- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087204773
作品紹介・あらすじ
なぜ、彼は選ばれたのか。その深層を語る!
旧知の2人が、「アメリカ研究者」「アメリカ在住者」というそれぞれの立場から、黒人大統領誕生という歴史的転換点を迎えた“病める超大国"アメリカについて縦横無尽に語り合う。
感想・レビュー・書評
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分かりやすくて良かった。アメリカは人種構成も複雑だし、宗教が政治に及ぼす影響も大きいし、都市部と、中西部の田舎とでは世界が違うし、いろいろ日本とは違うからね。
越智道雄の講義が聞いてみたかったな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
やっぱり本は読まなきゃダメですね、
テレビだけではないことがいっぱい。
どっちが正しいってことではなく、
その判断は自分の知恵で
まず土台の知識を増やす本です。
アメリカへの理解が広がります、
深まりはまだしないかな。 -
対談形式で読みやすい。特に越智先生は知識量がすごく、っユーモアがあって好き。他の本も読んでみたい。
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米国在米の映画評論家と、米国の文化・歴史について多くの著作をもつ英文学者(明治大学名誉教授)の対談集である。
全6章中、オバマの話がメインになるのは最後の5、6章のみ。そこまでの4章では、米国史を鳥瞰し、オバマ登場の歴史的背景を探っている。とくに、ブッシュ(息子)政権の8年間については、1章を割いて“ブッシュがいかに米国をメチャメチャにしたか”が振り返られる。
オバマの話がなかなか出てこないことをもって「羊頭狗肉」と難じる向きもあろうが、私は気にならなかった。1~4章もすごく面白いし、ここを読んでこそ、なぜ米国民がオバマを熱狂的に支持し、大きな期待をかけたかがよくわかるからだ。
大統領就任に間に合わせるため突貫工事で作った本だろうが、そのわりには中身が濃く、上出来の対談集になっている。
なにより、対談者のキャスティングが絶妙だ。
在米10年超の町山は生活者としての実体験と豊富な取材経験から“自分の目で見たアメリカのいま”を語り、越智は研究者としての目で、町山の言葉に歴史的な裏付けを与える。そうした役割分担がうまくいっているのだ。
たとえば、第三章「アメリカン・ドリームという博打」で、町山は自らが「サブプライムローン」を利用して米国に家を買った実体験を披露している。
むろん町山は低所得者ではないが、米国籍もグリーンカードももたず、会社勤めしていないという意味で定職もないから信用度は低く、従来ならローンで家を買うなど無理な立場であった。なのに「家が買える」と言われてビックリしたのだそうだ。
自らの体験を通して語る「サブプライムローン問題」はすこぶるわかりやすく、私は本書を読んで初めて、この問題が実感として理解できた。
両対談者はそこから、米国が「投機国家」と化してしまったその淵源を、歴史の中に探っていく。ここがたいへん面白い。たとえば――。
《町山 歴史を振り返ると、ゴールドラッシュの時代がありましたよね。そもそもは、カンザスから幌馬車隊で大西部を東から西に渡って、西海岸のオレゴンで土地を耕して生きていこうとしていた人たちが、旅の途中でカリフォルニアで金が出たと聞いて、幌馬車の方向を変えてしまった。
越智 そうそう。カリフォルニア・ロードというのができてしまうんですね。
町山 あれが今日の「投機国家」の原型なのかも、という気もします。地道な農民になるはずがいきなり山師ですから。》
両対談者の26歳の年齢差も、対談に異なる視点を与え、より重層的な内容にするための力として作用している。よい化学反応が起きているのだ。町山、越智どちらかの単著として本書が書かれていたなら、こんなに面白い本にはならなかっただろう。
その他、読みながら付箋をつけた箇所を引いておく。
《町山 過去にもアメリカは、ユダヤや南欧、東欧など後発移民の力によって何度も再生してきました。困ったときには異人やマレビトに頼むという歴史があるわけです。オバマの登場も、そういう流れとリンクしている。いわば、彼は一企業ではなく国家単位で招聘された異人、マレビトなんですよ。
越智 それにひきかえ、日本には異人やマレビトを呼びこむような回路がない。そこに、深刻な問題があるんです。》
《越智 オバマをひと言で表現するなら「絶対的アウトサイダー」ということになると思うんです。人種、階級、宗教、コミュニティ、家族関係などあらゆる側面で、どこにも帰属してこなかった。あるいは帰属できなかった人ですね。
町山 逆に言えば、どこにでも帰属するとも言えます。演説でもそのことを強調しています。さまざまなアメリカを内包する自分は、バラバラになったアメリカ再統合の象徴だと。》
《「人間が昔より強欲になったわけではない。強欲さをむき出しにできる回路が途方もなく拡大されただけなのだ」(越智が話の中で引用しているアラン・グリーンスパンの言葉)》 -
何故アメリカはオバマ大統領誕生をあれほど喝采してむかえたのか。
この10年ほどのアメリカ近代史を宗教、経済、社会、文化といった観点から読み解く。
本来ならこれは雑誌が特集記事で担うべき内容だなぁ。
雑誌、新書の役割が変わってきたということだろうけれど。 -
古本屋へ
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オバマ大統領就任時に書かれたものだが、大統領就任までのアメリカ国史の振り返り、とりわけ「自由」と「平等」という実は矛盾する国是に対する、これまでの政権や世論のありかたを、理念や宗教観、出自などでざっくりまとめてあって便利。
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越智の見分が町山に劣っているように見える。町山アメリカ論は既読の論評に終始し、目新しいものはなかった。
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オバマ半分アメリカ史半分。むしろオバマに至るまでのアメリカ史の方が面白い。
共和党民主党保守リベラルネオコン新左翼。WASPアングリカン福音派フェデラリストリパブリカン。レーガンルーズベルトニクソンブッシュ。
自分の中でこのへんはどうもごっちゃになっていて、本書を読んでもそれが解決されることはないのだが、それぞれの陣営がどのように政治に影響してきたのか、各論は十分楽しめる。余論ではあるが、メディアが世論を形成した事象と動かせなかった事象の対比も面白い。ちゃんとアメリカ史を把握した後に再読したい一冊。 -
オバマ大統領が誕生したばかりの頃の話。二ヶ月後に大統領選投票日を控え、オバマ大統領が何を成し得、有権者は彼をいかに評価したか、行方が気になる。