憲法九条を世界遺産に (集英社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087203530

作品紹介・あらすじ

実に、日本国憲法とは、一瞬の奇蹟であった。それは無邪気なまでに理想社会の具現を目指したアメリカ人と、敗戦からようやく立ち上がり二度と戦争を起こすまいと固く決意した日本人との、奇蹟の合作というべきものだったのだ。しかし今、日本国憲法、特に九条は次第にその輝きを奪われつつあるように見える。この奇蹟をいかにして遺すべきか、いかにして次世代に伝えていくべきか。お笑い芸人の意地にかけて、芸の中でそれを表現しようとする太田と、その方法論を歴史から引き出そうとする中沢の、稀に見る熱い対論。宮沢賢治を手がかりに交わされた二人の議論の行き着く先は…。

感想・レビュー・書評

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  • 憲法が、アメリカのインディアンの習俗と付き合った人によってできたと言ふのは、なんか、はー。
     憲法22条第2項 国籍離脱の自由は確かに、ネイションが普通って人の発想でないなとか。
     中沢先生は、憲法に関しては護憲の人っぽく見えない。

  • 人質の自己責任論、改憲の機運に、アホみたいな改憲草案(右も左も)、アメリカの影。
    前にも姜尚中の本を読み直して気づいたことだが、イシューの変化しなさに驚いた。ただ、日本人は立場の違いを越えて、ほとんどが冷静さを失っているように思う。

  • 爆笑問題 太田光と中沢新一の対談集である「憲法九条を世界遺産に」を読んだ。

    現在の日本国憲法は、世界遺産に指定されそうなぐらい珍しく貴重なものであるという点には同意します。

    憲法改正が現実問題として取りだたされる中、他の国々との比較で言えば当然、矛盾だらけの憲法第九条はより現実的な条文に変えられるんだと考える方が一般的だと思う。

    そんな中で、他に類がなく当時の状況から奇跡的に生まれた憲法九条を、世界の人から見た理想の一つとして、世界遺産にして残そうというのも確かに意味のあることなのかもしれない。

    国会でまともな議論がほとんど行われることのない日本で、期待できるとは思えないが、現憲法の現在における意味や価値も、もっと議論されてよいと思った。

    どうも政治ネタは書きにくいな。

    2007年1月12日 読了。

  • 難しく考えすぎてしまった典型だよな。物事はもっと単純だし、あまりにも九条と言うものを最初に神格化してしまってる。

  • 知識ばっか詰め込んだ2人の言葉遊びでお互いの言葉に酔ってほめ合っているだけの印象。

  • 日本国憲法第九条をいかにして遺すべきか、いかにして次世代に伝えていくべきかを語った対談本。

    憲法改正の議論で注目されるのは「憲法九条」のこと。理想論と現実論、どちらか一つに偏るのではなく様々な視点から憲法九条について考えることが重要です。

    そして、歴史を通して戦争とは何か、平和とは何かを改めて考える必要もあります。

  • 宮沢賢治は童話を書きつつも軍国主義者の思想に染まっていた。戦争を二度と起こさないぞという意思が結集して奇跡が起きた。これが日本国憲法だった。
    アメリカからも、実は憲法改正を求められている?
    軍を持つ覚悟はあるか?国民が殺されても覚悟は?
    時系列的に、網羅的にもっと憲法の歴史と考察が知りたいと思った。思想的な話が多かった。

  • 「日本国憲法は世界の珍品?」

    所蔵情報
    https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/search?rgtn=K26701

  • 繊細な作品を作ってきた宮沢賢治が、一時期アジア帝国主義的な思想に傾倒していたことを切り口に9条を語るなど、ユニークな視点を興味深く読んだ。爆笑問題の太田さんが今も同じ考えなのかどうか、というところは気にかかる。この本が出た12年前とは何かが変わっている気がする。

  • 武器を持てば須らく現実の諸問題が解決するとは「血塗られた悪魔」とも別の意味の「お花畑/能天気」ともいうべきだが、とはいえ、事実に依拠しない理想主義的言説も同様。個人的に、理想を唱えるのは改良・改善を漸進的にでも目指し、貴重だと考えている(トヨタのカイゼンだって同じ)。そういう意味で、憲9条に関し、「世界遺産」化は兎も角(世界遺産は過去の遺物感を醸し出し、理想を顕彰するノーベル平和賞の方がシックリくる)、理想顕彰を目指す本書のロジックには期待。が、本書の論の脈絡のなさ(話題を広げる意図ある太田は自覚的)。
    さらに、事実の提示が少で、少々残念。また、理想を珍品に準えたり、お笑いに塗しながら切って見せるのは、太田・中沢の立ち位置からしてやむを得ないと思いつつも、残念な点か。◆しかし、幕末期の武士道が揶揄の対象だった点を古典落語から引く点は、芸人太田の面目躍如であり、武士道といったタカ派的物言いが依拠するファクトの相対化に繋がるだろう。また、お笑いの持つ愛嬌が、肩を怒らせながら意見を対立させる言動の止揚に繋がるとの視座は◎。2006年刊。
    ◆PS.本筋とは全く関係ないが、小泉政権への厳しい批判者であった「爆笑問題」を小泉政権は文部大臣賞で顕彰したとのこと。為政者は批判されるべき存在である。ならば、小泉政権の懐の深さを誰かさんも持ち合わせてもらいたいものである。

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著者プロフィール

一九六五年埼玉県生まれ。八八年に田中裕二と「爆笑問題」を結成。二〇一〇年初めての小説『マボロシの鳥』を上梓。そのほかの著書に『違和感』『芸人人語』『笑って人類!』などがある。

「2023年 『文明の子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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