創るセンス 工作の思考 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087205312

作品紹介・あらすじ

かつての日本では、多くの少年が何らかの工作をしていた。しかし、技術の発展で社会が便利になり、手を汚して実際にものを作るという習慣は衰退し、既製品を選んだり、コンピュータの画面上で作業することが主になった。このような変化の過程で失われた、大切なものがある。それは、ものを作ったことのない人には、想像さえつかないものかもしれない。「ものを作る体験」でしか学べない創造の領域、視覚的な思考、培われるセンスとは何か。長年、工作を続けている人気作家が、自らの経験を踏まえつつ論じていく。

感想・レビュー・書評

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  • エッセイ。工作について。
    個人的に、実際の工作とは離れた、抽象的な内容に感銘を受けた。
    ものづくりに限らず、思い通りにいかず試行錯誤する、という経験を積むことが、人間の成長に繋がると信じています。

  • 森博嗣さんの小説を読み、作者への興味が湧き、小説以外の書籍を読み漁っている。
    工学という視点で優秀な技術者が育ちにくくなった現状を憂いたり、ものづくりに必要なセンスについて考察している本でした。
    物作りという点で、工作も小説を書き上げることも同じようなものと捉えているところに驚いた。設計図を作って、工作をして有形物を生み出すという工程と同じように小説を書き上げることもあるという。
    本書で印象に残っているのが、思考は言葉でのみ行われるものではなく、映像でも行われるものだという著者の見解。
    工作のセンスは、映像による思考力。
    この著者の言葉にも表れているが、全てのことを上手に言語化する能力のある人ほど、創造的であるし、仕事もきちんとできる人なのだと感じた。

  • 工作力があがるほどに、工作者は工作の過程において出来上がりを悲観する。この謙虚さを、このリアリズムを、設計図を描き数値化すればすべてを完成させた気になる技術者は忘れている。素人工作者のはしくれとして、肝に銘じた。
    近頃は何もかもがパッケージ化されている。その内実を見ることなく、パッケージごと取り替えることのつまらなさを改めて実感。

  • 冒頭の「僕は工作が大好きだ。ほとんど毎日なにか作っている」という言葉にわっと惹かれました。

    この人のように自分も中途半端に迷わず何かを作り続けてくればよかったと感じます。

    読み終わった後、スカイクロラの作者と知った。
    小さい頃、私も工作ばかりしてた。工作やめる理由なんてなかったのに。また始めようと思う。

  • 工作好きな私にとっては、内容にも納得がいく書籍でした。内容は工作文化に関する事です。著者と私は14歳程度離れていますが、育った社会環境が似ていたのか、懐かしくもありました。

    自分時間を増やし、散らかした工作の続きをしたいこのごろです。

  • 693

  • 【2022年度「教職員から本学学生に推薦する図書」による紹介】
    川村悟史さんの推薦図書です。

    <推薦理由>
    工学者にしてミステリー作家である森の技術論。自分の手を実際に泥臭く動かさない限り習得できないセンスとその重要性が語られる。
    学生実験や研究を通して教員が学生に伝えたい事柄と相当重なっていると思います。

    図書館の所蔵状況はこちらから確認できます!
    https://mcatalog.lib.muroran-it.ac.jp/webopac/TW00367048

  • 森博嗣による工作をキーとした教育・社会・仕事論。

  • 「もの作り(創作)の生み出す価値とは人間の「凄さ」を見つけること。「凄さ」を形にすること。」
    この最後のまとめの文は至極正論だと思った。

    絵や漫画、小説にしても、ただ読むだけの人(インプットだけの人)だと「面白かった」「絵がうまい」と感想を云うだけで終わる。
    自分も描いてる人間(アウトプットする人)じゃないと何が「凄い」かを理解することは一生出来ないんだろうな。

  • 過去に戻って大学生の頃の自分に読ませたい本。

    ものづくりに対する著者の考えがつらつらと述べられており、個人的にはその内容が現代人というか10代や20代の人々に刺さる物だと感じた。

    私は「楽しいと感じれるものがないなあ」と普段よく思うのだが、本書にはそのような若者に対する著者の痛烈な意見が述べられていた。耳が痛くなる返答ではあるが自分自身に内在する問題をきちんと認識するには必要な意見だと感じた。

    やはり、野次馬的な興味ではなく、職人のような探求者的な興味をもって物事(というか工作)にのぞまないと経験知を得ることはできない。本やネットを見るだけではつまらないし、実世界に活かしにくいみたい。

    著者のような工作に生きる人間になりたいものだ。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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