- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087203493
作品紹介・あらすじ
長く特派員としてアメリカ社会の変容を見つめてきた著者が、「社会の座標軸がズズッと右にずれたような変化」を感じ始めたのは一九九〇年代半ば。アメリカ国内で繰り返される不可解なテロ、中絶や同性愛をめぐる深刻な軋轢、信仰の熱心さが生み出す分極化-文化の多様性を拒む何かが、地下からはっきりと姿を現していた。現地での取材、インタビューを積み重ね、著者は、その源流が清教徒による建国思想、過激な反連邦政府意識、白人優越主義などに端を発する、「アメリカ原理主義」ともいうべき宗教右派の動きに結びついていくのを知る。
感想・レビュー・書評
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景気が最高潮だったときに大統領がホワイトハウスで女の子とやましいことをして国民の信頼と失い、その反動から米国民に新大陸アメリカに渡った清教徒と建国の父の精神を呼び起こさせ、宗教右派と新保守主義者を奮い立たせたというあたりが、民主党に失望して自民党支配に戻った昨今の日本の動きに似ている。でも超大国であるだけに、選民思想と妙な使命感で自己基準の世界秩序を押し付けてくると、多くの非白人国家や、非キリスト教国家にとっては相当な迷惑。おそらく現オバマ政権では、またずいぶんと違った国民感情がうごめいているんだろうな。
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日本人には馴染みの薄い、アメリカの宗教右派の実態を描いた本作。最近の大統領選で、政治や経済よりも同性結婚や中絶等の事柄に焦点が当てられる奇妙な傾向を、著者は宗教右派の存在に結び付けて考える。少々内容は古いが、アメリカではこれからしばらく宗教右派の動きが活発であり続けると予想されるので、知っていて損はない。内容がとても客観的に書かれていて良かった。
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日本人の感覚では理解の難しいアメリカの政治意識を説いていく。なぜ中絶、同性愛が政治と絡んでくるのか。日本での報道だけでは「古い考えの少数派がアメリカにはまだいる」と感じていた部分の真実が少しわかった気がした。
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[ 内容 ]
長く特派員としてアメリカ社会の変容を見つめてきた著者が、「社会の座標軸がズズッと右にずれたような変化」を感じ始めたのは一九九〇年代半ば。
アメリカ国内で繰り返される不可解なテロ、中絶や同性愛をめぐる深刻な軋轢、信仰の熱心さが生み出す分極化―文化の多様性を拒む何かが、地下からはっきりと姿を現していた。
現地での取材、インタビューを積み重ね、著者は、その源流が清教徒による建国思想、過激な反連邦政府意識、白人優越主義などに端を発する、「アメリカ原理主義」ともいうべき宗教右派の動きに結びついていくのを知る。
[ 目次 ]
第1章 極右の存在
第2章 争点の風景
第3章 宗教右派
第4章 転向―中絶をめぐって
第5章 同性結婚をめぐる争乱
第6章 カルチャー・ウォーズ
第7章 純潔と禁欲
第8章 よみがえる建国の父たち
第9章 テロの衝撃と使命
第10章 神への傾斜
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
(2008/11/18読了)
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読売新聞社の編集委員である著者がアメリカ駐在の9年間と911テロ後に感じた、「アメリカの座標軸がずずっと右寄りに動いた」ことについて述べている。
新聞社ということもあるのか、その取材力に驚く。アメリカでの宗教学第一人者である多くの教授や、宗教右派、教会関係者の話を取り混ぜており、情報の信頼性が伺える。
また宗教に関する知識が薄い日本人向けに、基本的なものから丁寧に解説されている。
ブッシュJrに対して、宗教上の視点から批判を行う多くの著者と違って、あくまで客観的に彼の立場を描く。むしろ彼の信仰はプロテスタントの主流派であって、宗教右派・原理主義者とは根本的な考え方が異なる、と別の意見を述べている所も好感。
主張に捉われ過ぎない冷静な著作に出遭う機会がほとんどないと感じるので、新鮮だった。 -
宗教との関係の薄い我々日本人には、理解しにくいアメリカでの宗教右派と政治の関係。
ある程度の客観性ではとらえることが可能でも、
やはりどこか理解しにくい面はぬぐえない。 -
原理主義というより宗教右派のことを書いた本。もっとラディカルな原理主義の話はないの?
河野博子の作品





