新・都市論TOKYO (集英社新書 426B)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087204261

感想・レビュー・書評

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  • 東京の、それぞれの箇所の独特な雰囲気を言語化してくれる。建築に疎くてもへーってなる。
    隈研吾ってやっぱり面白い人なんだよなー

  • 東京の都市論。街をどう見るのか?
    隈研吾と清野由美が対談し、歩きながら感じたままを話す。
    こうやって都市を見るかと、面白い視点が与えられた気がした。もっと、都市には、物語が埋め込まれていると思った。
    汐留、丸の内、六本木ヒルズ、代官山、町田。
    都会に立つ高層ビルは、オフィイスビルが多い。
    汐留のダメダメ感は、なんとなくわかるものがある。
    統一性やコンセプトがなさすぎると思う。
    それは、ある意味では、機能的で、味気ない空間と言える。
    とりわけ、東京駅から丸の内の界隈は、息が詰まりそうな空間である。ビジネスの戦場という殺伐感があるかなのか。
    街並みに感じる「風情」を削ぎ落としたというか、喪失した空間。
    しかし、三菱地所の本社が、実に目立たないところにあるのも、日本の奥ゆかしさなのだろうか。
    六本木ヒルズは、森美術館に行くだけで、あまり感じなかったけど芸術家の経営者が、作ったという言い方は、面白いかもしれない。確かに、そのビルのフォルムは、存在感があり、異様な雰囲気がある。
    代官山は、槇文彦というサラブレッドが、代々の地主と噛み合って、時間をかけたまちづくりになったというのを見て、一度行ってみたい。
    町田も、一度も行ったことがないので、街を見に行こうと思う。

    渋谷、青山、品川、秋葉原などについても、二人で歩いてみて、新たな視点があると面白いな。
    肩の力を抜いて、建築に興味を持つきっかけにはなる本である。

  • 都市計画という分野はなじみがなかったが、具体的な地名をあげながら、隈研吾の講義が聞けるというお得な内容。実際に自分で汐留を歩いた時の違和感は、この本を読んで納得した。注文点は2点。対象の地図を書いてほしい。その方がより理解が深まる。もう一点は隈研吾の聞き手のおばさんが何かと偉そうなこと。逆にそれをうまく受容している隈健吾のふところの深さが感じられた。

  • タイトルの通り、現在の都市、都市開発について論じた本。
    納得感のある話がたくさんあった。
    <メモ>
    ・都市の巨大化は資金獲得の手法を激変させ、資金調達のテクノロジーが飛躍的に発展した。複数の主体から調達しなければならなくなった。一人のクライアントが建築家のデザインを評価して設計を依頼するという古典的関係性は過去のものとなった。顔の見えない複数の投資家から集金するために必要とされるのは、創造性の芸術家ではなく、すでにブランドとしてエスタブリッシュされた建築家。投資家は芸術品に対しては投資しないが、ブランドに対してならば割高でも安心して投資する。都市のイメージを決定するほどに重要な大プロジェクトであればあるほど、このようなやり方をせざるをえないのが今の時代。
    ・逆向きの都市計画。ルールや資本という媒介を用いずに直接自らの生活をデザインする。生活の場がおのずから都市という形をとる。生活とデザインが密着している状態。
    ・フランス人の得意。よその国の才能を買って、加工して、世界へうる というプロデュース力。アメリカ人もプロデュース力が高いが最終到達点がカネ。フランス人は文化として国家戦略にまで高める。
    ・都心の再開発と一般人を結ぶ接点は飲食を含めて「買い物」につきる。
    ・日本人は都市から「村」を排除してきた。現代は「村」が持つノスタルジーこそが余裕の証となる。
    ・伊藤滋による四つのゾーン分け
     北は明治維新の負け組の居住地。貧しい農民が住み着いた場所。南は明治維新の勝ち組(薩長)の居住地、近代的価値観を持つエリートの場所。西半分は地形的にも山の手で武家的。東半分は下町的。その組み合わせにより西北を「学者ゾーン」東北を「職人ゾーン」西南を「実業家ゾーン」東南を「商人ゾーン」と整理した。
    ・最も有効なリスク管理。それは歴史の継続性とクリエイティビティ

  • 容積率移転についての話が面白い。あと、森ビルが六本木ヒルズを開発した過程についてもっと知りたくなった。

  •  成熟期の都市にはどんな都市計画がふさわしいのか。都市計画がいるのか否か。汐留、丸の内、六本木ヒルズ、代官山、町田の5つの街をとりあげ、それぞれの開発経緯と特徴をまとめる。それらの事例から都市開発手法を概観し、「逆向きの都市計画」「草の根のスローな都市計画」の時代であることを示唆する。

  • 読んでいていろいろとつっこみたくなりますが,集約すると,それって結局ものごとを自分の価値観に当てはめてるだけじゃんって点につきます.芸術系の学者さんの新書にはありがちっちゃありがちですが.

    ただ,対談形式のところに入って具体的な話をするようになってからじわじわ面白くなってきます.あの都市の資金集めの方法はこうだとか,こっちの都市ではこういうい形で町づくりが進んでいったとかとか.

    でも,それならもっと適切な本もあるように思うので,まぁ,こんなものかと.もっと客観的でぱりっとした都市についての本を探します.

  • 汐留、丸の内、六本木、代官山、町田について、それぞれの街の成り立ちや特徴が紹介されています。

    ・汐留は、不況期に切り売りされて統一感の無い街。
    ・丸の内は、働くだけでは街としての価値が上がらないので、仲通りの仕掛けで商業的に成功した街。三菱グループの力を感じる街。
    ・六本木は、森稔のアーバンニューディール政策でできた街。オフィス、ホテル、商業、シネコン、テレビ局、広場、庭園を複合。
    ・代官山は、地主の朝倉家と建築家槇文彦の余裕が感じられる街。
    ・町田は、JRのリアルと私鉄小田急のバーチャルが入り交じった街。

  • 約10年前の出版であり、現在の渋谷再開発等の最新情報は載っていないものの、都内で馴染みのあるエリアの再開発経緯や街並みの対比が成されている。私自身も体感した「汐留の建物の不統一感」「代官山の独特の雰囲気」「新宿副都心の無機質さや不便さ」等、筆者が実際に歩きながら、理由や背景をレポートする形式は興味深く読めた。

  • ・再開発 ⇒ 成熟化社会に与えられる
    ・汐留は旧国鉄の貨物駅跡地。第二次産業が占有していた都心の用地が不要に
    ・電通本社ビルは電通社員からも不評。オフィス部分は仏ヌーヴェル、カレッタ汐留は米ジョン・ジャーディ
    ・六本木ヒルズは森稔の執念が稔ったもの
    ・森ビルは容積率の緩和とバーターに道路を作った、恩恵を蒙ったのは麻布十番
    ・代官山は朝倉不動産がチンタラと開発した
    ・ミッドタウンは確かに完成された街。三井不の総合力。…で?誰があそこに住む?

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著者プロフィール

1954年、神奈川県生まれ。東京大学大学院工学系研究科建築学専攻修了。コロンビア大学建築・都市計画学科客員研究員などを経て、1990年、隈研吾建築都市設計事務所設立。慶應義塾大学教授、東京大学教授を経て、現在、東京大学特別教授・名誉教授。30を超える国々でプロジェクトが進行中。自然と技術と人間の新しい関係を切り開く建築を提案。主な著書に『点・線・面』(岩波書店)、『ひとの住処』(新潮新書)、『負ける建築』(岩波書店)、『自然な建築』、『小さな建築』(岩波新書)、『反オブジェクト』(ちくま学芸文庫)、他多数。

「2022年 『新・建築入門 思想と歴史;ク-18-2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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