- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087204841
作品紹介・あらすじ
たとえば一九一七年に発表されたデュシャンの『泉』。この作品は工業製品である便器がそのままアートとして出品されたものだ。仲間のアーテストたちにも「はたしてこれはアートか?」と理解されなかった作品が、なぜ今現代アートを代表する作品といわれるのか?さまざまな作品を俎上に載せながら、現代アートの「わからない」をごくフツーの人の立ち位置に立ち、難解な解釈から解き放たれた「よくわかる」現代アートとの付き合い方、鑑賞法を探り当てる。初心者だけでなく、アート鑑賞の新たなノウハウにも学びが得られる一冊である。
感想・レビュー・書評
-
著者が述べている通り、
分かりやすく
どんな人にも寄り添ってくれる
入門本だと思う。
現代アートを見に行きたくなる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
現代アートが何たるかを全く分かっていない私ですが(さらに言うと、古典アートもよく分からない)、
それでもとても楽しめた本でした。
面白くて一気読み。
むしろ、そういう人こそ、ちょっと一休みして読むべき本かもしれない。
著者は、アート素人の読者に対して、現代アートをどのように鑑賞したらよいのか、
そのヒントを実際の作品を事例に教えてくれます。
しかも、とても「やさしく/わかりやすく」。
これを読んだら、きっと美術館に行きたくなること間違いなしです。
ちょっと偏見が入っているかもしれませんが、自分なりの解釈。
昔は、現実のものを現実通りに絵にすることが流行っていた。
そこから段々アートは進化して、どんどん自由になっていった。
(ちょっと自由になり過ぎて、ついて行けない感もあるが。)
だから、鑑賞の方法や感じたかも人それぞれ自由でOK。
むしろそこに答えを求める方がダメかもしれない。
僕たちは、これまで学校では正しい答えを導き出すことや
仕事では正しいと思われる答え(仮説など)を持つことを強く薦められてきた。
が、アートのような世界は、正解がない(仮説も持たない)世界や
人それぞれの解釈があってそのままにしておく(どちらが優れているかを決めない)世界がある、
ということでしょうかね(そんなことは本には書いていないけど)。 -
ほうほうと思いながらサクサク読めて、いつもなら退屈な通勤時間も楽しく過ごせた
実情を知ると急に美しく思えなくなるものやことってあるよなぁ、と思った
知らずによしとしていたほうがいいのか、知って悪しと思うが良いか、どっちが良いってないとはわかってるけど難しい
アートといえばなんでもありかっていうのも難しい
人間は秩序を保つ生き物であるのもまた事実だし
アートを通して哲学的に考える機会をもらえるから、本当に面白いネ
ピス・クライスト、おぉ。 -
マコなり社長の動画でオススメされていたので購入。
現代アートを見る上での観点や歴史的背景を具体的な絵画に基づきながら解説されており非常に良い本。
丁寧な説明であり、著者の意見を押し付ける形では全くないことが好印象。アート思考などが叫ばれる現代において必須と言っても良い書籍。 -
まずは本文より、印象に残った一文です。
〈美術といいながら、必ずしも「美」を表現するものではなくなった〉
展覧会や美術館巡りを趣味にしている人には、好きな分野やジャンルがあると思います。
いわゆる現代アートと括られる作品やアーティストが好きな方もいるでしょう。
逆に、現代アートだけはよく分からない、という人もいるでしょう。
本書は何らかの理由で現代アートを避けている人の入門書として書かれています。
せっかくの休日に、時間とお金をかけて現代アート展に行ったにもかかわらず、頭をフル回転しすぎてぐったり疲れてしまったでは悲しいです。
落ち着いて、余裕のある気持ちで作品を見続けるためにはどういう準備が必要なのでしょう?
著者は自身を美術の専門家ではなく、フツーの感覚をもってアートを見ている人と言っています。
フツーの感覚で現代アートを理解するために、著者は12人のアーティストの作品を例にして説明します。
それは12通りの現代アートの見方を紹介する入口であり、現代アート作品に対峙するときの12通りの心構えでもあります。
美術についての専門用語も少なく、スラスラと読み進めることができました。
アートの見方は人それぞれとは言いますが、そこに美しさを求めるのは万人に共通の思いではないでしょうか。
しかし、最初の一文。
私はこれを読んで少しホッとしました。
作者が「美」を表現していないかもしれないなら、眉間にしわを寄せて細目になって美しさを追求する必要なんてないんだと気付かされました。
次からは身軽な頭と心で現代アートを鑑賞できそうです。 -
今年は月に一度は美術館にいこうという目標をかかげ、なんでも良いから他人の作品を見る機会を自ら作ることにした。
数多くの作品に触れるほど比較対象が増え自分の好みが少しずつわかってくる。映画や本とも同じだとおもう。
そのなかで現代アートにも接触する機会があるのだけど、作者の独りよがりなんじゃないかとおもう作品にたくさんぶち当たってきたので、初めてこういう美術解説系の本を読んでみることにした。
かなりわかりやすく砕けた表現でとっつきやすい本だがそもそもアートになんの興味もない人には勧めない。
「美術館とかは好きだけど現代アートはよくわからんよ!でも興味ないわけじゃない。」という人向き。
わかったのは、
・マイナスの気持ちを抱かせるように作られた作品もある
・アートという大きなものそのものに対する疑問や批判をぶつけた作品もある
・なにを描写しているかわざとわからないように作られた作品もある
などなど。
アートは、鑑賞者がアートであると認めて初めてアートとなる。故に、もっと主体的に鑑賞するべき。図々しい気持ちで鑑賞して良い、とも言っている。
ここは納得。
映画も本もわかりやすいものからわかりにくいものまであるように、知識があって初めて味わえる作品があるように、アートも同じなんだなーとおもった。
多くの作品をちゃんと味わうには、やっぱりよくわからないながらもたくさん見るのが一番なんだなー。
でもでも、「なにかを伝えたい」くせに、限られた人にしかわからなかったり、わかりにくい作品を作るのはどうも矛盾を感じるしやっぱり独りよがりな印象も拭い去れないのだけど。これはこの先わたしが経験を積めば変わるのかな…
いやーーー、アートってなんなんだろう。 -
抽象的な作品は目の前に立つ人を試している。「お前の中には何がある?」と問いかけている。
-
2012/06/28
-
-
現代アートを通して、私たちは無自覚だったこと、知らなかったこと、考えもしなかったこと、ボンヤリとは感じていたけれど明確には意識していなかったことなどに触れ、それまでとはまったく違う世界が開けてきたり、新しい感覚で物事を見ることができるようになったり、新しい価値観に触れることができる。
現代アートをすんなり受け入れられない理由は、
・ 見慣れないものに対する戸惑い
・ 前提となる知識の欠如
がある。 -
アートを美術と変換するともう理解できなくなる。アートの定義が揺さぶられる。
どこかのHPに”芸術、アート(art)の語源はラテン語のアルス(ars)で、技術、才能などを意味したが、さらにその語源を遡るとギリシャ語のテクネ(techne)に行き着く。テクニック、つまり「技術」の元となった言葉は、「芸術」を意味していた。”とあった。
主体の力や術によって残された世界との交流の痕跡,これがartなのかな。よくわからないけれど,よく分からないことが大切な気がする。
誰かの言葉,何がアートかではなく,いつアートであるかはアートの時空性,相対性を表している気がする。
知的好奇心は刺激された。 -
現代アートはいままでもちょこちょこ見てた。たまに、凄く好きな作品に出会えるから堪らない。
しかし、見方なんて知らなくて、知識なんてモチロン無かったので本書を手にとってみたのだが以前よりも美術館へ足が進みそうだ。
現代アートの何故?を私達の立場にたってわかりやすく解説してくれ、かつ水脈までも説明してくれるので安心して読めた。
初めて現代アートを見る前にオススメしたい一冊です。