<ヴィジュアル版> 澁澤龍彦 ドラコニア・ワールド (集英社新書)

著者 :
制作 : 澁澤 龍子 
  • 集英社
4.16
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本棚登録 : 244
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087205350

作品紹介・あらすじ

フランス文学者、作家、エッセイストとして、文化のさまざまな局面に力強いくさびを打ち込み、圧倒的な支持を受けた澁澤龍彦は、没後もなお光彩を放ち、人びとを惹きつけてやまない。そして自ら「ドラコニア」と名づけた「龍彦の領土」には、澁澤龍彦の少年のような無垢な心を感じさせるオブジェが、今も息づいている。本書は、それらのオブジェを、写真家・沢渡朔があるがままにとらえた写真と、澁澤龍彦自身の文章で構成した、ドラコニア・ワールドのオブジェ編であり、サド、エロチシズムと並ぶ澁澤龍彦の主要なテーマ「オブジェ」を具体的に浮かび上がらせたものである。

感想・レビュー・書評

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  • 澁澤ファンなら持っておきたい。

    彼のような書斎が欲しいよ。

  • 11年ぶりに再読。澁澤龍彦が偏愛したオブジェをテーマに彼が蒐集したコレクションを豊富なグラビアをつけて、彼の著作から選りすぐりのエッセイを収録した本。本書を読むと澁澤邸に訪れたような気分になります。北鎌倉はいつか訪れてみたい聖地です。

  •  カバー折り返しの惹句によれば―
    「自ら『ドラコニア』と名づけた『龍彦の領土』には、澁澤龍彦の少年のような無垢な心を感じさせるオブジェが、今も息づいている」
     おぉ、私も我がアトリヱを筆名「仏滅」に因んで「ブツメツィスタン」と命名することにした。

     澁澤好きには堪えられない一冊。澁澤ゆかりのオブジェを『少女アリス』の沢渡朔が撮影し、関連する文章が、小説・随筆を問わず引用されているのだから。
     博物学などの学問が細分化される以前、ディレッタント貴族らの玩弄物だった時代を窺わせる澁澤コレクションは、眼福この上ない。

  • 澁澤龍彦の愛用品などの写真を澁澤自身の文章の抜粋で語る、タイトルどおりの本。文章は細切れだが、美しい写真と相俟って楽しい。雑誌に書いて、単行本に収録されていない文章もいくつかある。若冲の五百羅漢が好きで石峰寺に通っているという文章を書いたのは1977年だった。
    澁澤夫人が編集しているのだが、澁澤十三回忌に飛んできた玉虫を生きたまま瓶詰にしてしまった、と書いているのには、ちょっと引いた。…

  • 【書評】諏訪哲史(読書人2010.04.16)。

  • 澁澤の部屋のオブジェたちを、文章つきで紹介する写真集。
    彼の子供っぽい偏愛がうかがえる。
    あんな部屋に住みたいなぁ。
    部屋から生まれた文学的エッセイであったのだと理解できる。
    「澁澤龍彦の少年世界」とはまさによくいったものである。

  • エッセイと蒐集した宝物の写真集。
    どれもこれも、興味深いですが、まずコレらを置ける家がほしい。

  • エッセイと、澁澤氏の偏愛するオブジェの写真を組み合わせた一冊。
    少年の心と好奇心、博学な知識、独特の美意識、時間に対する観念、等々、澁澤氏のありし姿が深く、深く味わえる。

  • 没後20年以上たった今も澁澤さんの使っていた部屋にそのまま残されているオブジェや諸々の玩具なんかの写真に、該当するエッセイから文章を抜粋したビジュアルブック。文章だけ読んでも実物を見ないとピンとこなかったものが、ああ、これのことだったのか!と明確にわかるので目からウロコ(笑)。澁澤さんマニヤなら必携でしょう。

  • 美と悪と秘密の信奉者というイメージの強い澁澤龍彦のコレクション集。
    神奈川近代文学館で開催された「澁澤龍彦展」でも、彼の作品と一緒に、凝りに凝ったさまざまなコレクションが展示されており、目を奪われてばかりでした。

    サド作品を翻訳したことから、勝手に反社会的な黒い美学を貫いた作家だと思っていましたが、実際にはもっと健康的で、交流関係も広く、興味領域が多岐に渡っていたことがわかります。
    妻の口を通して語られる彼は、好奇心旺盛な少年のままの心を持ち続ける純粋な人物だったようです。

    ここまで自分の好きなものを集め、時間と手間とお金を存分にかけて入手したお気に入りのものたちに囲まれて暮らす生活を送るというのは、かなり満足感の高いものでしょう。
    彼亡きあとは、それらが生前の彼を語る記録情報となっています。

    単にお金の力で収集したというわけではなく、情熱を注いで理想のものを手に入れていることがうかがい知れます。
    例えば、見たこともないような平たい球形の不思議な物体があり、それは自分で海から採ってきて、中身と針を抜いて乾燥させた海胆の殻だと紹介されていました。

    また、ムクロジとは羽子板の羽根のお尻についている黒い球だということも彼は知っていました。

    博覧強記で、なお実践的である氏の横顔が、残された品々から浮かび上がってきます。

    花札にも言及しており、雨の素札で赤と黒の不可解なデザインについて語られていました。
    私も子供のころからさっぱり意味がわからない絵ですが、これは氏によると、天井から雷神が手を伸ばして、落とした太鼓を引っ張り上げようとしている絵だそうです。
    なるほど、と思って見返しましたが、それでもやはりよくわからないままでした。

    これほどに凝った、彼にしか集められないコレクションこそ、現実世界からは一線を画する一つのワールドと呼べるものでしょう。
    私はその中でも、ジャン・コクトーからの手紙にとても気持ちを惹かれました。
    彼宛てではありませんが、サドの手紙も所蔵しているそうです。

    本人ならではの濃密な世界を堅固に形づくっている、彼を物語るオブジェの数々。
    本人がいなくても、澁澤龍彦という人の息遣いがまだ部屋中に色濃く残っているように感じられました。

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著者プロフィール

1928年、東京に生まれる。東京大学フランス文学科を卒業後、マルキ・ド・サドの著作を日本に紹介。また「石の夢」「A・キルヒャーと遊戯機械の発明」「姉の力」などのエッセイで、キルヒャーの不可思議な世界にいち早く注目。その数多くの著作は『澁澤龍彦集成』『澁澤龍彦コレクション』(河出文庫)を中心にまとめられている。1987年没。

「2023年 『キルヒャーの世界図鑑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

澁澤龍彦の作品

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