主婦パート 最大の非正規雇用 (集英社新書)

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  • 集英社
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感想 : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087205282

作品紹介・あらすじ

日本最大の非正規雇用、800万人の主婦パートタイマーが壊れる!「サラリーマンの夫に扶養されている、お気楽な短時間ワーカー」という像は過去のもの。企業から正社員なみの貢献を求められているにもかかわらず、歪んだ社会保障制度の作り上げた低賃金・低待遇は放置され、彼女たちは疲弊していくばかりだ。日本の企業と家庭を下支えしている主婦パートの苦境を無視したときに起きる、この社会の危機とは?その危機を避けるための処方箋とはなにか?主婦パートという「見えざる存在」に初めて光を当てる警告の書。

感想・レビュー・書評

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  • ・正社員で働いていた頃、わたしの中での主婦のパートタイマーへのイメージは、本書で多くの人が誤解していると書かれる通り「サラリーマンの夫に扶養されている、お気楽な短時間ワーカー」そのものでした。

    ・しかし、この実態は1980年代のみの短命な存在であって、90年代以降の不況によって、主婦パートは生活を維持するために必死で働く存在となっていた。しかしながら、当事者以外のイメージは上記の通りだと思われる。

    ・また企業では、社会保険などの負担を企業側が背負わなくて良いところにつけ込み、正当な経営マネジメンとからではなく、そこから利潤を得ようとし、主婦パートに正社員並みの仕事を求め、業務の中核とする「主婦パートの基幹化」が行われた。

    ・正社員と変わらない仕事を求められるのに、待遇については過酷な実態があり、主婦パートが疲弊し、社会にまで影響を及ぼすということを、筆者は子供の虐待なども例にあげながら危惧しています。

    ・また、企業はパートへのつけ込みからのうまみによる代償を今払わされているとのこと。パート社員へすべてを委ねていたために、正社員の人材育成がおろそかになったり、いわゆる「ボスパート」の登場により、正社員の生産性が著しく下がるなどです。

    ・本書ではその打開策として「パートタイム社員」の導入を提唱しており、すでに東急ストアなどでは取り入れられているそうです。
    「職種限定職」として「パートタイム社員」を取り入れ、時間短縮勤務を可能とし、仮にフルタイムで働いた場合には正社員と同じ賃金が支給されるものです。

    ・社会的にも民主党が中心となって、130万円の壁の撤廃や配偶者控除の撤廃など検討しているそうですが、わたしのように長期働くのが困難なため、専業主婦をせざるを得ない人間にとっては、ちょっとした危機だなと感じてしまいました。

    ・本書は統計的なデータを盛り込み、わかり安く説明されており、読みやすかったです。母がパートで苦労していたことを思い出しました。800万人の主婦パートタイマーに目が向けられることを祈っています。

    わたしも今後どうするかなー

  • 主婦パートという、非正規雇用の中核となっている存在について、基幹化と「130万円の壁」によって劣悪な雇用環境となっている現状と、今後の解決策を提言した内容。
    前向きな提言ではありますが、刊行が2010年であり、そこから現実がどのように推移しているかは推して知るべし、何とかしていかなくてはなりません。

  • 育児休業中いろんな働き方のママと出会うので、
    「扶養内で働く」ということを考えたくて、手に取った本。

    家計の維持のために、家庭を主としつつも、「パート」として基幹的な業務も担っていく大変さが描かれていて、パート主婦の抱える大変さを少し理解できた。

    筆者はパートタイム社員という雇用形態を提唱するけれど、
    子供の成長や夫の転勤等のライフイベント変化で、いとも簡単に職を手放す「主婦」をどこまで長期的視点で教育して生かすことができるのかはこれからの課題だと思う。

  • 主婦パートは、賃金面・就業条件などが劣悪にも関わらず、基幹パートとして職務をせざるを得ないという現状に直面している。

    こうした状況は主婦の環境を悪化させ、子育て・経済双方に深刻な影響を及ぼしかねないと危惧している。

  • 高学歴化、低年齢化、家計の補助から生活維持型へ、パート活用型から基幹労働化へ、パート労働者が大きくその姿を変えてきている。驚きの声をあげざるを得なかった。しかも、とりまく環境は一変し、今、危機的状況という厳しい現実がある。また、何といっても主婦パートは最大の非正規雇用であること。由々しき現実である。パートに対する誤解と偏見を正された。

  • 新鮮さが何もない

  • ・主婦パート。確かに最大の非正規雇用だ。スーパーなんて主婦パートがいないと成り立たないもんな。どうなってんだろ?ってことで手に取った。
    ・いろんなデータから数字を拾い上げ、主婦パートのあり方について考察するこのやり方には割と好感を持った。
    ・130万の壁でパートを雇う事は社会保険の負担がいらず、企業のうまみをもたらしているという事実。
    ・主婦パートは家事も一手に引き受けているため地域に縛られ、そこにつけ込んだ雇用側有利な状況を作っているという事実。
    ・主婦パートの基幹化(正社員の補助的役割だったのが、店舗などの運営を直接支える)が進み正社員との業務の境が消えつつあるのに依然として残る賃金格差。業務内容に差が無くても、正社員と主婦パートの両方がそれを当然としている現状。
    ・フルタイムで働く妻、主婦パート、専業主婦の中で主婦パートの夫が一番家事・育児を手伝わないという統計があり、とても興味深い。そこには自分より収入が少ない主婦パートに対して歪んだ優越感を持っている夫の姿がある。つまり、パートなんだから家の事はお前がやれよ、という思いがあるのがわかる。
    ・さらにそんな主婦パートたちが少子化にも繋がり、虐待の危険性も秘めていると筆者は説く。フルタイムで働く妻を持つので、飛躍だと笑うことはできない。フルタイムが辛くなったらパートにでもなれば、なんてもう口が割けても言えない。
    ・筆者はパートタイム社員という雇用形態を提唱する。正社員にしてみれば自分を脅かす存在になりかねないシステムなんだけど、主婦パートを基幹としてビジネスをしてきたツケを払うにはこうするしか無いんだとも思う。ましてや自分は大黒柱だとうそぶく夫なら、パートタイム社員ごときに脅かされる事もあるまいよ。既に東急ストアでは行われているシステムだと言うけど、これが広まることは個人的にも好ましいことだと思った。
    (多摩市立図書館にて借る)

  • [ 内容 ]
    日本最大の非正規雇用、800万人の主婦パートタイマーが壊れる!
    「サラリーマンの夫に扶養されている、お気楽な短時間ワーカー」という像は過去のもの。
    企業から正社員なみの貢献を求められているにもかかわらず、歪んだ社会保障制度の作り上げた低賃金・低待遇は放置され、彼女たちは疲弊していくばかりだ。
    日本の企業と家庭を下支えしている主婦パートの苦境を無視したときに起きる、この社会の危機とは?
    その危機を避けるための処方箋とはなにか?
    主婦パートという「見えざる存在」に初めて光を当てる警告の書。

    [ 目次 ]
    第1章 主婦パートを誤解するな
    第2章 主婦パート職場は「アリ地獄」
    第3章 「アリ地獄」型雇用は官民合作
    第4章 正社員なみの働きを求める「基幹化」時代
    第5章 負担増加の家事・育児
    第6章 「主婦パート・ショック」が家庭を襲う
    第7章 「つけ込み」の代償を払う企業
    第8章 「パートタイム社員」創設を

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    [ 参考となる書評 ]

  • ちょっとムリムリなところもあるかな

  • (2010/1/22読了)興味あるテーマだったが、イマイチ踏み込み不足で説得力に欠けるなあという読後感。

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著者プロフィール

國學院大學経済学部教授。博士(経営学)。人的資源管理論、労使関係論専攻。日本商業学会優秀賞、日本労務学会学術賞など受賞作多数。「働くこと」についてオーソドックスな実証研究を続けながら、本書のような型破りの手法にも挑戦。著書に『オルグ!オルグ!オルグ!』など。

「2019年 『写真記録・三島由紀夫が書かなかった近江絹糸人権争議』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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