米原万里の「愛の法則」 (集英社新書 406F)

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レビュー : 96
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087204063

作品紹介・あらすじ

稀有の語り手でもあった米原万里、最初で最後の爆笑講演集。世の中に男と女は半々。相手はたくさんいるはずなのに、なぜ「この人」でなくてはダメなのか-"愛の法則"では、生物学、遺伝学をふまえ、「女が本流、男はサンプル」という衝撃の学説!?を縦横無尽に分析・考察する。また"国際化とグローバリゼーション"では、この二つの言葉はけっして同義語ではなく、後者は強国の基準を押しつける、むしろ対義語である実態を鋭く指摘する。四つの講演は、「人はコミュニケーションを求めてやまない生き物である」という信念に貫かれている。

感想・レビュー・書評

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  • 読了。
    まえがき?解説?が池田清彦氏だった。

    同時通訳ってすごいなぁ…と思った。
    その国の人たちにしか理解できない笑いのネタや、その時だけの旬な話題(例えば渡辺淳一氏の小説『失楽園』とか)を、その場にいる世界の首脳陣にパッと簡潔に伝えていかないといけない。何が余分な情報で、何をしっかりと伝えないといけないのかを、スピーチを聞きながら訳して瞬時に判断し伝えていかないといけないなんて…。もう特殊能力とか異能力じみているとしか言えない。
    時事ニュースから医療まで幅広い分野に精通していないといけないし、高いコミュニケーション能力やユーモア、柔軟性、度胸を求められる職業だと思った。

    米原さんの書いたものを読むと「天晴れ」とか「圧巻」という言葉しか浮かんでこない。ほんとうに惜しい人を亡くしたと思う。今まで米原さんのエッセイばかり読んできたけど次は小説の方を読んでみたいと思った。

  • 同時通訳、作家、エッセイストとして活躍していたが、がんで惜しくも死去した米原万里氏の唯一の講演録集。
    転移がんの苦痛に耐えながらの公演は、サービス精神に溢れている。
    第1章「愛の法則」と題された高校生相手の講演では、もてる男と全然もてない男をフランス革命やロシア革命になぞらえて「フル」ジョアジーと「フラレ」タリアートと洒落ている。
    彼女の説によると、社会が安定し栄養がいいと女の子が生まれ、逆に栄養が行き届かないと男が生まれるらしい。
    第2章「国際化とグローバリゼーションのあいだ」も、高校生相手の講演。
    国際化という時、自動的にグローバリゼーションと訳しているが、大きな違いがあると。
    日本人が言っている国際化は、国際的な基準に自分たちが合わせてゆくという意味だが、アメリカ人の言うグローバリゼーションは自分たちの基準を世界に普遍させるということ、自分たちが正当で自分たちは変わらないということだそうだ。
    日本人はこのことをちゃんと自覚すべきだと警告する。
    第3章「理解と誤解のあいだ」第4章「通訳と翻訳の違い」と、同時通訳を担当した時の苦労話などが面白く語られている。

  • とある国語の試験問題で引用されていたらしく、気になって購入してみた。
    冒頭部分しか読んでいないのに感想を書くのもどうだろう、と思いつつも、この人の文体が気に入ったので、ひとまずメモ程度に書いておこうと思った次第である。
    パラパラとめくってみると、全体的に読者に語りかけながら書き進めているのが分かる。よくありがちな手法ではあるが、その「よくありがち」な文章作品というのは、不特定多数の読者(リスナー)に向かって語っている空気を醸し出すものである。あるのだが、この本は違った。少なくとも、私は違うように感じた。不特定多数に向けて発しているのではなく、一読者を相手にしているように受け取ってしまうのだ。
    (それは同じことでは?)
    まあ、確かに違いは小さいかもしれないが、本を読んでいるより、「筆者と対話している」ような錯覚を味わうのが不思議だった。もし直接会う機会がbあるとすれば、「いつぞやはどうも」とあいさつしてしまうかもしれない。
    この文体、素敵だなぁ。

  • 一読の価値ありってこういうときいうのかしら。
    とにかく一読しておけ。飽きさせはせん!
    と太鼓判を押したいです。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「一読の価値あり」
      此れは講演録だから、音声ソフトにでもすれば良いのに、、、と思っている。米原万里って、どんな声、どんな話し方だったのか聞い...
      「一読の価値あり」
      此れは講演録だから、音声ソフトにでもすれば良いのに、、、と思っている。米原万里って、どんな声、どんな話し方だったのか聞いてみたいものです。。。
      2013/02/18
  • 東京の往復の新幹線の中で一気に読み終えました。

    テレビでのコメンテーターとしてのコメントがすごく鋭くて,すごい人だなと思っていたのですが2006年に亡くなったのがとても惜しいです。

    わかりやすい表現で,いろんな講演をしていたのですね。聞いてみたかったです。普通,文化講演会というと眠くなりそうなイメージですが,この本に掲載されている講演会はどれも面白い。
    たくさんの知識,同時通訳としての経験や本当にたくさんのことを話しながらわかりやすく伝える。すごいと思いました。

    印象に残ったのは,「第三章 理解と誤解のあいだ 通訳の限界と可能性」です。
    〜コミュニケーションというものは,不完全なもので,完璧なものにするのは永遠に不可能です。しかし同時に,人間というのは,常にコミュニケーションを求めてやまない動物であるという確信が,私にはあります。たぶんそれが現在も通訳をしてる原因ではないかと思うのです。みんなが同時に笑えて,一緒に感動できる。いつもそれを目指しています。不完全だけれども,とにかくいつもそれを目指し続けるというのが,通訳という職業ではないかと思っています。」という締めの言葉ですが,自分だけ理解していてもコミュニケーションはできないんだなと。当たり前なんですけど,言葉にしなくては,伝えようという努力をしなくてはいけないものだと。黙っていては分かってもらえない。言葉にしても,相手に分かるように伝えなくては仕方ない。私の反省点です。

    4つの講演会の内容,どれも本当に,最後まで飽きさせず,思わず笑いながらうならせる内容で,読んでいて時間があっという間に経ちました。

  • ロシア語通訳・作家として活躍した米原万里の講演をまとめた講演集。

    コミュニケーションや言語、愛などについて、ユーモアを交えてテンポ良く語られています。

  • 【概略】
     ロシア語会議通訳者であり、作家・エッセイストでもある著者による一般聴衆を前にした講演の書籍化。男性の存在理由、女性の存在理由、出生率と男子・女子の比率、同時通訳者から見た各言語の違い、国際化とは?外国語習得方法など、多岐にわたる内容が著者の小気味よい口調でわかりやすく語られていく一冊。

    2020年03月01日 読了
    【書評】
     大嶋友秀さんのオススメで「必笑小咄のテクニック」に続く米原万里さん、2冊目。
     米原さんの語り口調・文体は本当に素敵だ。エロな話も嫌味がなく知的さが保たれてる。男女の性別とか関係なく、かっこよさを感じるねぇ。
     今回は前半が「愛の法則」ということで、男性の性質、女性の性質など、様々な観点で語られてる。後半が「国際化とグローバリゼーションのあいだ」ということで、日本・日本人の海外に向ける意識を観念的な部分や言語的な部分から掘り下げている。
     凄く興味深いし、「確かに!」と思ったのが、「日本人は、自国の文化の派生形である日本語を、簡単に放棄しようとする」というもの。大昔から他言語を公用語(ないしは公用語に近い立場)にしようという話って、定期的に発生してるらしい。あの志賀直哉(暗夜行路だっけ?)ですら「戦争に負けたのは日本の言葉がすぐれていなかったからだ。日本人の発想法や文化が劣っていたからで、日本人はこれから日本語を捨てて、例えば世界でいちばん美しいフランス語を話すべきだ」なんて発言してたそうな。
     あとは同時通訳者からの観点で、言語並びに通訳の難しさを語ってくれているところ。「神様と人間の会話を同時通訳するのが、最も難しいかもしれない」なんてあたり、興味深い。その実例として、「黒人男性の願いをかなえる神様の話」ってのが収録されているのだけど、「そうだよね!」なんて思いながら読み進めてしまった。このあたりは、「見てる空の青さが違う」っていう哲学の話や、「リンゴ」に関するニーチェの認識論とも通じるところなんだよねぇ。併せて、言語上達に影響する大きな素質として「好奇心」「わぁ、これ面白い!と感じるアンテナ」って大きいなぁと思ってしまった。

  • 言葉と文化により心は左右される。
    言葉が強ければ反発し、弱ければ受け入れる。

  • 大きくなったら中村元さんや米原万里さんのような美しい文章が書ける人になりたい

  • 小説家としてしか知らなかったけれど、まさか、こんな人だったとは!
    語られている内容に、一々納得させられる。
    いやー、一気読みでした。

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著者プロフィール

1950年、東京生まれ。翻訳家、エッセイスト、小説家。『不実な美女か貞淑な醜女か』で読売文学賞、『?つきアーニャの真っ赤な真実』で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。2006年没。

「2016年 『こんがり、パン おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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