不幸な国の幸福論 (集英社新書)

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  • 集英社
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レビュー : 79
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087205220

感想・レビュー・書評

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  • なぜ幸せを感じられず心を病んでいくのか? の説明が的確で超納得。心の病気を扱う医師ゆえこうした説明も難解になりそうなものだが、とても端的でわかりやすく、すっと入ってきます。
    自分と向き合い考え抜く力の重要さを改めて強く感じました。
    「足るを知る=諦めるというのは単に断念することではなく、あきらかに見極めること」という文にも腹落ちでした。
    少し前に加島祥造氏の老子本を手に取ってみたものの、文体がどうも受け付けず挫折した私。加賀さんの現代訳本があったら嬉しいなぁと思ったり。

    フラットな視線で綴られた前半に比べ、老いと死についての章は温度がぐっと高くなる感じ。筆者自身の思い入れの強さが伝わってきます。
    そして特筆すべきは語り口の優しさ。経済発展の歴史に対する苦言すらソフトな味わい…加賀さんがまたちょっと好きになりました。

  • ・昨日よりも少しでも成長したいと願い、自分なりに努力を続ける。他人との比較ではなく
    ・他人が考えた幸福を鵜呑みにしない。それをやると、自分とのギャップを憂い落ち込む
    ・様々な環境・バックグランドの人間と付き合う。それぞれの場では評価されることが違う

  • 読了。

  • だれがみても
    とても不幸な国の日本
    そこで、幸福を生むにはどうするか。
    吾唯知足(われただたるをしる)だとおもいます。

  • 幸福とは何か?人類普遍のテーゼである幸福の在り処や人の生き方を描いたもの。著者の体験談や本の引用が各所に散見され、著者の考えに肉付けがなされ説得力のあるものになっているように思われました。
    現代社会に蔓延る「不幸」は、実は自分自身が招き寄せたものではないか?
    政治が上手く動かないのを政治家だけの責任にしていいのか?私達国民が「考える」ことを放棄したことが幸福を逃しているのではないか?
    幸福はしなやかな生に宿る。考え方を柔軟にすることで、私達は「快楽のトレッドミル」から降り、幸福を正しく捉え、死を怖れることなく悔いのない人生が送れるのだと、著者は言っています。
    単に幸福論を読みたい方にもおすすめですが、著者の読書経験の豊富さに圧倒された私は、次に読む本を探すうえで非常に参考になったため、幸福論やそれに関係する書物を探している人にも是非読んでいただきたいと考えています。

  • 1929年生まれの精神科医で、東京拘置所の医務技官や東京医科歯科大学助教授、上智大学教授を務めた人の話。少々右寄りだが、国際的感覚を持った日本人であれば、正道な主張と感じる。
    高齢者による万引きや介護疲れ殺人が急増していること、パスカルの賭けの話(パスカルは、著書『パンセ』の中で、神はいないとしても、いると信じると考えた時の利益の方が大きいことを指摘したもの)は面白い。

    「神よ、私たちにお与え下さい。
    変えることのできないものを受け入れる冷静さと、
    変えることのできるものを変える勇気を、
    そして、その二つを見分けるための知恵を」
    (ラインホールド・ニーバー牧師の1943年マサチューセッツ州での祈り)

    これには、感動しました。

  • “時代がどんなに暗かろうと、その人の置かれた状況がどれほどつらいものであろうと、自分なりの目的に向かって歩き続けることで、人は幸せになれる。”(本文より)
    第一章では日本人の考えない習慣、他者を意識しすぎること、第二章では日本という国(といいながら日本人も)の幸福への障害を分析している。第三章で幸せになるための考え方を示している。第四章では老いと死についての考察。

    データも用いているが、考えながら読むことが大切だと思う。与えられた幸せではなく、それぞれが考えた幸せを目指すということは多いに賛成。

  • 正直後半の老いてからの話はちょっと読むのがつらかったんだけど、前半部分は自分のためになった。

    加賀先生はわかりやすい文章を書く人なんだなぁと思いました。小説も読んでみたい。

  • 図書館で働いていた時から気になる作家であった加賀乙彦さんを初読破。
    東大医学部卒。東京拘置所勤務後、精神医学および犯罪心理学を研究という経歴。

    本書は80年の人生を歩んできた著者の視線から
    日本の病んだ部分、その中での幸福の追求の意義を説く。

    世界各国に比べて国民がきちんと声を上げないがために改善されない日本の福祉や雇用が分かりやすい言葉で綴ってある。。

  • 幸せとはなんだろうか

    幸せは望んだり、あるとき実感するもののようである
    実感するのはいいが、望むに当たって
    幸せがなんであるかは簡単に定義できないため
    「幸せになりたい」とはいっても
    どうやればいいのかはっきりしない
    また、目先の望むことが満たされればさらに望みがわいてくる
    ならばいっそ幸せを望まなければいいのでは?
    幸せを望むと、満たれない場合、不満を感じたり
    悩んだりするため、自分を苦しめてしまう

    ならばいっそ幸せを望まなければいいのではないかと思われる
    もっと現実的に考え、身近なものを見つめ
    人のために役立ち、個人的にはならずに日々過ごしていくと
    自然と人生を充実したものにすることが出来る

    本書では精神科医のご高齢の立場から
    後進の私たちへ、肩肘張らずに幸せな人生を送ってほしいと
    願う気持ちでとても優しい言葉で説明している

    「不幸な国の・・・」とあるが国についてというより
    個人個人についてのアドバイスである

著者プロフィール

加賀 乙彦(かが おとひこ)
1929年、東京都生まれ。東京大学医学部卒業後、精神科医として勤務のかたわら、小説の執筆を始める。『フランドルの冬』で芸術選奨文部大臣新人賞、『帰らざる夏』で谷崎潤一郎賞、『宣告』で日本文学大賞、『湿原』で大佛次郎賞、自伝的小説『永遠の都』で芸術選奨文部大臣賞、自伝的大河小説『雲の都』で毎日出版文化賞特別賞を受賞している。その他の著書に、『錨のない船』『不幸な国の幸福論』など多数ある。
近年は、殉教者を描く歴史小説『ザビエルとその弟子』、ペトロ岐部の生涯を描いた『殉教者』などを発表。

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