悩む力 (集英社新書 444C)

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087204445

作品紹介・あらすじ

情報ネットワークや市場経済圏の拡大にともなう猛烈な変化に対して、多くの人々がストレスを感じている。格差は広がり、自殺者も増加の一途を辿る中、自己肯定もできず、楽観的にもなれず、スピリチュアルな世界にも逃げ込めない人たちは、どう生きれば良いのだろうか?本書では、こうした苦しみを百年前に直視した夏目漱石とマックス・ウェーバーをヒントに、最後まで「悩み」を手放すことなく真の強さを掴み取る生き方を提唱する。現代を代表する政治学者の学識と経験が生んだ珠玉の一冊。生まじめで不器用な心に宿る無限の可能性とは。

感想・レビュー・書評

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  • 以前、NHKで《わたしが子どもだった頃》という番組で姜尚中さんに興味をもった。それ以来テレビでコメンテーターとして活躍している姿も意識して拝見していた。
    本の中の(一人一宗教 自分が教祖)と言う一文が心に残った。宗教がどうこうと言う意味ではない。己で考え、悩み生きて行く事の大切さを今更感じる。
    夏目漱石、遠い昔に読んだ。歳を重ねた今再読も良いかもしれない。
    (老人力とは、死を引き受ける力)か~!

  • ●本書には、夏目漱石とマックス・ウェーバーを手がかりに、「悩む力こそ生きる意味への意思が宿っている」という事を中心に書かれています。
    ●読後の第一印象は、先人の言葉の羅列が多くて、心に響くものがあまりなかった事です。大学の先生の著作に多くみられるタイプの本です。引用が多く、趣旨を読み取りにくく、論点を掴めません。引き込まれる様な、説得力に欠けます。
    ●これは、私の読解力の無さです。いつか再読しようと思います。

  • 著者、姜尚中さんの作品、ブクログ登録は2冊目になります。
    どのような方か、ウィキペディアで再確認しておきましょう。

    ---引用開始

    姜 尚中(カン サンジュン、朝鮮語:강 상중、英語:Kang Sang-jung, 1950年(昭和25年)8月12日 - )は、日本の政治学者。東京大学名誉教授・熊本県立劇場館長。2018年4月から、長崎県の学校法人鎮西学院学院長・理事に就任。専門は政治学・政治思想史。特にアジア地域主義論・日本の帝国主義を対象としたポストコロニアル理論研究。所属事務所は三桂。熊本県熊本市出身。

    在日韓国人二世。通名は永野 鉄男(ながの てつお)。姜尚中の日本式の音読みは「キョウ ショウチュウ」。

    ---引用終了


    本作の内容は、次のとおり。

    ---引用開始

    情報ネットワークや市場経済圏の拡大にともなう猛烈な変化に対して、多くの人々がストレスを感じている。格差は広がり、自殺者も増加の一途を辿る中、自己肯定もできず、楽観的にもなれず、スピリチュアルな世界にも逃げ込めない人たちは、どう生きれば良いのだろうか?本書では、こうした苦しみを百年前に直視した夏目漱石とマックス・ウェーバーをヒントに、最後まで「悩み」を手放すことなく真の強さを掴み取る生き方を提唱する。現代を代表する政治学者の学識と経験が生んだ珠玉の一冊。生まじめで不器用な心に宿る無限の可能性とは。

    ---引用終了


    本作に登場する、夏目漱石とマックス・ウェーバーの生年と没年を確認しておきます。

    夏目漱石(1867~1916)
    マックス・ウェーバー(1864~1920)

  • 2008年発売の新書ということで今更読むには半端に遅いかもしれないと思いつつ、積読していたものの中で目が行ったので、ゆるゆると読んでみました。やはり「現代人」として描写されるものに若干の古さを感じて面白く思い(セカチュウに愛の流刑地)、約10年という月日が決して短くないことを実感すると共に、普遍的な教訓も含まれていて、どちらの意味においても今読むことは決して無駄ではありませんでした。
    まず、愛の話。愛は自分が幸せになるためのものではない、という言葉は実にその通りだと思ったし、つまるところキリストの示した愛に通じるのだと再確認しました。無償の愛というのは「有り難い」こととでも言えばいいのか。それだけで、それだけとは言っていけないほどの奇跡だということ。そんなものはなかなか与えられるものでもなければ受け取れるものでもないでしょう。とここまで書いてみて、やはり日本人の元来の価値観と愛という概念はぴたっとハマらない部分がありそうだと思ってしまったり。せめて、情け、情という言葉の方がしっくりくるような気がしたり。
    それから「横着者」になったらいいという痛快な一言に痺れました。悩むことは悪いことではないし、物事を考え続けることには必ず意味があります。それでも、一人間が一生のうちに辿りつけるところには「どうせ」限りがあります。悩みぬいた果てに「まあこんなもんでいいか」と適当に見切りをつけてもそんなに悪くはないはずです。そんな風に、自分なりにうまく妥協点を見出して、毎日を過ごしたいと思わされました。もとい、日々無意識にやっている部分が多いわけですが、「それでいいのだ」と言われた気分で今何とも心地が良いです。

  • 言わずと知れた、50万部突破の大ベストセラーである。仕事上の必要から読んだのだが、たいへんよい本だった。

    年間ベストセラー・リストに名を連ねるような大ベストセラーには、ときおり信じられないほどクダラナイものがある。最近の例でいうと、『女性の品格』や『鈍感力』がそうだった(私は仕事上の必要から2冊とも熟読したので、自信をもってクダラナイと評価できる)。

    しかし、これは違う。50万部売れたことに得心がいく、良質の人生論である。

    姜さんのささやくようなソフトな語り口同様に、読者に対して真摯にやさしく語りかけるような本。自説を声高に主張したり、上から見下したりする感じがまったくないところがよい。

    自身のこれまでの人生経験をふまえ、悩むことのポジティヴな意味合いを説く本。「何のために『働く』のか」「変わらぬ愛はあるか」など、普遍的な「悩み」にそれぞれ一章を割き、真正面から答えを探っている。
     もはや中年になった身にはいささか気恥ずかしく思えるフレーズも散見されるが、10代、20代の若者たちが読んだらずしりと心に響く本だと思う。

    本書の特長は、「悩む力」を説くにあたって、マックス・ウェーバーと夏目漱石の生涯・作品を手がかりとしている点。一見まったく異質に思える2人の中に、近代以降特有の苦悩を直視した人物という共通項を見出し、21世紀の我々が生きるヒントを、彼らの思索の軌跡の中に探っているのだ。

    姜さんがマックス・ウェーバーにくわしいのは当然だが(『マックス・ウェーバーと近代』という著書もある)、意外だったのは、漱石作品についての解釈もたいへん面白い点。
    たとえば、漱石の『それから』について、次のように指摘している。

    《この小説は三角関係の悲劇、あるいは純愛の悲劇のように説明されることが多いのですが、私は違うと思っています。私の読み方で言うと、「夢の世界に浮かんでいた青年が、この世の重力のようなものに引っ張られて、地上に落ちる話」です。幻想から現実に落ちたから、最後のところの代助は、ぐるぐると頭の中が回っている。あの「回る」感じはかなりの寓意だと思います(115ページ)》

    風変わりな夏目漱石論としても、一読に値する書。

  • 「悩む力」姜尚中著、集英社新書、2008.05.21
    190p ¥714 C0236 (2019.05.16読了)(2009.05.06購入)(2008.07.12/4刷)
    この本の中で出てくる本・映画
    ・『それから』夏目漱石
    ・『こころ』夏目漱石
    ・『坊っちゃん』夏目漱石
    ・『明暗』夏目漱石
    ・『吾輩は猫である』夏目漱石
    ・『行人』夏目漱石
    ・『道草』夏目漱石
    講演『道楽と職業』夏目漱石
    講演『現代日本の開化』夏目漱石
    ・『夢十夜』夏目漱石
    ・『三四郎』夏目漱石
    ・『門』夏目漱石
    『硝子戸の中』夏目漱石
    ・『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』マックス・ウェーバー
    ・『職業としての学問(科学)』マックス・ウェーバー
    『国富論』アダム・スミス
    『清貧の思想』中野孝次
    『賢者の贈り物』オー・ヘンリー
    『一杯のかけそば』栗良平
    ・『ファウスト』ゲーテ
    『神曲』ダンテ
    『人生論』トルストイ
    『純粋理性批判』イマヌエル・カント
    『実践理性批判』イマヌエル・カント
    『判断力批判』イマヌエル・カント
    『ヨーロッパ諸科学の危機と超越論的現象学』エドムント・フッサール
    ・『自由からの逃走』エーリッヒ・フロム
    『世界の中心で愛を叫ぶ』片山恭一
    『愛の流刑地』渡辺淳一
    ・『HOW TO SEX』奈良林祥
    ・映画『アラビアのロレンス』
    『国家』プラトン
    『アリランの歌』ニム・ウェールズ
    映画『イージー・ライダー』

    【目次】
    序章 「いまを生きる」悩み
    第一章 「私」とは何者か
    第二章 世の中すべて「金」なのか
    第三章 「知ってるつもり」じゃないか
    第四章 「青春」は美しいか
    第五章 「信じる者」は救われるか
    第六章 何のために「働く」のか
    第七章 「変わらぬ愛」はあるか
    第八章 なぜ死んではいけないか
    終章 老いて「最強」たれ
    関連年表
    引用文献一覧
    あとがき  2008年4月6日

    ☆関連図書(既読)
    「夏目漱石『こころ』」姜尚中著、NHK出版、2013.04.01
    (「BOOK」データベースより)amazon
    情報ネットワークや市場経済圏の拡大にともなう猛烈な変化に対して、多くの人々がストレスを感じている。格差は広がり、自殺者も増加の一途を辿る中、自己肯定もできず、楽観的にもなれず、スピリチュアルな世界にも逃げ込めない人たちは、どう生きれば良いのだろうか?本書では、こうした苦しみを百年前に直視した夏目漱石とマックス・ウェーバーをヒントに、最後まで「悩み」を手放すことなく真の強さを掴み取る生き方を提唱する。現代を代表する政治学者の学識と経験が生んだ珠玉の一冊。生まじめで不器用な心に宿る無限の可能性とは。

  • はじめて新書を読みました。
    エッセイみたいで読みやすかった。

    脱色されて乾いた青春にならないように、しっかり悩んでおかなくては(o^^o)

  • おもろみ
    漱石読みたくなる
    BIG LOVE❤️‍

  • 「悩んだ末に、どうにでもなれと突き抜ける横着者になれ」というメッセージにしびれた。
    自分はまだ悩んでもいない。
    もっと自分自身と向きあって悩まないと、いつまでたっても自己を持てない子どものままな気がする。

  • 第六章 何のために働くのか に納得

    この問いの答えは著者によると、
    他者(家族以外)からのアテンションであると。

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著者プロフィール

1950年熊本県生まれ。東京大学名誉教授。専攻は政治学、政治思想史。主な著書に『マックス・ウェーバーと近代』『オリエンタリズムの彼方へ―近代文化批判』(以上岩波現代文庫)『ナショナリズム』(岩波書店)『東北アジア共同の家をめざして』(平凡社)『増補版 日朝関係の克服』『姜尚中の政治学入門』『漱石のことば』(以上集英社新書)『在日』(集英社文庫)『愛国の作法』(朝日新書)など。

「2017年 『Doing History』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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