- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087205596
感想・レビュー・書評
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蝶々婦人のモデルだったとはしらなかった。
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グラバーと倉場、親子でありながら生き方は違う。
長崎の原爆投下後に自殺した倉場富三郎の人生は胸を打つ。それでも、彼の残した文化遺産は、
長崎への彼の思いとして永遠に残るだろう。
著者の長きにわたる検証の道に敬意を払いたいです。 -
新書文庫
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[ 内容 ]
観光名所として訪れる人が絶えない日本最古の木造西洋風建築、長崎の旧グラバー住宅(グラバー邸)。
かつてそこには、維新の重要人物トーマス・ブレーク・グラバーと、息子の倉場富三郎が住んでいた。
武器商人として、維新の陰の立役者として、激動の時代を駆け抜けた父と、後世に残る魚譜(グラバー魚譜)を残しながら原爆投下からまもなく自殺した息子―。
二人の生涯は、近代日本の成り立ちを象徴するかのようである。
幕末・維新から第二次大戦終結まで、日本の栄枯盛衰と重なり合う父子二代の歴史ドラマを活写する。
[ 目次 ]
序章 アバディーンにて
第1章 冒険商人のバンガロー
第2章 「死の商人」と薩長同盟
第3章 隠れ部屋と密航留学生
第4章 蝶々夫人とピンカートン
第5章 父と子の日本
第6章 長崎を愛した男
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ] -
面白いテーマでしたが、
少々散漫な感じがしてしまいました...。 -
トーマス・グラバーとその息子である倉場富三郎の生涯をおった1冊。「あとがき」にもあるが、内藤初穂『明治建国の洋商―トーマス・B・グラバー始末』(アテネ書房)とブライアン・バークガフニ、平幸雪(訳)『花と霜―グラバー家の人々』(長崎文献社)の2冊からの情報多し。あとは著者が実際にグラバー(倉場)ゆかりの場所を訪ねた折のインスピレーションを書き連ねている。文体も含めて、エッセイや紀行文のような感じ。
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グラバー邸と言えば長崎県の観光名所である。確か、高校の
修学旅行で行ったのだがあまり真剣に見学しなかったように思う。
今、思い返せばなんてもったいないことをしたのかと感じるんだが。
そのグラバー邸の主であったトーマス・ブレーク・グラバーと、日本人
女性との間に生まれた息子・倉場富三郎の軌跡を追っているのだが…。
グラバーの生地へ行ったりと確かに取材もしているのだが、他の作品
からの引用と著者の想像をメインにして書き上げられたように感じる。
父・グラバーについては少々知識はあるが、息子・富三郎については
まったく知らなかった。だから、先の大戦時に敵国との混血児であった
彼の立場とかをもっと書き込んでくれないと分からぬ。
文章中にいきなり「スパイ疑惑」とは書かれても、それを具体的に示して
くれないとねぇ。
長崎への原爆投下後、富三郎は自ら命を絶っている。そんな富三郎への
著者の思い入れが感傷となって読む方の邪魔をする。著者をよく知らぬの
だが、「ノンフィクション作家」と言ってはいけないだろう。
グラバー親子については違う本を探した方がいいようだ。 -
テーマはタイトルのとおりだが、内容は「伝記」とか「評伝」とか呼べるものではない。いいとこ「紀行エッセイ」である。
グラバー父子についてさまざま思いをさまよわせるのだが、ろくに論拠を示すでもなく、「しれない」「だろうか」のオンパレード。その邪推(とあえて書く)がまた妙に甘ったるく感傷的で、ひとさまの歴史や想いを詮索するなら、それなりの礼儀があろうにと辟易させられた。無理やりこじつけた自分語りが随所に見られる件については、もはや何をか言わんや、だ。
ただグラバー家、なかんずく倉場富三郎という人は興味深く、その生涯は日本人としてぜひとも記憶しておくべきものと思う。本書で初めて知ったという方には、他書でのさらなる探究を勧めたい。
2011/8/3読了