プロ交渉人―世界は「交渉」で動く (集英社新書 419B

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087204193

感想・レビュー・書評

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  • 蔵書整理で手放すので、再び出会い読む日もあるか

  •  本書は交渉人として、コメンテーターとしても活躍する桜美林大学大学院教授(出版当時)が国際舞台で通用する交渉について書かれた本。
     交渉術のノウハウや、実践できるテクニックの話はないが、国際交渉における表裏合わせた交渉の雰囲気や根回し、ロビー活動等、リアリティのある実体験が綴られている。特に、日韓ワールドカップの裏話は興味深い。
     高い語学力と国際経験があっての国際交渉と捉えている著者の本のため、一般人が真似できるものは少ないが、国際交渉の一側面を感じ取ることができる本だ。

  • 世界を股にかけて様々な交渉を行った方のお話。
    各国との交渉というと、光栄ゲーマーとしては外交コマンドを思い出してしまうのですが、知力の高い武将がトコトコでかけて「金1000お納めいただきたい」と言うだけで済むハズもないようです。(^^;
    言葉を尽くし、誠意を尽くし、必ずFace-to-Faceで話あい、両者にメリットがあるポイントを見つけ、時間制約等で相手が不利な状況でも花を持たせることも忘れない等色々な心構えが大切だとか。
    サッカーワールドカップやオリンピックの開催など、当然各国平等に持ち回りでくるはずもなく。こういった方々が色々苦労があるんですねぇ。
    一方、日本の交渉不足のため国際柔道連盟の会長選挙で、柔道の祖の直径者でもある全日本柔道連盟会長の方が大ビールメーカーの韓国の方に敗れるとか、1988年オリンピック開催地で名古屋有利だった流れを韓国陣の交渉でソウルにされてしまったとか、あまりスポーツに疎い自分では知らない事実が結構あり非常に楽しめました。

    世界を股にかけるのは何回生まれ変わっても無理そうなので、日常の仕事の交渉では色々参考にしたいと思います。

  • ■交渉
    1.日本では、内々だけで分かり合おうとする傾向がある。しかし、その土地、風土だけで培われた情緒は、世界では通用しない。
    2.米国、欧州の場合、遅くても4時45分というのがオフィシャルな終了時間になる。なにをやるにしても、そこがデットラインだ。日本の男性には、こういった時間のメリハリがない。
    3.腹が減って血糖値が低くなれば、動物は凶暴になる。我々人間も、腹が減るとイライラするし、暴力的な行為にでるものも多い。刑務所での暴動は食堂で起きることが多い。
    4.オリンピックの現場で私がいちばん勉強したことは、オリンピックはIOCがやっているのではない、という現実だ。競技を統括しているのは、国際競技連盟だった。

  • 諸星裕著「プロ交渉人」集英社新書(2007)

    * 交渉の第1歩は、相手がなにを考えているのかを引き出すところにある。そのうえで押すべきボタンを見つける。そのボタンを、いいタイミングでポンと押せれば、交渉はトントンと進む。
    * 交渉する際に必要とされる要素はさまざまあるが、最も重要なものは決断力である。大きな交渉の場において、瞬時の判断を要求されているときに、勇気と慎重のハザマでうろうろしている暇はない。
    * 日本人はなぜ国際組織においてネットワークをつくるのが下手なのか。ほとんどの個交際会議において日本人は、沈黙のメンバーと認識されている。日本人は利益を共有する者たちと協調することで、会議を無事にこなしたと錯覚している。これは語学力の問題だけではなく、議論をする習慣がないことと、話すべき論旨が確立できていないからだと考えられる。例えば会議のあとロビーで行われる非公式な仲間内の話の輪に日本人が飛び込むことはない。しかしながら、本音というのはこのような非公式の場でしか知ることができない。会議中の建前論だけでは話が進まないことは誰でも承知している。それでも日本人は遠慮がちでなかなか独自の意見を述べようとはしない。
    * 交渉の話を進めるのに不適切な時間・適当な時間というものがある。特に欧米ビジネスにおいては当たり前であるが日本人にとっては盲点となる。かれらのデッドラインは17時である。なにをやるにもオフィシャルな時間が終了したら、その後はプライベート。家で妻がまっているという事実が日本人には念頭にない。これは個人的なわがままなどではなく、その国の民族の文化である。
    * 交渉では話術より大事なことがある。それは、ひとえに誠実さである。「私にはクライアントがいて、その意向に沿った交渉はするが、それ以上のことをしようと思ってはいない。がむしゃらに、貪欲にあなたをやっつけようとは決して思っていない。あなたもクライアントの意向、もしくは、あなた個人の意向に沿ってこの交渉の場にいるのだろうけれど、それはそれまでのことで、何も完膚なきまでにやるのを望んでいるわけではないだろう」
    * 「郷に入らば郷に従え」の言葉通り、これがこの国のやり方で、流儀だと瞬時に捉える力、すぐに従える適応力、即応力。いわば異質なものに対する洞察力と素早く順応できる力。

    * 「実るほど頭を垂れる稲穂かな」 交渉の際の座右の銘となるのでは。

  • [ 内容 ]
    ワールドカップ、オリンピック…。
    世界中を熱狂させるビッグイベントの裏では、「国際交渉人」たちの熾烈な駆け引きが展開されている。
    卓越した語学力と巧みな人脈形成力を武器にターゲットと見込んだ要人に接触し、自国に有利な状況をつくり出すのが彼らのミッションだ。
    交渉人として世界各国で幾多の修羅場を体験してきた著者が、知られざる世界の実相を明かす。
    その豊富なエピソードは、まさにコミュニケーション術の極意。
    とかく「遠慮がちで、交渉下手」と言われる我々日本人にとっての、有益な指針となる一冊である。

    [ 目次 ]
    第1章 交渉のワザ、交渉のツボ(決断力なしには進まない 交渉当事者双方の立場を熟知しておく ほか)
    第2章 日韓ワールドカップをめぐるロビー活動五〇〇日(プロの交渉人にとってのモチベーション 国際交渉人としてのキャリア ほか)
    第3章 語学力とコミュニケーション力(「007」にあこがれて 国際スペイへの第一歩は外国語をマスターすること ほか)
    第4章 オリンピックで学んだ国際交渉術(デビューはモントリオール・オリンピック 組織委員会の記者会見で抗議デビュー ほか)
    第5章 スポーツ組織の政治力学と国際交渉人の役割(叩くべきドアを見きわめる能力 本家意識だけでは、世界的な組織のリーダーシップは取れない ほか)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 自慢が多いのが鼻につきます。
    章ごとに扱っている話がばらばらで、統一感がありません。ある章は「交渉人」に必要な能力とか仕事内容とかの雑多な内容、また別の章は日韓ワールドカップの誘致に関する仕事のエピソード、さらにまた別の章はオリンピックなど国際的なスポーツイベントの政治の話、というかんじ。
    新書らしいっちゃ新書らしい雑多な読み物でした。

  • テレビのコメンテーターとかで有名な著者がワールドカップやオリンピック招致に関わった話などを書いた交渉人とはなんぞやの本?。

    交渉人は「誠意を示す」「手法は相手による」「迅速が大事」ってとこでしょうか。それと国際的交渉人を目指すのであれば,英語は必須と言うこと。

    日韓ワールドカップの招致運動にかかる内容など交渉の舞台裏について書いてあって面白いけど,守秘義務などから内容は具体性に今ひとつ。
    どちらかというと個人的経験の披露が自慢話っぽくて,ちょっと・・・。
    もっと失敗話とかあったら少しは参考になったかも。
    具体的手法とか論法についてではなく,プロの交渉人のお話という読み物で読むなら面白いと思います。

  • 2002ワールドカップの舞台裏が垣間見える。

  • 柔道の青と白の胴衣。
    原田、船木の不調。

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