化粧する脳 (集英社新書 486G)

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  • 集英社
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感想 : 106
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087204865

感想・レビュー・書評

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  • 茂木さんがカネボウ化粧品との共同研究により「化粧」とは何かを考えていく。

    化粧が、たんに外見を美しく装うためだけでなく、知らぬ間にコミュニケーションを円滑に行う手段や自己の形成などに大きく関わっていたとは知らなかった。
    新たな視点がもてて、とても面白かった。

  • 化粧と人間について知りたくて読書。

    化粧として人と人が生きていく社会を考える奥深い内容。要旨は論文寄稿に凝縮されている。

    化粧を通して自分を認識する鏡としている。女性は異性のためではなく同性のために化粧をする。化粧は隠すこと、社会性を帯びることでもあるとしている。

    難しい・・・・。

    男性にはじつと鏡を見たり、化粧したりする習慣は基本的にない。男性脳と女性脳の違いだと思う。そんな男性脳にない部分を意識的に取り入れてみると、視点や見方が変化し面白いかもしれないと思う。

    本書はロサンゼルスのブックオフで購入しています。

    読書時間:約35分

    • だいさん
      難しい・・・・。
      ???
      ペルソナ(≒仮面)ということではないのかしらん?
      難しい・・・・。
      ???
      ペルソナ(≒仮面)ということではないのかしらん?
      2012/10/28
    • びあしん慶次郎さん
      だいさん、

      化粧を通して、対人関係、距離感、社会性などへ展開するまるで哲学です。
      だいさん、

      化粧を通して、対人関係、距離感、社会性などへ展開するまるで哲学です。
      2012/10/31
  • [メモ]
    ○女性は化粧をするとドーパミンが出る(脳が喜ぶ)、特に化粧をする直前の素顔を鏡で見たときの放出が顕著。それは化粧後の自分を想像してワクワクするから。キレイになれること、他者に認められる自分になることへの期待、喜びが脳への報酬となる。P44

    ○秘仏信仰の話。絶対秘仏・善光寺本尊阿弥陀三尊像はこの世で誰もその姿を知る者はいない(住職も見たことがないらしい!)。布でぐるぐる巻きにされたまま一度も解かれたことがない。
    なんでそげなことをするのか。見えない像に臨むということは、偶像に表されたものの向こう側にある普遍(自分自身の心)と向かい合うことを意味する。つまり本質は目に見えないのだよ、ということ。p105

    ○女性とオバさんの違い。女性は「見せる部分」「隠す部分」の取捨選択をする。つまり見た目だけじゃなく意識や言動にも「化粧」をちゃんとできる。オバさんにはそれができない(これをズバリ「無意識の垂れ流し」という)。p108 気をつけましょう…。

    ○漱石の「自己本位」の話。若かりし漱石は、英国留学したはいいけど英国のすごさにひよっちゃって激しく凹んだそうな。そんなとき至った境地が「自己本位」。<価値や基準は他者から与えられるものではなく、あくまで自分が創り出すもの。自分を基準として全てを組み立てて行く>という概念。p128

    ⇒心の中に、自分自身を映し出す確固たる「鏡」をもつひとは、強い。周りに流されない。さらに、自分に修正・演出を適宜加えながら理想の自分像に近づいていくことができる。

    なんかここまでまとめてみたら、今の自分にとってすごいためになることが書いてあることに気付いた。星ひとつupして★4にします。

  • 面白いけど難しかったー。人間が人間である意味というか…ミラーニューロンがあるからこその人間臭さというか…コミュニケーション能力の個人差や人種差とか研究したら面白そう。

  • とにかく面白い。茂木さん

    化粧のイメージは男性にとって軽視しがちな事柄だが、これほど人間とは何か?に迫るコトものないのでは、と確信した。まだまだ、研究は始まったばかりの研究分野らしいが、今後に更なる期待が募る分野である。男性の化粧に対する偏見も大分変わった。化粧してっみかな~って
    この本で一番意識させられたのは「ナチュラルメイク」って言葉です。生き方にナチュラルメイクが沿う人になりたい

  • 映画「ブラックスワン」を見た人は必ず、必ずこの本を読むこと。
    なんのことかと思うかもしれませんが・・・

    本書は主に女性の化粧を脳科学の見地から自己認知の形成との関連について論じ、それを行動に関する自己認知にまで押し広げている。その論点には「鏡と自己認知」「化粧(≒変身)による自己認知の変化」「女性に特有な共感のシステム」などが含まれており、かなり映画と通底している。読了後にはブラックスワンを普遍的なテーマで理解し、より楽しめることうけあいだと個人的に思う。このタイミングで本著を読めたことは奇跡のようなタイミングである。

    ① 人間の本質ともいえる「社会的知性」・共感能力における顔の役割
    人間の知性の本質はコミュニケーションであり、そのコミュニケーションには心をそのまま表現しない「ふり」も含まれる。個人の性質は他者との関係性に大きく左右されるものであるから、表情などコミュニケーションの発現もかなりの可謬性を伴う。それを想像と共感によって乗り越えてはじめてコミュニケーションが可能となる。
     また個人が自分を自分と認識できるのもこの能力のためである。
    例えば「ミラーテスト」と呼ばれる試験では鏡の中の自分を自分と認識できるかが多くの動物に対して試される。自分と認識できる動物はチンパンジー、イルカなど知能の高い動物に限られ、またそれらの動物では利他的行動の傾向が顕著である。この例から示されるのは共感という他者を認知する能力がすなわち自己を認知する能力となるということだ。

    ② 化粧した自分を、脳は他人と捉える
    化粧は表層の装飾にとどまらず、他者との関係性の中での自己(社会的自己)を形成する行動である。
    化粧した自分の顔を見るとき彼女の脳は「これはより好ましい顔である」と捉えると同時に、他人の顔を見ているときと同じように捉えることが明らかとなった。これはつまり化粧という行動の本質が「自分をより好ましい他者に作り替えること」であることを示している。「より好ましい」というのは当然他者の評価を前提としている。つまり「より好ましい他人に作り替える」というのは、自分の中に評価を行う他人の視点を内在させ、同時に被評価体の顔も他者として扱うという高度な社会的知性に基づいた行動であるのだ。これはメタ認知といえるが、このメタ認知は女性が歴史的にパートナーとして「選ばれる側」だったということのセクシュアリティとも密接に関係がある。


    ③ メタ認知化
    男が化粧をするというのは現実的でないが、化粧をするときのようなメタ認知化を自らの行動に関して当てはめるというのは有用である。このメタ認知はキリスト教の超越者たる神によって見られているという感覚とも親和的である。
    この自己批評は何を基盤として行われるべきなのだろうか。筆者は「無私を基盤とした自己本位」にこれを位置づけた。一見矛盾するような両者であるが、要するにまずは個人の枠を抜けた無私の感じ方を優先する。その姿勢の下での経験の蓄積による鍛錬によって自己の主観を洗練させ、あとは自己の感覚に従うのみということである。

    本書は簡潔で分かり易い語り口ながらも、個々の着想が論理として有機的につながっているので三点にまとめることは容易でなかった。この拙い書評を見て「何がブラックスワンと関係が?」と思われても仕方ないかもしれない。だが成長的変化の過程での自分の理想像とはすなわち化粧した自分といえるだろう。だから化粧した自分に関する考察とは黒鳥としての自分、リリーの中のニーナ、あるいは母の中のニーナについての考察ではないか。
    なんか書評という点から脱線してすみません。

  • 顔の化粧から入って、心の化粧、言葉の化粧、人生の化粧へ。
    科学的な話なんだけど、哲学のような気がしてくる。

    鏡で顔を見るように、言動や振る舞いを内面の鏡でみることが大切。

  • 易しい表現で書かれているけど、内容はしっかり。脳科学はこれからどんどん広がっていくんだと思う。
    学問的に化粧をするという行為を考えるよい機会になりました。

  • さらりと電車で軽く読める。

    女の人が化粧をする意義とかその効果について論理的に書いてあり、自分も化粧をする一女子として楽しく読めた。

    女の人は、化粧をすることで自動的に社会性を獲得しており、コミュニケーションに長けているとか、面白かった。

  • 化粧することは、自己を他者として客観視する。社会に自分を適応させる。理想の自分へと近づける。メタ認知。メタ認知とは自分以外の視点にたって自身を見つめること。

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著者プロフィール

脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特別招聘教授。「クオリア」をキーワードに、脳と心の関係を探究しつづけている。1962年、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。理学博士。
著書『脳と仮想』(新潮社、第4回小林秀雄賞受賞)『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房、第12回桑原武夫学芸賞受賞)『脳とクオリア』(日経サイエンス社)『脳内現象』(NHK出版)『感動する脳』(PHP研究所)『ひらめき脳』(新潮社)ほか多数。

「2013年 『おぎ・もぎ対談 「個」育て論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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