満足するあまりボタンのかけ違えに気がつかないでいるとこの先かなりヤバい気がする。
**東北アジア
日本が置かれた立場をよく理解しておく必要はある。ただ東北アジアというくくりになった場合には我が国はかなり厳しい立場になるのではないかな。あまり将来は明るくないような…。 -
「アメリカ」「暴力」「主権」「憲法」「戦後民主主義」「歴史認識」「東北アジア」の7つのキーワードから、現代日本の政治と社会を読みとく。
ものすごく乱暴に行ってしまえば、日本はローカル化するアメリカとの関係を希薄にさせ、多極共存の世界を構築し、そのためにアジア諸国との連携を深めなければならない。そのためには、歴史問題について真摯に向き合い、矛盾を解決していく必要がある、とまとめられるだろうか。
正直いって、大きな話なのでそれがいいのかどうかもよくわからない。僕はまだ「学知」のレベルか、あるいは「地域」のレベルでしか歴史を語ることができないから。(まあ色んなことを適当に言うことはできるけど。)ただひとつ思うのは、他のアジア諸国が、アジアをひとつの「極」とする方向性にどのような態度を取るべきなのか、ということがいまいちよくわからなかった。筆者が、日本はこうすべきだということを言っているのはわかった。けれど、韓国も、中国も、そして北朝鮮も(そのほかのアジア諸国も含まれるのかもしれない)、ひとつの「極」となるために「歴史問題について真摯な向き合う」ことが求められているが、それは果たして可能なのか―各国は可能な状況にあるのか(韓国については触れられているが)。そのへんが、筆者の構想の実現可能性と大きくかかわってくるとは思うのだけど、よくわからなかったかな。というのが一読した感想だった。 -
「入門」という文句に引っかかりを覚えながらも購入。結果的には結構の当たり、かな。「アメリカ」「暴力」「主権」「憲法」「戦後民主主義」「歴史認識」「東北アジア」の7つのキーワードから現代世界を政治学的に斬るという内容。
メディア露出の多さから敬遠してしまう人も多い姜尚中だけど、この本を読むと彼の考え方が学問と感性の二つ(彼に言わせると「干物」と「生もの」)のバランスのうえに成り立っていることがよく分かる。
前提的な知識を必要とせずに現代世界を概観するには良い本。特に「東北アジア」の項は、流石に熱い。