愉悦の蒐集 ヴンダーカンマーの謎 <ヴィジュアル版> (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 159
レビュー : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087204094

作品紹介・あらすじ

博物館の元祖であるヴンダーカンマー(不思議の部屋)は、一六〜一八世紀ヨーロッパで盛んに造られた。そこにはいわゆる美術品、貴重品の他に、一角獣の角、人相の浮かび上がった石など珍奇で怪しげな品々が膨大に陳列されていた。それは、この世界を丸ごと捉えようとしたルネサンス的な一切智、万能主義のあり方を示しており、今日の細分化された学問の対極にあるともいえる。本書は、ヴンダーカンマーを再発見し、かつての愉悦に充ちた知を取り戻そうとする試みである。本邦初公開の珍しい写真・図版等を多数掲載する。

感想・レビュー・書評

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  • 借りたもの。
    博物館の前身であるヴンダーカンマー(驚異の部屋)のヨーロッパ史。
    (最初は体系的ではないものの)秩序ある混沌とした世界は、世界――宇宙観――を具現化したものだ。
    蒐集の情熱――珍しいものを自分のものにしたいという独占欲、他の人に見せて驚かせたい真理、そして知的好奇心――は、ヨーロッパ王侯貴族の一種の自己表現だったようだ。
    文庫本のためどれも小さいけれども、当時の雰囲気を伝える図版とコレクションの一部の写真、著者の踊るような文体から、その愉悦に酔う雰囲気が伝わってくる。

    プロテスタントの台頭になると、ヴンダーカンマーのあの闇鍋じみた雰囲気が無くなり、収集物も少なくあっさりしてくる……
    キャビネットに入れられるようになり、いよいよ博物館的、学術的にに分類されてゆく。
    箱に3~4個ほどの物体が無造作に置かれるだけになってくると、まるでシュルレアリスムのオブジェのようだった。

  • 新書文庫

  • 2014/10/15購入
    2015/1/31読了

  • ヴンダーカンマーからみるヨーロッパ史、というところは面白いが、紹介される物品にあまり興味を持てなかった。写真のあるものより、文でだけ紹介されているものの方が面白そうで、やきもき。

  • いつの時代も、コレクターとはいるもので。

  • 古本で購入。

    15世紀のルネサンス期イタリアに生まれ、16世紀後半にドイツ語圏へと広がった王侯貴族のコレクションルーム、ヴンダーカンマー(不思議の部屋)。
    本書ではその誕生と発展拡大、そして衰退と消滅に至る歴史をたどるとともに、その特徴や蒐集品の数々を紹介していく。

    古代の彫刻から遠い異国の文物、動物の剥製に精巧極まる機械、でっちあげの怪物ミイラや冗談グッズ…
    ヴンダーカンマーは一切知の空間にして宇宙の秩序の可視化を目論むものだ。
    そこはまさに何でもあり、「集める」ことへの情熱と喜びに溢れた世界なのである。

    自分の気に入ったモノやおもしろいと思ったモノをとにかく蒐集したい、人に見せて驚かせたいというのは、古今東西変わらないのだろう。
    男は割と共感できるところかもしれない。

    挿絵が豊富で見ているだけで楽しいのだが、中でもありし日のヴンダーカンマーの様子を描いた絵画がおもしろい。「変古珍」の蒐集物に満ちたその部屋の、いっそ心地いいまでの混沌による支配。
    その印象は、わけのわからないモノが所狭しと置かれた古道具屋やあらゆるジャンルの本が積まれた古本屋で味わう、あのワクワク感に似ている。「古」の付くそうした店には、そこに置くものについての「何でもあり」や蒐集者(店主)による世界構築が許されているからだろうか。

    前近代の遺物として破壊され忘却されてきたヴンダーカンマーは今、再評価の対象となっているという。修復・再現され公開されたり、本が出版されたり、展覧会が開催されたりしているとか。
    日本でもヴンダーカンマーのコレクションを見る機会をつくってほしい。そのときはぜひ、架空生物ジェニー・ハニヴァーのミイラを持ってきてほしいものだ。

  • 権力と財力があると非日常に走って面白いもの探し出すんだなぁって思った。同時に、現代でもお金かけてはこものじゃなくもっと変なものつくったら面白いのにとも。

  • 16~18世紀のヨーロッパにおける
    珍奇な蒐集品を集めた不思議な部屋ウンダーカンマーの
    数々を紹介している。カラー。

  • 愉悦の蒐集、の一言がやはり最も似合う

    世界、宇宙を一つの部屋に造り上げようとする人々の情熱が垣間見れる。何て悪趣味で崇高な好奇心だろう!
    実際に迷宮からヴンダーカンマーを探し出したくなる一冊

  • (推薦者コメント)
    ヴンダーカンマーは、日本語では「驚異の部屋」と呼ばれ、博物館の原型のような存在である。様々なものを蒐集するその部屋は、しばしば悪趣味であるが、欧州文化の一部分として確実に存在していた。楽しい部屋の世界への案内書。

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著者プロフィール

小宮 正安(こみや・まさやす)

1969年、東京都生まれ。東京大学文学部社会学科卒業。同大学院人文社会科学研究科独文科博士課程満期単位取得。秋田大学を経て現在、横浜国立大学教育人間科学部教授。専門はドイツ文学、ヨーロッパ文化史。
『ヨハン・シュトラウス─ワルツ王と落日のウィーン』(中公新書)、『ハプスブルク家の宮殿』『モーツァルトを「造った」男─ケッヘルと同時代のウィーン』(ともに講談社現代新書)、『オペラ楽園紀行』『愉悦の蒐集 ヴンダーカンマーの謎』(ともに集英社新書)、『祝祭の都ザルツブルク 音楽祭が育てた町』(音楽之友社)、『オーケストラの文明史─ヨーロッパ三千年の夢』『音楽史影の仕掛人』(ともに春秋社)など著書多数。

「2017年 『コンスタンツェ・モーツァルト 「悪妻」伝説の虚実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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